猫の耳の中にコブのようなもの なるべく早めの対処を

炎症性ポリープは若い猫によくみられる
炎症性ポリープは若い猫によくみられる

Q:5歳の雄猫を飼っています。右耳の穴をふさぐ形でコブのようなものができました。原因がよくわからず、動物病院で手術を勧められましたが、耳が聞こえなくなる可能性もあるとか。(岐阜県・女性)

A:炎症性ポリープの場合、根治には外科的な治療が必要

 耳の中に何らかの異物ができている状態とのこと。一般的には、腫瘍のほか、炎症性ポリープや脂肪腫などが考えられます。ただ猫では、腫瘍や脂肪腫はまれで、炎症性ポリープの場合が多いようです。

 炎症性ポリープは若い猫によくみられ、そのほとんどは、どちらか片方の耳に現れます。どの位置にできるかによって異なってきますが、中耳炎による神経症状が出てぐるぐる回るような行動を取ったり、鼻水やせきが出るなど呼吸器系に異常が出たりという症状を伴うことがあります。

 診断には通常、X線やCTによる検査を行います。炎症性ポリープと診断された場合、根治させるには、どうしても外科的な治療が必要になってきます。キノコのようにふくらんで、根元がくびれた形のコブであれば、切除する深さや範囲が限定的なので、予後は良好です。また、なるべく早めに治療するほうが、順調に回復します。適切に手術が行われれば、耳が聞こえなくなるような障害が残る心配は少ないです。

 なお腫瘍の場合は、うみや耳あかにともなう悪臭、かゆみや痛みがあり、時には出血もみられます。特に耳の外の部分(耳介)にできた腫瘍では、犬では多くが良性ですが、猫の場合は悪性が多いので要注意。また脂肪腫は、四肢や胸にできることが多く、今回の相談のケースでは当てはまらないかも知れません。

 いずれにせよ獣医師と相談のうえ、なるべく早めの対処を心がけましょう。

山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
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動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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