飼い主の在宅勤務で愛猫に変化が いま猫のために家で出来ること

 新型コロナウイルスの感染予防のため、出社せず自宅作業をする人が増えています。私も4月から対面での取材を中止し、電話などを中心とした仕事に切り替えました。“ママがいつも家にいる”状況に愛猫も慣れてきましたが、あれ?と思うことも。獣医さんにも“この時期にこそできること”を聞いてみました。 

(末尾に写真特集があります)

「ニャー(今日も出かけないの?)」「ミャオミャオ~(それなら遊んで~)」

 我が家のオス猫はっぴー(2歳)とメス猫のイヌオ(16歳)は、私が家で仕事をするようになってから、前よりくっつくようになりました。密な時間が増えたら、はっぴーが後追いするようになり、イヌオも若い頃のようにひざに何度も乗ってくるように。

「君たちもママと一緒にいられてうれしいんだよね」

 仕事の手を休め、つい巣ごもり用に買いこんだおやつを1つ、2つ、もうひとつオマケ…。一緒にいられる安心感とウイルスへの不安が複雑に絡んで、猫をなでる時間はいつもの数倍になりました。

「どれでもいいから、おやつくれ~」おねだりがとまらないはっぴー
「どれでもいいから、おやつくれ~」おねだりがとまらないはっぴー

 部屋が狭いので、私の視野にはいつも猫たちがいます。そんなある時、はっぴーの背中の毛にフケがうわっと浮いていました。これって乾燥でなく、ストレスだったりして…。

おやつをねだったり、がまんしたり

 この時期、他の飼い主さんが自宅でどう過ごしているのか気になって、何人かの猫友に聞いてみました。

 2匹の猫と暮らす会社員の女性は、猫のお陰で「起床時間が変わらない」様子。

「在宅になっても、コロナ?だから何?という感じで私を早朝に起こし、夜寝る時間になるとハヨ寝ろ(腕枕して)と促すので、私の生活リズムは崩れません。ビデオ会議にはどうしようもなく参加しますね。私が話していると『私にも話しかけて』と側にくるし、もう一匹もパソコンに頭突き…。でも職場が嫌がる雰囲気ではないから助かってます」

 ただし悩みはおやつで、猫たちにいつでも「ねだれるぞ」と思われるそう(やっぱり!)

「日中はほとんど寝ているけど、ふとした拍子に起きるとずっとおねだり。『おなかが空いてたまりません、本当につらいです』という切実なおねだり(笑)。ご飯の量を決めているので、おやつを出したら全体量を抑えるようにしているところです」

「今日はママがいるからいい子にしよう」妙に静かなメープル(メープルの飼い主さん提供)
「今日はママがいるからいい子にしよう」妙に静かなメープル(メープルの飼い主さん提供)

猫が気疲れしている?

 猫と母親と暮らしている団体職員の女性は、「猫に気疲れがみられる」といいます。こちらは逆におやつがいつもより減ったそう。

「週3日の勤務になって、愛猫メープルをよく見るようになりました。母がおやつをあげるのを見てダメーと私が制止するので、私の前では妙に静かにしています(笑)。ふだんは土日もイベントで家を空けるけどそれも中止で、私は在宅…月曜に仕事に出たら、『猫が疲れたように一日中寝ていたよ』と母に言われました」

 生花店に勤務する女性も今は週5日、家で黒猫の龍と一緒。以前は平日の休みは映画などに出かけていたのに、今は常に側にいて家事などをカチャカチャする日々。

「だから龍は昼寝のじゃまって思ってるかも。布団でくるっと背中を向けて寝ています」

昼寝時間が減るのが心配?「母さん静かに家事してね」(龍君の飼い主さん提供)
昼寝時間が減るのが心配?「母さん静かに家事してね」(龍君の飼い主さん提供)

 インスタを見ても、普段はいない旦那さんが家にいるので、猫が居間に出てこられず寝室に“おこもり”なんて話も。仕事形態の変化で「猫の生活リズム」が変わる(狂う)のは間違いありませんね。うちのはっぴーも、戸惑ったのかもしれません。

今こそ自宅での健康チェックを

 家にいる時間が長くなった今、どんなことに気をつけたらいいか、獣医師の白井活光先生(苅谷動物病院グループ総院長)に伺ってみました。

「一緒にいるとついなでたくなると思いますが、あまりしつこく可愛がろうとしないこと、おやつをいっぱいあげないこと。これはやっぱり大切ですね」

 さらに先生は、いつもより多く一緒にいられる今だからこそできる「自宅での健康チェック」を勧めています。体重や、飲み水の量、そのほか、尿などの確認も。

「尿量の測定は難しいので猫砂の重さでもOKですが、便の色や硬さもみてみましょう。ジャンプできるのは、椅子や机や冷蔵庫、それとも書棚でしょうか?“どの高さまでか”をみてください」
 

長く一緒にいられるこの機に体力などをチェックしたい
長く一緒にいられるこの機に体力などをチェックしたい

 猫がリラックスできる場所がちゃんとあるか、トイレの場所が落ち着く場にあるかも確認。ふんばる姿が可愛いからといってうんちの写メを撮るのはNGのようです。(やりがち!)

 ついゆるみがちな食事管理や、体の部位もあらためてみてほしい、と言います。

「食事は総合栄養食を選んでいますか?食べ方や、嘔吐はどうですか…。歯石の付き具合や耳の汚れ具合や鼻水は?メスなら胸からおなかにかけてしこりも確認しましょう。正常でも、記録しておけば異常が生じた時にすぐわかりますよ。

 猫は新型コロナに感染する可能性を示唆されているので、飼い主さんの帰宅時は、手洗い、顔洗い、うがいを行い、できれば着替えてから愛猫に触るようにするのがいいと思います」

 確かに今は、きめ細かいケアができる時期でもあります。前向きに有意義に、大好きな猫と過ごしたいものですね。

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は19歳の黒猫イヌオと、5歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この連載について
ねこ飼い日記
古い魚屋の天井が崩れ、落ちてきた子猫「はっぴー」。その成長と、引き取った筆者との生活ぶりを同時進行でつづっています。
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