【連載最終回】犬や猫とできるだけ長く一緒に生きる 飼う以外の選択肢
「人生の最後までペットと一緒に暮らしたい」という本音。それを叶えることはできるのか、叶えるための方法やサービスはどういったものがあるのかを、当連載で紹介してきました。
最終回は、ちょっと方向性の違う、自分で飼うこと以外で動物と共に生きる選択肢についてふれ、締めくくりとさせていただきます。
社会の仕組みが願いを叶える
当連載を進めてきた中で、ペットを後に残すことになった時のための、信託や互助会、後を託せる制度など、色々な取り組みが広がっていることがわかりました。
またすべての取材で共通して聞こえたのは、「最後までペットと一緒に暮らしたいと思うのは、決してワガママではない」、「それができる仕組みを社会でつくっていくことが必要」という声です。歳を重ねてもペットとの暮らしを諦めなくてもいいのかもしれない、と思えました。
飼うということ以外の選択肢
他方、連載の企画段階で、動物と共に生きるというのは飼うことだけではないのではという考えもありました。飼い続けるのが難しい場合でも、ふれあいやつながりを持ち続けていきたいという気持ちもあります。
そこで、自分が飼う以外で動物と関わるという選択肢についても、最後にふれておきたいと思います。
保護活動の応援にもなる猫カフェ訪問
代表的なのは「猫カフェ」です。限られた時間ではありますが、個性豊かな猫たちを観察したりふれあったりして、癒やしをもらうことができます。また保護猫カフェは、利用することで保護活動の応援にもなります。
動物とつながりを持てるボランティア
また、ボランティアでも動物たちと関わることが可能です。大きく分けると2パターンあり、ひとつは「預かりボランティア」。
保護団体などでは、保護した犬や猫の新しい飼い主が見つかるまでの間、預かって世話をするボランティアを募集していることがあります。特に、ほぼつきっきりの世話が必要な授乳期を預かる「ミルクボランティア」は、仕事を引退して時間にゆとりができた時などには引き受けやすいといえるでしょう。(※団体によって参加条件があります)
もうひとつは、自ら赴いて行うボランティアです。多くの保護団体が人手を必要としています。団体の拠点に通って犬や猫の世話をするボランティアは、大変なことも多いですが、その中で動物たちとのつながりを持つことができます。
また、施設や病院などへ動物を連れて訪問するアニマルセラピーの活動も随所で行われており、それにボランティアとして参加できることもあります。この連載で活動を紹介した赤坂動物病院も取り組んでいる、JAHA(公益社団法日本動物病院協会)の「CAPP活動(アニマルセラピー 人と動物のふれあい活動)」では、ボランティアスタッフが活躍しています。愛犬を連れた参加だけでなく、ペットがいない人でも活動のサポートをすることができるのです。(※CAPP活動は2022年5月現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため活動を休止中です)
動物とふれあえる施設の利用や入居
高齢者施設などの利用者側になる場合、アニマルセラピーの活動が行われている施設を選ぶというのもひとつです。
猫のいるデイサービスなど、そこで暮らしている犬や猫とふれあえる施設も、少しですが誕生しています。入居の場合も、同じくこの連載で紹介した特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」など、犬や猫がいる施設なら日々ふれあうことが可能です。
柔軟で寛容な社会を目指して
取材先すべてに費用についても聞きました。いずれも根拠に基づく、あるいは良心的な設定だと思われるものでしたが、「お金の準備が必要」といのは、私自身再認識したことでした。最低でもその子の一生分の飼育費用や諸経費は準備しなければいけないというのは、「最後まで一緒に」を叶えるにも、「最期を見届ける」にも、同じく言えることでしょう。
そして、連載を通してしみじみ実感したのが、動物たちがいかに生きる喜びをくれる存在であるかということです。
多くの幸せをくれて、時には奇跡さえもたらしてくれる動物たち。できるだけ長く、何らかの方法でつながっていたい――そう改めて感じました。
望まれるのは、年齢を重ねてもペットと暮らし続けることができる、また、人と動物が共に生きられる豊かな社会です。
柔軟で寛容な、動物も人間も幸せな一生を送れる社会になってほしいと、切に願います。
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