2匹目のトライアル開始から1週間 要求鳴きに体調不良、先住猫「はち」に異変
愛猫「はち」の同居猫候補、推定9歳の三毛猫「みーちゃん」を保護猫団体B会でみつけ、トライアルを開始。みーちゃんは環境適応能力が高く、家に迎えて4日目で、ケージの中でおなかを出して寝るまでになった。はちとの相性も悪くないようで、トライアル期間はまだ1週間以上あるが、うちの猫になるだろうと思い「ハナ」と名付けた。
だがその日を境に、はちの様子がおかしくなった。
逃げるはち
おかしくなったのは、ハナをケージから出し、1時間ほどリビングとキッチンを散策させてからだった。このとき、はちは部屋に入れないようにした。
ハナは「あーう」「あーう」と鳴きながら、窓にのびあがったり、チェストにのぼってサッシと壁の間に顔を押し付けるようにして鼻をヒクヒクさせていた。だがしばらく歩き回ると落ち着き、自分からケージに戻って行った。
その後はちは、ハナのケージにあまり近づかなくなった。近づいても、ハナが甘えたようにはちに向かって鳴くと、踵を返して逃げるようになった。昨日まではケージごしに鼻チューもしていたし、はちのほうがハナに興味深々のようだったのにどうしたことか。
「ひょっとして、これまでは『ちょっと遊びに来たお客さん』だと思っていたのかも。それがケージから出て自分のテリトリーに入ってくる『侵略者』だとわかり、警戒しているのかもしれない」
はちの様子を見て、ツレアイはそう言った。
また、早朝6時前から鳴いて私を起こすようになった。午前6時は、はちの1回目のフードが自動給餌器から出てくる時間だ。自動給餌器を導入して以来、はちは人間に向かってご飯の催促はしなくなり、朝もおとなしく寝るようになっていた。それなのに、6時のフードを食べた終わったあとでもベッドに乗ってきて、鳴いて髪の毛をひっぱりたり、顔を叩いたりする。
根負けして起き上がり、台所で手作りスープを与えるが鳴き止まない。リビングを所在なく歩き回り、続いて玄関ホールでニャーニャー、ツレアイの部屋の前でニャーニャー、私はじゃらし棒を振ったり、なでたりする。
1時間ほどすると疲れるのか、ソファの上で眠りこける。この一連の行動は、はちが家に来たばかりのときと似ている。
様子を見ながら直接対面
「多頭飼育ガイド」によると、先住猫のこういった反応は想定内らしい。食欲不振になったり便秘になったりするなど体調に大きな変化がない限りは、慌てずに見守り次のステップへ進むように、とある。
B会の人たちからも「ケージなしで直接対面させてもいい頃では」というアドバイスをもらった。それで、ハナを家に迎えてちょうど1週間が経った日の午前中、はちがキッチンのローテーブルの上で香箱を組み、朝日を浴びてまどろんでいるところで、ケージの扉を開けてみた。
ハナは、トコトコとキッチンまで歩いていき、ローテーブルのまわりを1周した。はちはそれを目で追いながら小さく「ニャッ」とあいさつ。ハナはそれに気がついたのかいないのか、それでこの日は散策に満足したらしく、すぐにケージに戻って行った。
その日から1日3回、はちがいるときに一定時間ハナをケージから出すようにした。
2匹は毎回、顔を合わせると鼻チューをするようになった。最初は「いい感じ!」と喜んでいたのだが、よく観察していると、毎回鼻チューを仕掛けるのはハナのほうで、はちは積極的ではなかった。
ハナは、はちを見るとずんずんと近づいて行き、どん、といった感じで自分の鼻をはちの鼻にぶつける。しかも1回では終わらず、2回、3回と連続で行う。
ハナは親愛の情を示しているのかもしれないが、はちにとってはただの迷惑な「鼻突き」でしかないようだ。はちはやがて、ハナに鼻チューされると腰が引けるようになった。
膀胱炎に
あるとき、3回目の鼻チューの手前で、はちはパチンとハナの頭に猫パンチをお見舞いした。どうなるかとヒヤッとしたが、ハナは一瞬動きを止め、そのまま向きを変えてケージに戻って行った。
その日の夜、はちはシステムトイレを出たり入ったりした。翌朝、下段のトレーを確認すると、小さじ1杯程度しか尿がたまっていなかった。昨晩、嫌な予感がしたので、あらかじめ尿を吸水するためのシートははずしておいたのだ。
すぐに採尿し、はちを連れてかかりつけの動物病院へ向かった。
検査の結果、軽い膀胱炎と診断された。はちは、ストラバイト結石ができやすい体質だが、今回は幸いなことに、石はできていなかった。
「どんなに仲がよさそうに見えても、新しい猫ちゃんの存在は、先住猫ちゃんにとっては大きなストレスなんですよ。でも猫ちゃんは環境に慣れていく動物です。現在、2匹とも快食快便なら、はっちゃんもいずれは落ち着くでしょう」
と院長先生。
それでも、私は落ち込んだ。
確かに「多頭飼いガイド」にも「先住猫の立場を第一に考えて行動するように」とある。わかってはいたが、まだ「よそからの預かり猫」という立場のハナのことばかりに気がいって、はちのケアがおろそかになっていたのは否めなかった。
その日は、病院で処方された消炎剤とサプリメントをはちに与え、私はいつもよりたくさん遊び、ウェットフードも多めに与えた。
そして、ハナにはこう諭(さと)した。
「はちは、押しが強い女子は苦手なんだって。だから、もうちょっと行動を控えめにね」
だが、どんなに遊ぼうが、ウェットフードやスープを与えようが、はちが早朝から鳴くのは変わらなかった。ハナがなかば強引に鼻チューをしたがるのも同様だった。
(次回は3月1日公開予定です)
![「こんにちは、はちです。この間、ジャガイモ君たちと話して驚いたんだ」(小林写函撮影)](http://p.potaufeu.asahi.com/9d7d-p/picture/28255919/bcfbdf2315590fc87c76012869619983.jpg)
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