庭で保護した猫の親子 ハナコプロジェクト連携動物病院で診療もスムーズに

我が家の先住たち。少しずつ距離が縮まり家族になってきている

 月刊誌『天然生活』『ESSE』で編集長をつとめ、数多くのヒット作をつくり続けている編集者の小林孝延さんこと「とーさん」は、困り顔の元保護犬「福」と元野良猫の「とも」「もえ」と暮らしています。

 今回は、自宅に姿を現した子猫と母猫についてのお話、第4回です。

(末尾に写真特集があります)

同時捕獲に成功した親猫と子猫

 すっかり間があいてしまいましたが、親子猫保護記録の続きです。

 5月頃、我が家の玄関先の茂みに母猫と2匹の子猫が現れました。よちよち歩きの子猫たちとかいがいしく世話をする母猫。とーさんが家の玄関を開けると、毎日、3匹の猫たちが「こんにちは」するのです。さすがにこのまま放置することはできないと捕獲を試みることに。しかし相手は3匹。一度に保護するのは至難の業。それでもなんとか慎重に練り上げた捕獲作戦のすえ、6月下旬のある日、奇跡的に猫の親子3匹を捕獲器にて保護することに成功しました、というのがこれまでのお話でした。(前回の記事はこちら

巨大な捕獲器に入る猫たち

 捕獲してすぐ、今回お世話になる予定のハナコプロジェクト提携病院に連絡し午後の予約を取りました。ハナコプロジェクトは、作家の山田あかねさんと女優の石田ゆり子さんが設立した、飼い主のいない犬と猫の医療費を支援する団体。今回の経緯を山田さんに連絡すると、保護から一連の様子を動画で記録したいとのお申し出をいただき、よろこんで協力することをお伝えました。

3匹を連れて動物病院へ

 さて、捕獲器におさまった猫親子は布をかけて暗くしたことで落ちついたのか、暴れることも鳴き叫ぶようなこともなく、ひっそりと息を潜めているようです。とりあえず一安心。でも時々気になってちらりと布をめくって中をのぞくと、怯えた目をしてこちらを見すえているのがわかりました。「だいじょうぶだよ、こわくないよ。これから幸せになろうね」そんな言葉をかけてはみますが、まあ、こわいよね。ごめんね。

 山田さんの到着を待って病院へ。待合室でハナプロの申請書類を提出し、診察室に入ります。おもむろに、大きすぎる捕獲器を診察台にドンッ!3匹を安全に捕獲することを目的にしたため猫用にしては大きく、たぬきでも捕まえられるほど……この存在感よ(汗)。

 先生がそーっと手を差し伸べると、意外にも母猫はおとなしい。

「あれ、この子は触らせてくれますね、もしかしたら以前どこかで飼われていた経験があるのかもしれませんよ」とのこと。これにはびっくりでした。普通、生粋の野良猫だと、人が手を出しただけで大騒ぎして、攻撃的になることも多いそう。でもこの母猫は、とても静かに先生を受け入れてくれました。

健康診断を受ける、意外にもおとなしかった母猫

 続いては子猫たち。黒猫、しましま猫。どちらも女の子のようでした。

 なんとメス3匹!!これはでかしたかもしれない。だって三匹が毎年数匹ずつ子猫を産んでいったら……と考えると、少なくとも我が家の周辺で増え続ける野良猫の抑制の一助にはなったかもしれない(いや、そんなに甘くはないか……)。

スムーズにいった動物病院での診療

 3匹は体をきれいにしてもらい、爪も切りました。そして駆虫薬とワクチンを投与。ちょっと風邪気味で涙が結構出ているようなので点眼も。採血した血液は検査に回します。母猫はそのまま入院してハナプロの仕組みを使って避妊手術をすることに。子猫たちは同じくちびっこケアの仕組みを利用させてもらいました。ハナプロの仕組みを使うにはパソコンから利用申請書をダウンロードして必要事項を記入するだけ。病院に事前連絡し、当日身分証明書を提示、と非常に簡単でした。

 先生によれば母猫もまだ若く1歳程度ではないかとのこと。そして、ちょっと風邪気味ではあるものの、健康状態は良好とのことでした。

 我が家の先住猫「とも」「もえ」を捕獲して病院に連れていったときは、病院中を逃げ回り大捕り物になった経験があり、今回もかなり覚悟を決めていったのですが、思ったよりも静かに事が進んで一安心。母猫を見失って不安そうな子猫たちはそのままキャリーに入れて我が家に連れて帰りました。

自宅には巨大なケージ!

 さてさて、家にはすでに、超大型のケージが組み立て完了済み。うちの犬猫たちとしばらく接触しないように隔離した一部屋を用意してあります。今日からここがみんなのおうちですよーー。

さあ、みんなここが新しいおうちだよ!!でかっ

 翌日の午後には包帯が巻かれ、カラーをした痛々しい姿の母猫もふたたびジョイン。猫親子の暮らし第2章がここからはじまるのでした。

 ということで、まだまだ続きます。(大河ドラマ並みに長い!!!)

(次回は12月17日公開予定です)

【前の回】元保護犬「福」は極度の“犬”見知り 緊張が走る散歩中のとあるシーン、どうしてる?

小林 孝延
編集者・文筆家。出版社在籍中は『天然生活』『ESSE』の元編集長、『ハニオ日記』石田ゆり子著ほか、ライフスタイル系の雑誌・書籍を多数手がける。2023年10月に著書『妻が余命宣告されたとき、僕は保護犬を飼うことにした』(鳴風舎)を刊行

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この連載について
とーさんの保護犬日記
困り顔の元保護犬「福」の「とーさん」になった編集者の小林孝延さんが、いとおしくも前途多難な保護犬ライフを語ります。
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