ネコ好きほどネコが嫌がる場所を触っている!? こねくりまわしにご注意を
ネコと暮らしたことがあるヒトは、ネコはどんなことをされるのが好きで何をされると嫌なのかという知識があると自負している方は多いのではないでしょうか。しかし、ネコに対する振る舞いを客観的に見なければ、ネコにとってよい行動なのかはわかりません。
今回は、ヒトの性格や経験がネコとの接し方にどう影響するのかを調査した論文“Investigation of humans individual differences as predictors of their animal interaction styles, focused on the domestic cat”を紹介します。
ネコとの接し方に自信はありますか?
ヒトがネコと暮らすことになった理由は定かではありませんが、現代においてネコと暮らすことの健康や心理的なメリットは多く語られています。しかし、普段ネコに対しておこなっている行動が、ネコにとって正しいかどうかは自分では判断つかないのではないでしょうか。
ノッティンガム・トレント大学の研究チームは、ヒトの性格やネコとの触れ合いの経験が、ネコに対する行動にどのような影響を与えるのかについて調査をおこないました。
120人の参加者は、まずアンケートに答えます。年齢や性別などの基本情報に加えて、ネコの飼育経験や動物に関連する専門的な仕事やボランティアの経験について回答しました。さらに、自分がネコの行動についてどれくらい知識をもっているかについても答えました。
続いて、ビデオカメラが設置された部屋に入り、3匹のネコとそれぞれ5分間交流をします。調査には、保護施設で暮らす合計114匹のネコが参加しました。参加者がネコに触れた回数や、ネコから近づいた時にどのように行動したか、さらにネコのどの部分(緑=顔回り、赤=おなかや尻尾の付け根、黄=それ以外の体全体)に触れたかなどをビデオカメラで記録しました。
ネコ好きほどネコが嫌がる場所を触っている!?
解析の結果、ネコの飼育経験や知識をもっているヒトほど、ネコが嫌がる赤い領域への接触が多いことがわかりました。また、ネコに対して自由に行動する余地を与えない傾向が多かったのです。
これは心理学でダニングクルーガー効果と呼ばれる、専門性や自己評価が正しくできずに自分の能力を過大評価してしまう現象の影響が考えられるとのこと。意外にも、ネコと暮らしていてもネコや動物に対する正しい知識がないヒトが多いのかもしれません。
また神経症的な傾向の性格のヒトや年齢が高い(56~75歳)ヒトは、ネコを抱いて拘束する傾向が多くみられました。一方、動物に関する仕事の経験があるヒトは、ネコにとって快適なアプローチをしていました。なお、この調査ははじめて会うネコとの関係を記録していました。一緒に暮らしているネコで調査すると、また新たな発見があるかもしれません。
ノッティンガム・トレント大学の研究者チームが作成した『CATガイドライン』があります。選択と制御を与える<Choice and control>、反応に注意する<Attention>、触る場所に気を付ける<Touch>といったネコに接する時の行動指針です。今回の調査に協力した保護施設による動画で観ることができるのでぜひチェックしてみてください。
私も幼い頃からネコと暮らしてきたので、ネコのことを知っていると思い込んでいるフシがあります。しかし、知識をもっているからといって、目の前に魅力的なネコがいると、ずいずいと手を伸ばしてグリグリとこねくりまわしてしまうこともあります。これくらいなら大丈夫、などと慢心せずに、ネコには(抱きつきたくなる気持ちをおさえつつ)真摯(しんし)に接したいものです。
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