遊び?ケンカ? 研究者がネコ同士の取っ組み合いを調査「声を出してると闘争に近い」
ネコ同士の取っ組み合いを見た時、遊んでいるのか本気のケンカなのかを見分けることはなかなか難しいのではないでしょうか。楽しそうにじゃれ合っているのに、途中からなんだか穏やかでない空気になっているネコたちを見かけることもありますよね。そこで今回は、2匹のネコのじゃれ合いについて調査した論文 “An ethological analysis of close-contact inter-cat interactions determining if cats are playing, fighting, or something in between”を紹介します。
105本のネコ動画からみえてくる関係性
一緒に暮らしているネコが1匹だと寂しそうだから、2匹目のネコを迎え入れるという話をよく聞きます。しかし、ネコ同士が仲良くしてくれるかどうかは実際に暮らし始めてみないとわかりません。また気が合っているようで、しょっちゅう取っ組み合いをしているネコたちの場合、それが遊びなのかケンカなのかを見分けることは困難です。
スロバキア・コシツェ獣医薬学大学の研究チームは2匹のネコの取っ組み合い行動について調査をしました。調査には、YouTubeの動画と飼い主から提供してもらった105本のビデオを使いました。YouTubeは“cats play fighting”、“cats play with each other”、“cats playing together” 、 “cats fighting”と検索してでてきた動画を使ったそうです。
全部で105組、合計210匹のネコの行動を6つのカテゴリ(非活動的、レスリング、追いかける、相手のネコへの動き、相手のいない動き、発声)に分類します。続いて専門家がネコのペアそれぞれについて、友好的な「じゃれ合い」、攻撃的な「闘争的」、そしてじゃれ合いと闘争が混在する「中間的」の3つのグループに分類しました。
鳴きながら追いかけていたらケンカの兆候かも?
ビデオを分析した結果、210匹のうち56.2%(118匹)が「じゃれ合い」、28.6%(60匹)が「闘争的」、15.2%(32匹)が「中間」という結果になりました。
ネコ同士の格闘は「じゃれ合い」のグループと最も関連し、鳴き声や追いかけっこは「闘争的」なグループと関連していました。また「中間的」なグループは仰向けに寝転がったり、互いに毛づくろいする(グルーミング)といった行動を長い時間していました。研究者たちによると、声を出さずに取っ組み合いをしている場合は遊んでいる可能性が高く、声を出したり追いかけている場合は闘争に近いと考えられるとのこと。
今回は1度だけのビデオ映像のみで解析したため、これだけでネコ同士の関係がわかるとはいえません。ケンカをしていても、同じベッドで寝ていたり、毛繕いしてたり、さらに長期的な関係を築けば仲良くなる可能性もあります(もちろん長年一緒に暮らしていても一度も一緒に寝ているところを見たことがないというネコたちもいますが……)。
研究者たち曰く、ネコ同士の耳の動きや視線の動かし方など細かく分析することで、よりネコ同士の関係性が理解できるようになると考えられるとのこと。今後のネコ同士の関係の研究について期待したいです。
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