預かり中のシュナウザーが前庭疾患に 老犬に多い病気とどう向き合う
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第37回は「ニハチの前庭疾患に向き合う」をお伝えしていきます。
老犬によくある前庭疾患
トイプードルのイチゴを預かり始めてから、我が家の預かり犬は老犬が2匹になりました。さすがに老犬2匹ともなると私だけではお世話ができないので、散歩は夫にも頼んで、2人で1匹ずつ連れて行っていました。
夫は、犬が2匹になった時の助っ人要員です。以前預かっていた2匹の野良の子犬のお世話をして以来、すっかり犬のお世話が板について、何でも頼めるようになりました。
イチゴより先に我が家に来ていた保護犬ニハチは、目も耳も悪いのですが、散歩ではリードをつけて先導してあげると何も困ることなく歩けていました。逆に、目が見えている子より真っ直ぐ歩けるほどでした。
ところがある朝、ニハチのいる1階へ行くと、ケージにいるニハチが立ち上がれなくなっていました。頭の傾斜が見られたので、素人の私でもそれが「前庭疾患」だということがわかりました。
うちで亡くなった預かり犬のチョコは、当時2回も前庭疾患になったことがあったのですが、この病気には本当にがっかりさせられます。
老犬がよく発症する神経症状が現れる病気とはいえ、元気に歩き回っていたのに、突然頭が傾斜しめまいがして、真っ直ぐ歩けなくなってしまうのです。
ニハチは治るかどうかわからない
私の経験では老犬が前庭疾患になると、1〜3日くらいは目がぐるぐる回ってしまうようで、起き上がることができなくなります。首の傾斜も強く現れます。動物病院で薬を処方してもらうと、めまいによる嘔吐(おうと)や下痢は改善されました。
発症から数日するとめまいが弱まってくるので、自力で立ち上がれるようになります。チョコの場合は、2回もの前庭疾患から立ち直ったので、ニハチもしばらく様子を見ることにしました。すると5日ほどで、ニハチは自力で立ち上がれるようになりました。
とはいえまだ頭が傾斜していたので、歩いて家具に挟まってしまうのを避けるため、1.5 × 1.5メートルの小さなスペースにカーペットを敷き詰めて、そこで歩かせることにしました。そしてそのスペースの周りを囲みサークルにすることで、ニハチは自由に立ち上がって歩き回れるのです。
前庭疾患は、治る子は1週間くらいでどんどんよくなるのですが、ニハチの頭の傾斜は10日経っても結構ひどかったので、獣医には「治るかもしれないし、このまま治らないかもしれない」と言われてしまいました。
それでも食欲旺盛!
前庭疾患の良いところ……といっては何ですが、病気ではあるものの食欲が衰えないことが挙げられます。発症して数日は、嘔吐や下痢の症状があるのですが、薬を処方してもらい、症状がおさまれば食欲は戻ってきます!
うちに来る預かり犬たちのほとんどは食欲旺盛で困らなかったのですが、ありがたいことにニハチも同様で、前庭疾患になろうが食欲は衰えませんでした。老犬は食べられないとすぐに衰えてしまうので、その点は安心でした。
ただ自力では食べたり水を飲めなくなってしまうので、体重を減らさないようにそれらの管理も必要になります。幸い私は、自宅兼事務所という働き方なのでそばにいてあげることができましたが、いつもならガブガブと自由に飲んでいた水を数時間ごとに与えないといけません。
また、ニハチは7キロあり重く、ハーネスでサポートしながらの散歩へは行けずにいましたが、首の傾斜は残るものの、少しずつサークルの中では歩けるようになっていきました。前庭疾患から回復し歩けるようになったら、マットやカーペットを敷き詰めて、転んでも大丈夫なようにして、水も部屋の端っこに置いて倒さない工夫が必要です。
預かりボランティアとしては、まめに動物病院へ行ったり、ニハチの様子を密に団体に報告していました。
コツコツと歩かせ、毎日お世話をして元気になってきたところにいつも前庭疾患はやってくるのです。
ニハチの衰えない食欲だけが私の救いでした。
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