障がいのあるハイパーなボーダーコリーとの暮らし 何があっても無駄な時間なんてない
三本脚のボーダーコリーの子犬。そのハイパーさは、UG DOGSアトラスタワー中目黒店(以下UG)の高橋信行店長と愛犬でUGのリーダー、ロイスは「こいつはヤバい!」と危機感を覚えるほどだった。
激アツ店長、中目黒の駅前で叫ぶ!
「仕事がない、ルールもないだと暴走するかも!? でも意思疎通できれば最高の相棒に!」
頭の良さを痛感!
UGの社会化お泊まりがスタートしたボーダーコリーのめろーくん。前脚に障がいがあるものの、そんなことを感じさせないほどのパワフルボーイで、小型犬の子犬たちともルンルンと遊び、調子に乗りすぎると高橋店長の愛犬でUGの群れのリーダー、ジャックラッセルテリアのロイスに厳しく注意されながら、楽しく過ごした。
しかし、店長は「ボーダーコリーの頭の良さを思い知らされました」。
ボーダーコリーのボーダーは「国境」の意。イングランドとスコットランド国境あたりが原産で、昔から牧羊犬として活躍してきた。店長はこう解説する。
「ワーキングドッグとして素晴らしい資質を持っていて、全犬種でもっとも頭がいいと言われている。だからこそ、簡単に育てられる犬種ではありません。頭がいいからこそ、仕事を与えたり学習させたりしなければ、暴走してしまう可能性がある。さらに、飼い主が一緒に楽しめるようじゃないと。アジリティーやドッグダンスに参加する飼い主さんが多いのは、その能力を生かすかすためだと思います。一緒に何かをすることで、最高の相棒にもなれるすばらしい犬種でもあります」
めろーくんは犬だけでなく、店長をはじめUGのスタッフたちのこともよく観察していたという。「2日目には僕がこの場を取り仕切っていると理解し、僕とスタッフに対する態度が変わりました。頭の良さを痛感しましたね」と店長。
また、要求ほえが多かった。「ほえればどうにかなる」と学習していたのだろう。「『僕を見て! 僕が最優先!』というワガママぼえ。閉店後にケージに入れると最初はずっとほえていました。おうちではほえたことでお母さんがケージから出してくれたから、同じことをすれば出してもらえると思ったのでしょう。でも、そんなワガママはUGでは通用しません。ここでは君の思うようにはいかないよ、ルールは守らなければいけないんだ、と、頭がいいのだからこそきちんと伝え、理解させればいい」
お散歩も、やはり「リードをつけられて歩く意味がわかんない」とばかりに抵抗した。それでもお泊まり3日後には、「ようやく『つながった』という感覚がありました」と店長。ケージからのほえも、1日1日、落ち着いていったという。
そこからが地獄…
こうしてあっという間に1週間は過ぎていった。「まだまだ序章。これから先はめろーくんと一緒にお母さんもがんばる。アフターケアにもまめに通ってもらうようお願いしました」と店長。
お泊まり終了後、めろーくんはケージで寝られるように。ただ、お散歩は、友達わんこがいれば歩くのに、一緒に歩くのがお母さんだけだと歩かなかったり、気になるものに飛びついたりと、あまり変わらなかった。
そして、肩関節から先を手術で断脚。安静にさせるのが難しかったが、傷口はほどなく回復。ドッグランやアジリティー、川遊びなど、とにかく思い切り遊ぶのが好きなめろーくんのため、お母さんはあちこちに連れ出した。
ところが今年3月。ボール遊びをしていたときに突然「キャン!」と悲鳴を上げた。病院で診てもらうと、左前脚の小指がポッキリと折れていた。お母さんは当時を思い出し、ため息をつく。
「そこからが地獄でした」
本来はケージレスト(ケージの中で安静にする)が必要だが、数日後に痛みが治まると、元気なめろーくんを安静にさせるのは難しくなった。そこで、医師の了解を得た上で車椅子を作ることに。店長に相談し、店長の初代愛犬ウェルシュコーギーのジャックがお世話になった犬の車椅子工房にお願いして、その日のうちに「めろー号」が完成した。
これで前脚を使わなくても歩けるように。しかし、やはり以前のようには走れないし、体を動かすこともできない。少しずつ散歩を始めたが、小さい犬が好きで、以前は会うとおなかを出してあいさつしていたが、車椅子だとそれができない。やるせなさがイライラとなり、めろーくんのストレスが爆発!
「車椅子のまま爆走したり、ウィリーしたりして、ヒヤヒヤ。黒い服を着ている人が嫌なのか飛びつきそうになることも。止めようとした私の手をかもうとしたときはショックで……。このとき初めてノイローゼになりそうになりました」とお母さん。
しかし、こう続ける。「車椅子を使わなくなるまで約1カ月。めろーも、私も本当に大変だったけれど、少しずつガマンを覚えてくれるようになったようです。無駄な時間ではなかったと、今は思っています」
めろーのために一念発起
今もUGに通い、群れの小さな子たちと楽しそうに遊ぶめろーくん。「今ではすっかりロイスの弟分として、いいきょうだいコンビになってきています」と店長もうれしそう。
実は、めろーくんと「つながっている感覚」がなかなか感じられなかったというお母さん。しかし、「ようやく最近、意思の疎通ができている瞬間が増えました」と笑顔を見せる。とはいえ、お散歩中に突然走り出すめろーくんに引っ張られ、手を痛めるなどまだまだ一筋縄ではいかないようだ。
そこでお母さんは一念発起。
「めろーと歩く、遊ぶ、暮らす、そして生きていくために、私自身、ピラティスなどでしっかり体幹を鍛え、食生活も気をつけるようになりました。めろーのおかげで健康になれたような気がします。めろーのためにも、めろーとお出かけするためにも、元気でいないと!」
店長はこう語る。
「脚が一本ないからと、ともすれば『かわいそう』とお涙ちょうだいになりがちですが、お母さんはめろーくんが三本脚ということをまったく気にしていない。普通に、ごく自然に接している。そこに心から感動します。ただ、めろーくんとの関係性にはまだまだ悩みや迷いを持っている。そこは僕らが叱咤激励しながらサポートしていきます。めろーくんの抜群にかわいい笑顔と、それを幸せそうに見守るお母さんをこれからもそばで見ていたいから」
- UG DOGS アトラスタワー中目黒店
- 住所:東京都目黒区上目黒1-26-1 中目黒アトラスタワー106
TEL:03-5708-5592
営業時間:11:00~20:00(年中無休)
公式サイト:https://anm.ugpet.jp/ - 店長ブログ:https://www.ugpet.com/blog/anm/
※カウンセリングは電話、対面とも要予約。HPや高橋さんのブログをチェックした上で問い合わせを。UGでは基本的に保護犬を預かる活動はしていません。
【関連記事】
・やることやっていないのに子犬に求めすぎ! かみつくチワックスに悩む飼い主に転機が
・念願の犬との暮らしが始まったが「別犬?」 暴れるチワワに危機感を覚えた
・これが子犬の甘がみ? ポメプーに血だらけにされた夫婦、どうしたらいい
・手がかからないと思ったミニチュアシュナウザー スイッチ入ると大暴れで生傷絶えず
・愛したいのにうまくいかない 1歳になってもギャンぼえするポメラニアンにもう限界
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。