更年期障害の薬に、妊娠させられる馬 海外の動物保護団体から
当会(JAVA)と協力関係にある海外の動物保護団体から届いたニュースをお届けします。
妊娠した雌馬の苦悩
ファイザー社(本社・米国)は未だに75年も前の方法で、子宮体癌、乳癌、心臓病、卒中などを引き起こすリスクがある更年期障害緩和の薬を製造している。1940年代初期にホルモン補充療法薬として承認されたプレマリンは、妊娠した雌馬の尿(PMU)から採取された結合型エストロゲン(CEE)から作られる。
PMUの採取は秋と冬に行われる。雌馬は、11ヶ月の妊娠期間のうちの6ヶ月間は、床がコンクリートの狭いタイストールと呼ばれる「つなぎ飼い畜舎」に閉じ込められ、馬房にくくりつけられたままである。尿を採取するため紐やホルスターで尿道口を覆う道具がはめ込まれ、ほとんど動くことができない。また、固い床に立ちっぱなしのため慢性の関節炎を患うことも多い。雌馬は毎年妊娠させられ、妊娠力が落ちると食肉にされるのである。子馬の多くも同じ運命に苦しむことになる。PMU採取の業界では、馬の福祉を確保するための監視はほとんどない。
2015年に行われた、AAVS(アメリカ動物実験反対協会)とFaunalytics(米国の非営利研究機関で、動物を守る人々に有益な情報を提供しサポートしている。)の調査では、医者は、子宮体癌の危険性を高めるCEEを含まないホルモン補充薬があることを患者に伝えるべきだと、86%の米国人が考えていることが明らかになった。それにもかかわらず、ファイザー社は、以前とは異なる販売活動をしたり、新しい薬品名をつけたり、主原料の表示をあいまいにしたりして、プレマリン系薬品を再び売り込んでいる。
PMU採取を行う会社の中には、透明性も動物を守る法律もない中国に移ったものもある。
PMU採取事業は需要に左右される。したがって、一般の人々や医療関係者が、PMU採取が残酷な方法で行われることや代替の薬品が利用できることを認識することが重要である。そして、このような残酷な行為に多くの消費者が反対の声をあげる時が、この旧態依然とした業界の命運が尽きる時なのである。
Pregnant Mares’ Urine
AV magazine 2016/Number 3 by The American Anti-Vivisection Society
虐待トレーニングのサーカス団、閉鎖される
リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス(以下、リングリング・ブラザーズ)の親会社であるフェルド・エンターテインメントCEOのケネス・フェルドは、「2017年5月7日をもって、ショーを止めることを決定した」と発表した。
リングリング・ブラザーズは以前より動物の福祉に問題があり、ここ数年はそれによる非難を受けていた。
残虐なトレーニングを動物に行っており、ゾウを従わせるために先が鋭くとがった大型フックを使用するなどしていた。そのため、数頭の赤ちゃんゾウが死亡している。2004年には若いライオンがうだるほどの暑さの車両内に水もない状態で放置され、死亡した。サーカス会場の裏の駐車場に置かれた狭い檻に入れられていたトラたちは、頻繁に喧嘩をしていた。
また、銃によるひどい怪我をしたゾウをサーカスから引退させるよう要望があったにもかかわらず、再び無理やりそのゾウをショーに使用した。これらは虐待のほんの一例であることを示す証拠として、このサーカス団は、1993年以降、米国農務省から50件以上もの動物福祉の問題に関して注意を受けていた。
残酷なトレーニングへの反発が市民の間で高まったため、2015年、リングリング・ブラザーズは、ゾウのショーを段階的に中止すると発表し、2016年5月が最後のショーとなった。
しかし、まだ動物の今後の生活には不安がつきまとう。リングリング・ブラザーズから引退したゾウたちは、信頼のおける保護施設ではなく、このサーカス本部の繁殖目的や虐待が疑われる訓練プログラムのあるフロリダゾウ保護センターへ移送される予定になっている。やっとサーカスからゾウたちを自由にさせた市民は、この決定に異議を唱えている。
25年の経験を持つアニマルトレーナーのジェイ・プラットは「リングリング・ブラザーズはトラの心身のケアをせず、精神的虐待、さらに支配的立場と動物の恐怖心を巧みに利用し、トラを操っていた」と言っている。ゾウと同じようにトラもまた虐待によってコントロールされていたのである。
今のところは、とにかく動物たちはやっと休息を得ることができた。最後の幕が下りた後、何が彼らに起こるか不明なところもあるが、道路脇に設置された動物園やサーカスと似たような状況に置かれている、多くのとらわれた野生動物たちにとって大きな変化の先触れである。
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