<動物愛護法>署名活動をスタート 実験動物と畜産動物についての改正実現を!

今度こそ、実験動物と畜産動物について動物愛護法改正が必要

 2025年の改正法成立を目指して検討が進められている「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、動物愛護法)。JAVAは前回同様、認定NPO法人アニマルライツセンター、PEACEと連携して改正のための活動を進めています。

実験動物と畜産動物についての改正を今回こそ!

 私たちは、動物愛護法の全体に及ぶ数多くの改正を求めていますが、その中で特に強く求めているのが、下記の「実験動物」と「畜産動物」に関する改正です。

 過去の改正では、家庭動物、特に犬猫に関する改正が優先され、実験動物と畜産動物については、検討に充てられる時間が格段に少ないという状況でした。

 犬猫も実験動物として動物実験に使われ、多数犠牲になっています。実験動物も畜産動物も動物愛護法の対象であるにもかかわらず、検討にかける時間や力の入れ方に大きな差があるのはおかしいことです。さらに、実験動物にかかわる改正は、動物実験関係者からの反発も大きく、私たちの求める改正は実現できていません。

実験動物に関する要望: 動物実験代替法の利用を義務化、3Rの徹底
1. 第41条第1項(動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)の動物実験の代替と
  動物数の削減を義務とする(=これにより「3Rの原則」すべてが義務となる)
2. 国(関係省庁)に、代替法があるものについて、その利用の検討と推進を義務付ける
3. 代替法の開発・評価・普及を国の責務とする
4. 実験動物関連施設を動物取扱業に加える

動物実験の「3Rの原則」の遵守は国際的な共通認識となっている

畜産動物に関する要望: 産業動物に関する条項を新設し国際基準レベルへ
1. 動物福祉の5つの自由を満たす飼育への転換を図るよう義務付ける
2. 国際的な水準と最新の動向に配慮するものとするよう義務付ける
3. 産業動物のと畜、殺処分においては、必ず意識喪失させてから次のと畜に進まなくてはならな
  いことを義務付ける ※5年程度の移行期間を設ける
4. 飼育密度を適正に保つものとし、最低限、他の動物や壁と接触せずに横臥できる面積を与える
  ことを義務付ける ※新設する場合は即時、現行の農場は2年程度の移行期間を設ける
5. 断尾や除角、去勢などの外科的切除や施術では麻酔及び鎮痛薬を使用することを義務付ける
  ※3年程度の移行期間を設ける
6. 国際獣疫事務局(WOAH、旧OIE)の基準に準じて「産業動物の飼養及び保管に関する基準」
  を改定し、遵守義務とする
7. 産業動物関連施設を動物取扱業に加える

議員連盟において検討・議論が進められている

 動物愛護法の前回改正において中心的な役割を担った「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の中に設置された、動物愛護法改正プロジェクトチーム(以下、PT)。JAVAたち3団体はこのPTのアドバイザリーボードの一員として、検討・議論に参加しています。

 PTでは、議題について有識者や関係者にヒアリングを実施しながら、検討・議論を進めています。2024年9月には、実験動物と畜産動物に関して、それぞれPTが開催されました。

 PTはクローズドな検討の場であることから、詳細をご報告できないことをご了承ください。その上で、下記にどんな報告があったのかを紹介していきます。

9月3日、実験動物に関するPT

■ 長崎大学環境科学部 本庄萌准教授(オンライン参加)

「欧米における動物実験規制から得られる示唆」と題し、EUの指令2010/63/EUと米国の動物福祉法に基づく動物実験規制の解説や現状の説明がなされました。

■ 倉敷芸術科学大学 古川敏紀前教授(オンライン参加)

 大学の動物実験施設や研究所に勤務していた時の経験や欧米の監視機関への訪問経験等も踏まえ、日本の課題について述べました。

■ 実験動物販売企業の方

 実験用ビーグル犬の飼育環境等における同社のアニマルウェルフェアの取り組みについての説明がなされました。

実験動物に関する改正について議論・検討を行った犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟の動物愛護法改正プロジェクトチーム(9月3日)

■ 厚生労働省・文部科学省・農林水産省

 動物愛護法をもとにこの3省が策定している、所管機関における動物実験の実施等の基本指針の運用の現状の報告がなされました。また、厚生労働省医薬品審査管理課からは、医薬品、医薬部外品等の承認審査に係る動物実験や代替法の行政的受け入れの状況等についての説明がありました。

■ JAVA、PEACE、アニマルライツセンター

 代表してJAVAから、3団体が求める実験動物に関する改正4項目について、その理由や事例を含めて説明をしました。そして、関係省庁に理解と協力を求め、国会議員の皆様には改正の実現を強く要望しました。

9月5日 畜産動物に関するPT

■ 証券会社の担当者

 ESG投資の観点から、アニマルウェルフェアの重要性を述べました。

■ (一社)アニマルウェルフェア畜産協会 瀬尾哲也代表(帯広畜産大学准教授)、奥野尚志事務局長

 畜産の研究者、獣医師・と畜検査員として畜産業に携わる立場から、アニマルウェルフェアの重要性と、その担保のために必要な改善について要望がなされました。

■ JAVA、PEACE、アニマルライツセンター

 代表してアニマルライツセンターから、3団体が求める畜産動物に関する改正について、その理由や事例を含めて説明をしました。そして、特に鶏のと畜における意識喪失の義務付けを強く訴えました。

畜産動物が議題であった9月5日のプロジェクトチームでは、特に鶏のと畜における問題について活発な議論が交わされた(アニマルライツセンター提供)

■ 農林水産省

 農林水産省が策定している「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」の概要や取り組み状況等について説明がなされました。

オンラインでの署名活動を開始

 実験動物、畜産動物、そして、輸送される動物、売買される野生種の動物、殺される動物……。

 人間に利用されたり、意図的に苦痛を与えられたり、寿命をまっとうすることなく殺されたりと、苦しんでいる動物たちをまったく守ることができないのが、今の動物愛護法です。

 私たち3団体は、国際水準に追いつくことができ、すべての動物を公平に守ることができる改正を求めてオンライン署名活動をスタートさせました。

 どうか、この主旨にご賛同いただき、下記より署名をお願いします。

 オンライン署名プラットフォームchange.org

※JAVAが求める改正の全項目などの詳細は、3団体共通ウェブページをご覧ください。
※この記事は、2024年10月20日現在の情報です

(次回は1月13日公開予定です)

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JAVA
NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)。1986年設立。動物実験の廃止を求める活動を中心に動物の権利擁護を訴え、世界各国の動物保護団体と連携しながら活動している市民団体。
この連載について
from 動物愛護団体
提携した動物愛護団体(JAVA、PEACE、日本動物福祉協会、ALIVE)からの寄稿を紹介する連載です。
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