自分の指を吸う子猫 我が家の正式な“家族”になった
子猫「はっぴー」の譲渡を日本動物愛護協会に希望し、我が家での約2週間のトライアルが始まった。はっぴーは新しい環境に馴染み、先住猫と仲良くできるだろうか。
はっぴーは最初の日、先住猫の「イヌオ」(メス、14歳)を見るなり、毛を逆立てた。でも、食欲は旺盛。昼12時、夜6時、夜12時、夜中3時にもフードをモリモリ。食べ終わると、ケージ内に用意したハンモックに乗って、ぶらーぶらーと揺れていた。
一方、風呂場で一夜を明かしたイヌオは、夜中に一度嘔吐した。朝になると、いつもいる部屋に戻り、ケージを“ちら見”して、少しフード食べた。
「大丈夫かなあ。ショックで吐いたのかも」
知人に連絡をすると、メールがすぐに来た。
「飼い主の不安はすぐ伝わるので、焦らずがんばって。イヌオさんは繊細なんですよ。新入りさんの倍以上に構ってあげたほうが良いといいます。せっかく縁があって来た子ですから、うまくいくように祈っています」
その言葉が、私の“お守り”になった。
3日目、はっぴーがイヌオを威嚇しなくなり、抱き上げると、自分の指を吸った。愛護協会のスタッフから「指をくちゅくちゅすることがある」と聞いていたが、これだった。半ば眠った状態で喉を鳴らし、左前足の肉球を吸っている。その姿は愛らしかった。
4日目には、イヌオも唸ることがなくなり、ケージの“すぐ近く”で毛づくろいを始めた。「ふーん、まだいるのね」という感じで、伸びをしている。
1週間後、イヌオがケージの近くにごろんと寝転がった。はっぴーをケージから出すと、イヌオのおしりのにおいを嗅いだ。イヌオは「フンッ」と鼻を鳴らしたが、まんざらでもない感じだった。
協会のスタッフにケージから出て対面できたことを報告すると、「順調そうで安心しました。イヌオさんは、はっぴー以上にあなたを見ていますよ!」と返事がかえってきた。
たしかにイヌオの緊張は、私がはっぴーの指吸いを見て心が和らいだ時から溶けていったように思う。イヌオは子猫の時、当時いた先住のルナと喧嘩をして、けがをした。そんな経験があるので、猫同士の見合いに私は神経質になっていたのだ。
「最初はストレスがあるだろうが、年が離れているので、イヌオが受け入れれば大丈夫」と獣医さんも後押ししてくれた。
2週間後、再び愛護協会のスタッフが我が家を訪れ、ワクチンの証明書をもらい、保護費などの精算をした。この日、正式に我が家の“家族”になった。
「今日からここが本当の家。ずっと、幸せにね」
スタッフに声をかけられ、はっぴーはハンモックで大あくびをした。
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