ハチ騒動で大活躍した猫の「あんず」
ハチ騒動で大活躍した猫の「あんず」

飼い猫の“狩り”の本能に感謝! 部屋に入り込んだハチの追い出し作戦で大活躍

 秋は、猫アレルギーを持ちつつ猫と暮らす者にとっては、非常に快適な季節と言えます。なぜなら、一日中窓を開け放つことができるためか、アレルギーが出にくくなるからです。しかし先日、窓だけでなくうっかり網戸まで長時間開け放ってしまい、家の中にアシナガバチが入ってくるというハプニングがありました。結果的にはなんと、サビ猫の「あんず」が大活躍してくれたんです。

猫も人も刺されたくないから…

 ハチが入ってきた時は幸い子どもが保育園に行っている時間帯でしたが、私だって刺されたくないし、猫が刺されるのも絶対に嫌。早急に追い出さなければ!そんな強い気持ちを持ったものの、具体的な作戦はありません。

 ブンブンブン!

 部屋中を暴走族気取りで飛び回るアシナガバチ。もう冬も近いというのに、何がアナタをそんなに元気にさせているのか……。

 そういえば幼いころ、実家の物置小屋の屋根にできたアシナガバチの巣を母が駆除したんだっけ。母が長い鉄棒の先端に古い布を巻き付け、灯油に浸して火をつけ、それで巣を燃やすという、今思えばいろいろな面で危険なやり方だけど、それでハチがいなくなったんだよな。そのハチの同族と戦っているんだな……。

 と、現実逃避している間にも、ハチは窓の近くに行く様子もなく、我が物顔で部屋の中央を飛び回っています。一体どうすれば……。

 母にならって、長い棒だ!と掃除用ワイパーをハチに近づけ、窓に追いやってみることにしました。

 ブンブンブン……!

「ヒィー!」

 羽音が怖くてうまく近寄れないし、下手に刺激して攻撃でもされたら大変だ。すると、飼い主の悲鳴を聞きつけたサビ猫のあんずが朝寝から起きてきました。

 ニャァ―(何なの?何か楽しそう!)

 とでも言いたげに、足取り軽く飛び出してきました。

「楽しいもんじゃないんだよーあんず」

 そう言うと、ハチに気づいたあんずは、キラキラとした目でハチを追い始めました。

 ブンブンブン!!

 ニャァ―!(ドタドタドタ……)

キャットタワーにいる猫
キャットタワーで様子をうかがうあんず(ハチ騒動とは別で撮影)

 追うといっても、ハチは背をかがめた私の頭上を飛んでいるし、あんずは足元にいるので、ハチとあんずが交わることはありません。あんずはキャットタワーに登ることもしましたが、ハチがキャットタワーに近づきでもしない限り、届く気配もなく。もし届いて刺されでもしたら一大事なので、これで良いともいえますが……。

飼い猫の狩猟本能って?

 高齢にさしかかかった飼い猫の狩猟本能って、どれくらいあるのでしょう。あんずの場合は、外で生まれて母猫のお乳をもらっている時に保護されたので、狩猟の必要はなく今まで過ごしています。そのせいなのか、生まれつきなのか、虫や鳥やネズミのおもちゃで遊んでも、楽しみはするものの、キャッチするのはとても下手。人間相手ですら、いつも空振りです。

 家の中で見られるぴょんぴょん跳ねる小さいクモ(アダンソンハエトリという名前らしいです)を見つけるのは家族の誰より早く、かわいいお手々で“狩ろう”としている様子は見られますが、“へなちょこ猫パンチ”のあんずが捕らえたところは一度も見たことがありません。

猫の多頭飼育
日なたぼっこ中に小競り合いする2匹

 一方、キジトラ猫の「モモ」は普段の動きは愚鈍であるものの、遊びの時におもちゃをキャッチする能力はとても高いです。ちなみに、モモも乳飲み子(猫)の頃に保護されているので、狩りは生まれつきの能力なのかもしれません。

 以前、家の中にヤモリが侵入したとき、モモとあんずは2匹でうれしそうに追い回して、いつの間にかヤモリのしっぽが千切れていたこともあったっけ。あれはモモがしっぽを捕らえたのだと確信しています。

あんずはドヤ顔でオヤツを要求

 ハチ騒動に話を戻します。

 尻尾をフリフリしながら、相変わらずハチを追っているつもりのあんずですが、ハチは部屋の上を飛んでいます。あんずのお手々は到底ハチに届きそうにないものの、なんとなくあんずが追う形になっていて、偶然なのか何なのか、いつの間にかハチを窓に追い詰めてくれていました。

 身長160cmプラスお掃除ワイパーを持つ人間より、体高約20cmの猫の方が役に立つなんて。

「あんずぅ!でかした!」

 入ってきた窓とは違う窓だったので、急いで網戸も全開にすると、ハチは大空へと羽ばたいていったのでした……。

 ブブブブブン…!

「あんずぅ、ありがとう~!(たまたまかもしれないけど)」

 その時のあんずの表情は、どことなくドヤ顔のように見えました。

 なでなですると、にゃごにゃごとうれしそうにするあんず。その後、家事に戻ると、ずっと後をついてきて、まだにゃごにゃご言っています。

ひざの上の猫
なでなでを要求するあんず

“ねぇ、ご褒美は?”

 そう言っているように見えたので、仕方なく(朝ごはんをあげたばかりでした)あんずの好きな砂肝のオヤツをあげると、うれしそうに平らげ、満足げに朝寝に入っておりました。

にらむ猫
ハチ騒動には無関心だったモモ。ハチのおもちゃは好き

 その間のモモですか?猫ベッドに横になったまま、“何やってんの?”みたいな冷めた目でこっちをにらんでいました。飼い猫の狩猟本能は、気が向いたときにのみ発揮されるようです。

(次回は12月15日公開予定です)

【前の回】愛猫2匹、数年ぶりに入浴 お互いのことを「シャー!」と威嚇するも、夜には仲良し

安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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