お嬢さま猫「ココ」に寄生虫 のんきな飼い主だった自分を反省

少し色が薄いのがココちゃん。いつもひと塊になって寝ているので、どこまでが一匹だか…
少し色が薄いのがココちゃん。いつもひと塊になって寝ているので、どこまでが一匹だか…

 今から27年前。人生3番目、4番目となるクリスとココを迎えた私。しかしそのころの私は、まだ飼い主としての自覚が甘かったようです。

(末尾に写真特集があります)

愛猫「ココ」、食が細いのは女の子だから?

 今の私ならそんなことは絶対にないのですが、27年前といえばまだ20代後半。それまで猫を飼ってきたとはいえ、親に世話を任せきりで、飼い主らしいことは何もできていなかったのだと思います。最初の猫だったサムも、次の猫のアーサーも、人の家から来た子。今回のクリスとココもそうでした。なので、最初に動物病院で健康診断してもらおう、という感覚がなかったのです。

 その当時も、いわゆるワクチン接種はありました。完全室内飼育の意識もありましたし、避妊去勢の重要性も意識していました。が、当時の感覚として、動物病院は具合が悪くなったら連れて行く場所だったのです。子猫たちはすんなり生活になじんでくれましたし、問題ないと思っていました。自分の枕に、米粒大の白いものをみつけるまでは…。

 クリスとココは、すぐに私たち夫婦との生活に慣れてくれました。トイレはきちんとするし、よく遊びます。ただ、ココの食が細いのが気になっていました。女の子だからかな…と思っていました。

お父ちゃんのチューは断固拒否! クリス「な、お父ちゃん。考えてみぃ。オッサン同士やぞ?」
お父ちゃんのチューは断固拒否! クリス「な、お父ちゃん。考えてみぃ。オッサン同士やぞ?」

 そんなある朝。起き上がってみたら、私の枕に何か白いご飯粒のようなものがくっついています。よーく見ると、ご飯粒ではなさそう。なんだかぬれたようにつやつやして…むにゅっ、と動いたではありませんか!

「ぎゃーっ!」

 何これ!気持ち悪い!

 でも、私はまだその時、ナメクジとかそういうたぐいのものだろうと思っていたのです。その夜、夫が「ココのお尻になんかついてるよ」と言うまでは!!

愛猫2匹を連れて動物病院へ

 ともあれ、2匹を連れて近くの動物病院に駆け込みました。

「ああ。これは寄生虫ですね。おなかに虫がいるんですよ」先生はこともなげに言います。

「き、寄生虫って、あのギョウチュウとか、サナダムシとかそういう…?」

「そうです。条虫の一種ですね」

これは初体験でした。おなかに虫って…どうしたら?

「まずノミを駆除しないと」

いつもお嬢様然としていたココちゃん。もともと華奢だったけれど、まさかおなかに虫がいたとは!
いつもお嬢様然としていたココちゃん。もともと華奢だったけれど、まさかおなかに虫がいたとは!

 もう私の脳みその処理能力を超えています。ただでさえおなかの寄生虫でショックなのに、ノミってあのノミですか? 見たこともありませんけど? おなかの虫と何の関係が? あわあわと慌てる私に、先生は順序良く説明してくれました。

 この条虫はノミが媒介すること。なので、虫下しを飲ませておなかの虫を駆除することと、ノミの駆除もしなくてはならない。きょうだいで飼っているのなら、両方にいる可能性があるので、薬は両方に。ノミ取りシャンプーも両方しましょう。

「あの、この子たちうちに来てから一週間ほどなんですが、人間には影響ないんでしょうか? ひょっとしてうちにノミがいるってこと…?」

「そうですね。可能性はあるでしょう。ノミは卵を産みます。その卵がじゅうたんや畳の目に入って、いずれ孵(かえ)るんです」

(ぎゃーーっ!)

 考えただけで鳥肌が立ちました。

「ノミ取りシャンプーをしてノミ取り用の首輪をすること。家はノミ取り用のパウダーをまいて、それをしっかり掃除機で吸って掃除してください」

 さらに恐ろしい話が。

「ノミの卵は、通常1~6日で孵化するといわれていますが、寒い時期は冬を越すという実験結果も出てるんです」

 もう、めまいしかしません。掃除しても掃除しても、取り切れない卵があったらどうしよう。何より、この子たちは大丈夫なの? 毎日ちゃんと掃除してたのに…どうしてこんなことに。

「お尻から虫が出るぐらいですから、かなりいるはずです。一週間じゃここまでになりませんよ」

 前のお宅で、すでに寄生されてたんでしょうと言われ、なんだかもうがっくりです。

やがて戻った平穏な日々

 結果。その夜、ココちゃんはびっくりするほどの便と虫をお尻から吐き出しました。もう、それはホラー映画をみているよう。お尻からヒモ状の虫を引きずったまま歩こうとするから、あわてておさえて、ビニール手袋をした手で虫を引き出しました。気持ち悪いなんて言ってられません。

 どうやらその一回で、おなかの中は駆除できたようです。そしてココちゃんは、それまでが嘘のように食欲を盛り返し、クリス以上に食べるように。おなかの虫に持っていかれていたんですね。かわいそうに。

いつも一緒の仲良しきょうだい。ご飯を食べるときもしっぽとしっぽをくっつけて
いつも一緒の仲良しきょうだい。ご飯を食べるときもしっぽとしっぽをくっつけて

 ノミはついぞ見かけることはありませんでしたが、毎日狂ったように白い粉をまいて、何度も掃除機をかけました。シーツも枕カバーも当然洗濯。布団は日なたでしっかり干して、これでもかというほどたたいてほこりを落としました。

 それ以降、条虫騒ぎもノミ騒ぎも起こっていません。今でこそsippoに「動物病院でのこまめな診断を」などと記事など書いている私ですが、思い出せばずいぶん、のんきな飼い主だったなあと反省しきり。定期的な受診と動物病院との信頼関係が大事なのだと、最初に痛感した出来事でした。

 ちなみに、ノミやダニは人の靴についた泥にもいます。フィラリア予防だけでなく、害虫予防も忘れずに!

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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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この連載について
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猫と暮らし始めて、気が付けば40年! 保護猫ばかり6匹と暮らすライターの、まさに「カオス」な日々。猫たちとの思い出などをご紹介します!
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