市販のペットフード、「総合栄養食」を選ばないと栄養に偏り

(写真は本文と関係ありません)
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  • :たくさんの種類のペットフードが売られていますが、どのような材料や添加物が入っているのか心配になります。ペットフードを選ぶ際に気をつけるべきことなどを教えて下さい。(奈良県・女性)

    :20年以上前、あるペットフードを与え続けたことが原因で、猫の全身に石灰化(カルシウム沈着)が生じる病気が多発しました。嗜好(しこう)性を高める目的で、ビタミンDを多く含むカツオやマグロの内臓を原材料にしたために起きた事件です。


    その後、業界団体による自主ルールの導入やペットフード安全法の整備で、大きな問題は起きなくなりました。それでも、パッケージに書かれている原材料や添加物などの情報は必ずチェックすべきです。


    まず「総合栄養食」の表記があるものを選ばなければ、栄養が偏ってしまいます。さらに、ペットの種類や年齢、飼育環境によって必要な栄養素やカロリー摂取量は違ってきます。酸化防止剤や甘味料、着色料などの添加物についても内容をよく確認しましょう。


    おやつを選ぶ際や手作りに挑戦する場合にはさらに注意が必要。たとえば汗腺が発達していない犬猫にとって、ナトリウムの過剰摂取は腎不全につながる。また猫に、味を好むからと魚を与えすぎると、下部尿路疾患のリスクを高めます。


    最後に、病気の動物向けのペットフードには、治療目的でわざと栄養素を偏らせているものがあります。獣医師が指示する量や期間を必ず守ってください。飼い主の判断でインターネットなどで購入し、必要量以上、長期に与え続けたりすると、ペットを命の危険にさらすことになります。

山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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