保護犬「福」とのキャンプの楽しみ たき火を囲んで一緒に過ごせば絆がぐっと強くなる

草原にたたずむ犬
草原で休憩。本当狭い場所の方が犬は好きなんですけどね

 月刊誌『天然生活』『ESSE』で編集長をつとめ、数多くのヒット書籍をつくり続けている編集者の小林孝延さんこと「とーさん」は、デリケートな元保護犬「福」と暮らしています。アウトドアスポーツが大好きだというとーさん。福とのキャンプのポイントと醍醐味を教えてくれました。

(末尾に写真特集があります)

保護犬づれキャンプ

 今年の夏はどこにもいかずおとなしく、という人が多いのではないでしょうか。もう少しの辛抱です(いや、願望ですけど)、ともに堪えましょう。

 ということで、本当ならこんな季節ですから楽しく出かけたいという思いも込めて、今回は保護犬連れキャンプについて書いてみたいと思います。

 とーさんはその昔「Outdoor」という田中律子ちゃんが表紙を飾るアウトドア雑誌の編集長をしておりました。

テントの中の犬
キャンプサイト。テントの中は福にとっても安心して過ごせる空間

 その頃から、キャンプや釣りはもはや人生の一部のような存在でしたが、そんなとーさんにとって、犬と一緒に野を歩き、川を渡り、星空に眠る……そんなキャンプスタイルは永遠の憧れでした。

 当時とーさんが連載を担当していたカヌーイスト野田友佑さんがカヌー犬岳(がく)を連れてアラスカの川を下る旅の話は本当に大好きで、いつかこんなふうに相棒と旅ができたら……そう思って本がボロボロになるくらい読んだものです。

 ずっとそばにいるけど会話の必要がない。しかも原野では危険な野生動物の存在にいち早く気づいてくれる。犬はアウトドアの旅の最高の相棒なのです。

臆病な保護犬「福」キャンプできるのか

 さて、そんな理想をかかげてはいるものの、こちとら臆病な保護犬福。キャンプどころか近所の散歩だってびびってしまうチキンハート。尻尾は常に股の間に収納中。はたして、そんな福がキャンプできるのか……

 実を言うとあまりにもそんな思いが強すぎて、ほとんどまだ福がわれわれ家族に慣れる前からキャンプに連れ出しています。はははは……

テントの前にいる犬
これはまだうちに来て半年の頃。ちょっとまだ落ち着かない

 最初のキャンプの時は小林家に来て間もないこともあり、かなりびびってました。自分の安心できるテリトリーすら確立していないのに、知らない場所に連れていかれたらそれは不安ですよね。

 しかし、2回、3回と繰り返すうちにどんどん福もキャンプの楽しさを理解してきたように見えました。積極的に行動し、走り、湧水の小さな流れくらいは飛び越え、森の奥へと興味津々。もともと野犬育ちですから、その血が騒いだのかもしれません。

 普段はあまりフリスビーやボール遊びに興味をもたない福ですが、キャンプの時は楽しそうに積極的にフリスビーを追いかけます。

「え?ちゃんと普通のわんこみたいに遊べるじゃないか!!!」

 これにはとーさんもびっくり。やっぱり犬も僕たちと一緒でちょっと開放的な気持ちになるのでしょうかね。

ドッグラン付きのキャンプサイト

 さて、キャンプにわんこを連れていく時の基本ですが、まずはキャンプ場にペットオーケーかどうかを確認してください、もちろんオーケーでもリードは絶対してくださいね。ときどきノーリードで犬を放っている人も見受けられますがトラブルのもとになります。

 世の中には犬が苦手な人も犬好きと同じくらいの数存在していますから。それにほかのワンコとけんかになったり、あまりいいことはありません。

 とーさんはだいたいドッグラン付きのキャンプサイトのある場所を選びます。これはキャンプサイトが柵などで囲まれていて、そのなかでは自由に犬を走り回らせることができるという場所です。これならだれに気兼ねすることなく、安全に犬連れキャンプを楽しむことができます。

 また、こういう場所はドッグラン付きのサイトがいくつかかたまっているので、隣近所も犬連れさん。多少の鳴き声もさほど気にしなくてもよいのも気楽でいいですよね。

夜のキャンプ場の犬
たき火で過ごす夜。隣で眠っているだけだどなぜか心強い存在

 あ、うちの福はうんともすんともなかないのであまりその心配はないのですけど……うちのような保護犬ちゃんは社会化できていないことが多いもの。ほかのワンコたちと上手に遊ぶことができない子にとっては、このように空間が区切られている場所が安全でおすすめです。

 だいたい料金はサイト料金プラス人数分の料金プラス犬の料金というような設定になっていて、ホテルやリゾートで過ごすよりはぐっとリーズナブルに楽しめるのも魅力です。

動物病院も調べておくと安心

 あとは気をつけたいところですが、じつは福ははじめていったキャンプでけがしてしまったのです。まあ、当時はいつも家の中にしかいないような状態でしたから、いきなりの森の中で走ってひざの関節を外してしまったのです。

 とつぜんのキャイーンという悲鳴とともに、後ろ脚をあげてケンケン状態。もう、大あわてでした。急いでキャンプ場近所の獣医さんにいってことなきを得ましたが、やはり事前に周辺の獣医さんの情報など調べておくと安心です。ちょっと過保護なように感じるかもしれませんが、用心するにこしたことはありません。

食材の匂いをかぐ犬
今日のごはんはなに??

 キャンプの時は、とーさんはできるだけ犬と一緒にたべられるメニューを用意します。例えばステーキ。犬用には味付けなし。時には生肉で。いつもよりおいしいものを食べられるのだと記憶に刷り込んでキャンプ好きにさせようという思惑もあります。

 こうしてともにたき火を囲んで一緒に食べて、遊んで、眠る。ふしぎなものでこうしていつもと違う環境で過ごすことで、チーム(家族?)としての絆がぐっと強くなるのです。飼い主と犬。家族と犬。信頼関係が強固になるのです。

 最近では高速道路のSAにもドッグランがあったり、犬連れ旅もずいぶんしやすくなっています。ぜひ、ウイルス対策をしっかりして、キャンプ場でおもいきり愛犬と楽しんでみてください。とーさんも福とまた森の中へいきたいなあ。

◆小林さんが発行人を務める月刊誌『天然生活』のサイトはこちら 

【前の回】 野良のハチワレ子猫2匹、ついにとーさんの家の子に 名付け親はあの「猫師匠」

(次回は9月19日に公開予定です)

小林 孝延
福井県出身。編集者。月刊誌『天然生活』創刊編集長、『ESSE』編集長などを歴任。2023年10月に著書『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』(鳴風舎)を刊行

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この連載について
とーさんの保護犬日記
困り顔の元保護犬「福」の「とーさん」になった編集者の小林孝延さんが、いとおしくも前途多難な保護犬ライフを語ります。
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