犬の特殊能力なのか? 「してあげている」がなぜかうれしくなる理由
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先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤 賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。
重労働もなんのその
犬と暮らすと、毎日の散歩やゴハンの準備、遊び相手、なでる係、おやつの時間など、色々やることが増える。
他にも犬は、しばらく遊びに行かないと露骨に「最近つまんねーオーラ」を出すので、わりと定期的に「イレギュラーなお出かけ」をしないといけない。
私の場合、いつでも自由に走り回れるようにとプライベートドッグランも作った。しかも歩けないほど雑草が生い茂っている敷地を、使ったことのなかった草刈り機で何度も何度も刈り取り、アニマルフェンスを設置してみたりした。
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柵を設けた後も、大福の脚が毎回泥だらけにならないよう、ウッドチップを敷き詰めてみたり、でもそれは1年で土に帰ることを知り、次に芝生化するべく種をまいたり、刈っても刈っても生えてくるクマザサと格闘して、最終的に根ごと引っこ抜いたり、すべてが手探りで、今もまだ終わっていない。
それらはかなりの重労働で、仕事だとしてもやりたくはない作業である。でもなぜか、大福がうれしそうに走り回っているとうれしくなり、やる気が湧いてくる。これは、なかなかないことだなと思う。
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家族に対しての私の温度
私は買い出しから夕食の支度までやるので、妻は帰宅すると風呂も沸いていて料理が出来ている状態になっている。これは、今日食べるものは自分で決めたい、という私の意思からそうしている。
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だからやってあげているとは思わないが、感謝くらいせいよとはたまに思う。妻のためにやっているわけではないし、出てきた料理(冬は鍋率80%)に文句も言われないから別にいいのだが。
少し脱線するが、私は調理も洗い物もまったく苦にならない。それは高校生の頃、大学生に混ざって居酒屋の厨房(ちゅうぼう)でバイトをしていたからだと思う。忙しくなると、フライパンを3つくらい同時に使わないといけなかったし、その後には鬼のように押し寄せる食器を洗わないといけなかったから、それに比べたら家庭で出る洗い物なんてなんでもない。
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バイトしている当時は、ギターが欲しいからとか、友達と遊びに行きたいからという理由で後に役立つとはまったく思っていなかったけど。だからこれを読んでいる若者たちには、色々な業種でバイトしておいた方がいいよと言いたい。若い人は読んでないか。
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犬が喜ぶ顔が見られたらそれでいい
話を戻そう。私は妻に対してもその程度だから、あまり奉仕するタイプではないと思う。たまに「ペットロスで苦しんでいるときに本(『またね、富士丸。』)を読んで救われました」とか言われることがあるが、そもそも誰かを救いたいと思って書いたわけではないから、「あぁ、そうですか」としか言えない。
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それが大福のためだったら、ものすごく働くし、自分でも予想出来ない行動を取ったりする。
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2017年に八ヶ岳にボロ山小屋を買ったのも、せっせとドッグランを作ったのも、すべては大福のためを考えてのことで、いなかったら絶対やっていない。さらには、2023年には山へ完全移住した。
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これは厳密にいえば、大福のためだけではなく、夏に毎朝5時起きするのがつらすぎるという気持ちもあったが、山の環境の方が喜ぶだろうと思ったのはたしかだ。
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それに山で暮らすようになって1年経つが、腰越時代と比べて大福の足取りは軽くなったし、元気になったような気がする。そんな姿を見ているとうれしくなるし、移住という決断を促してっくれてありがとうとさえ思う。さて、今度はどこへ遊びに行こうかね。
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