保護犬・猫のボランティアをしたい!「趣味も休みも何もない」仕事中心の生活を変える
インテリアデザイナーとして活動する傍ら、保護犬の預かりボランティアをする小林マナさん。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫2匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。
どんな保護犬を預かれるのか楽しみにしていた “預かりさん”を始めたマナさんのところには、なぜか老犬ばかりが集まって来ることになるのですが……。まず、第1回は「ボランティアを始める」をお伝えしていきます
子どもの頃に描いた暮らしはどこへ
はじめまして。
“預かりさん”をしている小林マナです。
先日のsippoのイベント「みんなイヌ、みんなネコ」では、サコッシュのデザインとオンライントークをさせていただきました。ご視聴いただきましてありがとうございました! サコッシュは、犬のお散歩だけではなくちょっとしたお出かけに使ってもらえるとうれしいです。
さて、私は、小さい頃から動物が大好きで、犬、猫、アヒル、ハムスター、うずらにインコなどを拾ってきては、いつかはムツゴロウ王国のようになるのだろうなと(真剣に)思う子ども時代を過ごしてきました。いつも何かしらの縁で目の前にやってきた動物たちと暮らしていたので、ペットショップで“買う”ことには無縁な生活でした。
いつしか美術大学を出て、設計の仕事をすることになり。毎日遅くまで働き、土日もなんとなく仕事をしているというのが日常だった私は、散歩の必要がない猫を飼うのがやっと。そして10歳の白黒ハチワレ兄弟猫の『ギル』と『ジョー』と2歳の白猫『マロン』が唯一の癒やし。
洋服や物にあふれた部屋に、食事といえば外食ばかり、すべてが仕事中心の生活で、一緒に働く旦那とは、仕事中もプライベートもずっと仕事の話ばかりしていました。
そんな頃に東日本大震災はやってきたのです。
ボランティアをしてみたい
震災で目の当たりにした動物たちの惨状と、動物愛護団体ランコントレ・ミグノン(以下ミグノン)の友森さんとの出会いで、私の生活は一変しました。
ミグノンの友森さんは震災後すぐ、自身のペットサロンの定休日に毎週のように被災地へ出向き、支援物資を届け、帰りに被災動物を車に積んで帰ってくるという生活を始めていたのです。
そんな友森さんのSNSを見て私も何かお手伝いしたいと思うようになりました。ある日私は友森さんの主催するチャリティーイベントへ出向き、彼女に話しかけました。
「いつも活動見ています! 私、設計の仕事をしています。何かお手伝いできることがあったら!」と言うなり……
「え~!今日シェルター用の物件の契約してきたところなんですよ! 奇跡!」
「え~!!!? じゃあ、それやります!」
という偶然の機会が、私のボランティアの始まりでした。
保護犬と保護猫のシェルターをつくる!
物件はボランティアが通いやすいようにと駅から徒歩2分の立地。地下1Fの元ダンススタジオで、一面鏡張りの70平米、防音設備のある無窓の空間でした。
私は簡単な図面を描いて、友人から子供のお絵かきワークショップで使ったベニヤ板をもらい、ボランティアを募ってDIYで内装を作りました。
足りない材料は友森さんがSNSに一言投稿すると集まり、殺風景な場所には絵を描くボランティアも参加して、まずは逃走防止用のゲートが出来上がりました。
「明日から動物たち引っ越してきますから」
「え? 明日からなんですね!」
と、工事も途中の段階だったのに、次の日から工事現場に動物たちが引っ越してきてしまいました。
材料に乗る犬「シュシュ」、カーペットのロールをキャットウオークにする猫「ならお」など小さめのクレートやケージに入る小さめな動物たちが先乗り。毎日ミグノンのSNSで見ていた個性的な名前の個性的な犬や猫たちでした。
工事の仕事と入れ替わりに『お散歩ボランティア』の人たちがやってきて、散歩に連れ出していました。内心「いーなー」、工事より動物たちと触れ合いたいと横目で見ていました。
工事は完了し、完成した中~大型犬用のケージにも犬たちが続々引っ越ししてきました。そこまでで、私の仕事は終了。
当時の私は、海外の仕事が決まり飛び回っていたので、『お散歩ボランティア』はできないしなと半ば諦めていました……。でもその時ハッと気づいたのです。
「私、趣味も休みも何もない!」
自分の今までの生活を見返してみたら、仕事ばかりの生活だったことに驚きました。
そこで始めようと思ったのが『お散歩ボランティア』でした。
これくらいは……っと夫を説得し、その日から私は自分のボランティアの予定を事務所のGoogleカレンダーに1年間入れてしまいました。
応援してくれているとはいえ、最初の頃は旦那にはけげんな顔をされることがしばしば。ですが、先に予定を入れてしまうことで自分にも時間が作れることがわかってきたのです。
そうやって週に1回通い続けて1年経った頃、「これなら『預かりボランティア』もできるかもしれない」と思えるようになり、そのうちに「通う時間がなくなればもっとお世話できる!」と確信に変わっていったのです。
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