ジム通いに仕事や旅行も何のため? 50代になり振り返ると発端は「犬のため」だった

毎朝散歩している腰越(鎌倉市)の海岸

運動嫌いがジム通いを始めた理由

 最近、自分がやることに関して、「何のためにそれをやるのか」と立ち止まって自問してみるようにしている。いや、別に変なセミナーに行ったわけでも、自己啓発系の本に影響されたわけでもない。もう51才になったので、勢いとか、なんとなくではなく、ちゃんと納得出来る理由があるのか考えてから行動しようと思ったのだ、遅すぎるが。

 たとえば、半年前から近所のジムにほとんど毎朝通い、30分ほどクロストレーナーをして、3回に1回くらい腹筋を100回している。が、私はもともと体を動かすのが大嫌いだ。だからいまだに嫌で嫌でしょうがない。それでも続けているのはなぜか。体形を維持したまま好きな物を食べ、酒を飲み続けたいから、というどちらかといえば不健康な理由だ。

 クロストレーナーを選んだのはジョギングより消費カロリーが高く効率がいいからで、30分なのはそれ以上やりたくないから。朝なのは嫌なことを最初に終わらせておきたいからで、昼や夕方になると、私のことだから何かしら理由をつけて「明日でいいか」となるのが目に見えているからだ。

山の家のドッグランにて

 20代、30代の頃は58キロくらいで何をしても何を食べても体重は増えなかったが、40代から少しずつ増え始め、50代になり、気がつけば66キロになっていた。おなかがちょっと出ている。基礎代謝が落ちたせいだと思うが、これはまずい。

 そして、昨年夏に受けた健康診断では、γ-GTPが112(基準値は13〜64)で、それ以外も肝臓の数値が高く要精密検査と紙が届いた。明らかに酒の飲みすぎである。食事を変え、酒を断つか。そんなことはしたくない。なら運動するしかない、と仕方なくジム通いを始めた。

おとなしく診察を受ける大吉

 また、同時期から毎朝ニンジンとリンゴとレモンをジューサーで絞ったジュースを飲むようになった。そんな生活を半年続け(酒の量は減らしていない)、年末に精密検査を受けると、驚いたことにγ-GTPは42まで下がり、それ以外もすべて基準以内になり、まったく異常なしの状態になっていた。体重も60キロくらいまで落ちた。これでまだ飲める。だからまだジム通いは続ける。酒好きの諸君、頑張ろうぜ。

逃げられないようガッチリガードで診察する福助

発端は大福のため

 良く考えれば、健康診断にしても以前は受けていなかった。しかし、犬たちのために毎年受けるようになった(だから肝臓の数値は高めなのは以前から知っていた)。なぜなら、大吉と福助には毎年(出来れば半年に一回)健康診断を受けさせているのに、自分は受けないのはおかしい。私が健康でないと彼らの面倒も見られなくなる。異常があれば早く気付いた方がいい。もちろん自分のためでもあるのだが、動機は犬が大きかった。

 仕事に関しても、経済的に厳しくなると彼らにも影響があるので、頑張って働く。そこにも犬と暮らす人の、少しでも役に立てればという願いはある。この連載の原稿を書くときは、犬のことで悩んでいる人の参考になればと思って書いている(今回はちょっと違うかもしれないけど)。

 あと、ブログを書くときは、富士丸や大福との何げない日常をつづることで、保護犬の譲渡先募集というものを知らない人に知って欲しいという思いが根底にある。

奥秩父のキャンプ場にて

様々な変化も

 他にも犬起源は色々ある。ほとんど外に飲みに行かなくなったのは留守番させるのが心苦しくなったからだし、車の運転が丁寧でハンドリングやブレーキが緩やかになったのは犬に負担をかけたくなかったからだ。

 カメラだって犬の写真が撮りたくて始めたし、旅行も富士丸が喜ぶから行くようになったのであって、どちらも元々興味はなかった。そもそもライターになろうと思ったのも、家で仕事出来れば留守番の時間が減るからだった。山の家を手に入れたのも、大福のためだし、富士丸との約束を守るためでもあった。

実現に向けて動いていた計画図

 というように、改めて振り返ってみると、私のやる・やらないは「犬のため」を判断基準にしていることが多くて驚く。

犬と共に生きる道

 もちろん、すべてが犬のためではなく、無駄なことや、なんとなく勢いでやって後悔したこともたくさんある。けれど、30代以降の私の生き方の根っこには、犬がいたのは確かだ。事実、富士丸がいなくなってからの空白の2年半は、ほとんどなんの目標もやる気もなく、ただ無気力に食べて寝ていた。

現在の山の家

 犬にとってみれば、食べることも散歩も私がいなければ出来ないのですべてを握っていると言えるが、私にとっても彼らが原動力なんだなぁと思う。アナタなしでは生きられない、なんて歌詞や台詞(せりふ)を聞くと「そんなわけないじゃん」と思う私だが、犬なしでは生きられないのかもしれない。

大吉11歳で福助は9歳に

【前の回】先住犬は新入り犬と仲良くなれる? 多頭飼いになって分かったメリットとデメリット

穴澤 賢
1971年大阪生まれ。フリーランス編集兼ライター。ブログ「富士丸な日々」が話題となり、犬関連の書籍や連載を執筆。2015年からは長年犬と暮らした経験から「デロリアンズ」というブランドを立ち上げる。2020年2月には「犬の笑顔を見たいから(世界文化社)」を出版。株式会社デロリアンズ(http://deloreans-shop.com)、インスタグラム @anazawa_masaru ツイッター@Anazawa_Masaru

sippoのおすすめ企画

sippoの投稿企画リニューアル! あなたとペットのストーリー教えてください

「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!

この連載について
悩んで学んだ犬のこと
先代犬は富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らす穴澤賢さんが、犬との暮らしで実際に経験した悩みから学んできた“教訓”をお届けしていきます。
Follow Us!
編集部のイチオシ記事を、毎週金曜日に
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。


動物病院検索

全国に約9300ある動物病院の基礎データに加え、sippoの独自調査で回答があった約1400病院の診療実績、料金など詳細なデータを無料で検索・閲覧できます。