狂犬病、世界で発生 注射は必要 山根義久さん
ペットとともに

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- :毎年春になると、役所から狂犬病予防注射の案内が届きます。
- :山根 狂犬病予防法で生後91日以上の犬は、飼い始めた日から30日以内に住んでいる市区町村に登録する必要があります。そのうえで毎年4~6月に狂犬病のワクチン接種が義務付けられています。
狂犬病は、発症している哺乳類にかまれ、その唾液(だえき)中に含まれるウイルスが傷口から体内に侵入することで感染する病気です。犬の場合、潜伏期間は2週間から2カ月程度。まず挙動が不審になり、次第にかみつくなど凶暴化し、最終的に麻痺(まひ)状態になって死に至ります。発症するとほぼ100%が死ぬたいへん恐ろしい病気です。さらに問題なのは、人と動物の共通感染症であるという点。人も感染し、発症すれば治療法がなく、ほぼ100%死にます。
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- :日本では狂犬病の発生がしばらくないそうですが。
- :山根 1956年を最後に国内感染の発生事例はなく、日本は狂犬病清浄国です。2013年7月現在で、農水相が指定する清浄国・地域は、日本以外では世界に六つだけ。つまり世界のほとんどの地域でいまも発生しているのです。
国内で登録されている犬は6割程度で、そのうち狂犬病予防注射を受けている犬は7割程度とされています。7割以上が予防接種をしなければ、予防の効果は期待できないと言われ、周辺国の発生状況を考えれば、日本は常に侵入の脅威にさらされていると思ったほうがいいです。
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- :毎年打たないといけないのが面倒だし、副作用も心配です。
- :山根 欧米では3年に1度打てば効果があるワクチンが開発され、その利用が一般的です。ところが日本では、毎年打つ必要があるワクチンしか認められていないのです。
副作用としてはアレルギーによるショックがあります。予防注射の前後には激しい運動は避け、健康状態に変化がないかよく確認してください。特に持病持ちの犬や老犬は、かかりつけの動物病院で健康状態を確認してから打ったほうがいいでしょう。
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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。