ボロボロだった子猫 耳と片目の障害を気にせず迎えられた
真菌に侵され皮膚はボロボロ、ガリガリにやせた状態で保護された子猫。治療の甲斐あって、なんとか命を持ちこたえた。片目が見えず、耳が聴こえない障害が残ったが、猫好きな一家に引き取られ、ほかの猫と分け隔てなく、幸せに暮らしている。
瀕死状態だった子猫
兵庫県淡路島で犬や猫の保護活動をしている「淡路ワンニャンクラブ」に2017年6月、「瀕死の子猫が2匹いる、どうしよう」という相談の電話があった。
数日前、ある人が道路脇にうずくまっている子猫たちを発見、保護して自宅で様子を見ていたが、どんどん弱っていったので、動物病院に連れて行った。「猫風邪でしょう」と言われ、特に治療はしてもらえなかったという。だが、子猫たちは衰弱する一方で、保護主は「これ以上お金をかけられない。淡路ワンニャンクラブでどうにかしてもらえないか」と、淡路ワンニャンクラブの会員に相談してきたのだという。
経緯を聞いた淡路ワンニャンクラブのスタッフは、団体とつながりのある動物病院を紹介した。
残念ながら1匹は息絶えてしまった。もう1匹の白猫はかろうじて生きていたが、骨が浮き出るほどガリガリにやせ、顔は三角形になり、耳だけが大きく目立っていた。真菌のため全身皮膚はボロボロ。栄養失調と脱水もひどく、入院して治療することになった。
回復、そして里親募集
4日後、スタッフが面会に行くと、子猫は大きなダミ声で鳴いていた。シャンプーしてもらったため、被毛がふんわりとして、きれいになっていた。
その後も一進一退の状況が続き、なかなか体重は増えなかった。それでも懸命の治療と子猫の生命力で、次第にふっくらとしてきた。片目は水晶体剥離のため見えなくなり、耳が聴こえていないことも分かったが、完全室内飼いであれば問題ないとのことだった。
2カ月ほど入院して退院。本格的に譲渡先の募集を始めた。
奈良県に住む上本さんは淡路ワンニャンクラブのブログを見るのが習慣になっていた。
ある時、ボロボロの状態で保護され、片目や耳に障害のある子猫の存在を知った。「この子はもらい手がないかもしれない。耳が聴こえなくても、うちなら他の猫がいるから、猫と触れ合うこともできる」と、引き取ることを考えた。「大変かもしれないけど、なんとかなる。淡路ワンニャンクラブのスタッフが、幸せをつかめるようハピネスと名付けた子なんだから、きっと大丈夫だと思ったんです」
2017年9月、上本さんは、子猫を引き取るつもりで淡路ワンニャンクラブに出かけた。子猫は抱っこもさせてくれなかったが、気持ちは変わらず、自宅に連れ帰った。
「月」ちゃんと名前を付けた。
最初のうち、月ちゃんは耳が聴こえないため、他の猫が近くに来る気配を感じられず、驚いて猫パンチを繰り出すことがあった。しかし、次第になれていき、特に同じ淡路島生まれの猫「むむちゃん」とは歳も近く、すぐに仲良くなったという。
「障害があるから飼いにくいと思ったことはないし、全く気にしていません」。上本さんが先住猫と分け隔てすることなく、月ちゃんと普通に接している。何か特別な飼い方をしたわけではないが、いまではスリスリしてくるし、少しなら抱っこもさせてくれるようになったという。
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。