18歳の愛猫が長寿の「表彰状」をもらった! この先も穏やかに見守りたい
昨秋、愛猫のイヌオが18歳を迎えたのですが、それを機に、2枚の表彰状を頂きました。1枚は、東京都獣医師会主催の「ご長寿犬・ご長寿猫表彰制度」によるもので、もう1枚は、日本動物愛護協会が高齢の動物たちを「長寿動物」として表彰しているものです。イヌオがどんなふうに表彰状を“贈呈”されたのか記したいと思います。
表彰要件を満たして声をかけられた
イヌオには、糖尿病などいくつか持病があります。そのため、定期的に(2カ月に1度くらい)近所の動物病院に通っているのですが、去年の7月くらいに、主治医の先生に、「イヌオちゃん、今年18歳ですよね。動物病院を経由して飼い主さんに表彰状を贈る制度があるのですが、申し込みますか?」と声をかけてもらったのです。
表彰にはあまり縁がないので、気持ちが上がり、「もちろん、もらいたいです!」と、答えました。先生によれば、(獣医師会が決めた)「表彰要件をすべて満たす飼い主さん」に声をかけているということでした。
調べてみると、要件は次のようなものでした。
- 9月30日時点で15歳以上の犬か猫
- 健康管理に努めて愛情を持って飼育している
- 東京都獣医師会の会員病院をかかりつけにして定期的に通院している
- 飼育開始から5年以上経過している
- 表彰は1動物につき生涯1回(他の病院でもらっていない)
- 犬の場合は狂犬病注射済み
イヌオは5年前に今の家に引っ越してきたのですが、(それまで別の病院に通っていましたが)現在の病院に通って5年以上が経過し、マメに通っているので、今年になって声をかけてくれたのかなあ、と思いました。
表彰状は、話をもらってけっこう経ってから(確か10月初めくらいに)、病院の受付で頂きました。イヌオはその病院に通う猫の中でいちばん長寿なんだそう。
看護師さんがニコニコして「おめでとうございます」と手渡してくれたのですが、両手を伸ばしてもらう時、何十年も前の卒業式を思わず思い出しました。
表彰状と記された下に、私の名前、イヌオの名前。そしてこんな文字がありました。
〈あなたの動物愛護の精神を称えるとともに、イヌオちゃんの長寿を祝い表彰いたします〉
額にいれると、なんだか立派に見えました。
イヌオは年末に検査をすると数値はまずまずで、無事に年を越せましたが、“夜鳴き”は相変わらず。高齢猫と暮らす飼い主さんとも「世話はいろいろ大変ね」と話したりするのですが、睡眠がまとめてとれないので、私は万年寝不足。でも可愛いし、がんばらなきゃと日々必死なので、“表彰”されると、「君はよくやってる」と褒められた気がしたのです。
昔いっていた病院でカルテを確認
その表彰状を見ているうちに、「あっ」と思いました。
イヌオの同居猫、はっぴーが(4歳)を保護してくれた、日本動物愛護協会も表彰状を出していることを、とつぜん思い出したのです。会報誌「動物たち」には毎回、長寿動物の写真などが載っていて、以前、ご長寿犬を紹介してもらい、sippoに記事を書いたこともありました。
「そうだよ、イヌオちゃんも立派なご長寿だし、こっちにも申しこんでみよう」
日本動物愛護協会のホームページを見ると、こう書いてあります。
〈家族の一員として暮らしている高齢の犬や猫を長寿動物として表彰しています。表彰の年齢を迎えることができたということは、その動物は家庭の中で適正に飼育されてきたことの証といえます。また、その動物の最期を看取る「終生飼養」という飼い主としての責任を果たすことが可能となります〉とあります。
終生飼養の言葉が心に響きます。さらに、こんな一文も。
〈一緒に暮らしてきた動物が長生きしている表彰という意味合いだけでなく、共に暮らしてきたご家族の方への感謝状でもあります〉
方法は、HPにある申請書、アンケート、「年齢・生存証明書」をダウンロードして印刷し、必要事項を記入して、お気に入りの写真とともに郵送します。こちらの表彰状はペットの写真を印刷してくれるので、イヌオのどの写真がいいかな~と散々悩み、まん丸お目目のにしました。
「年齢・生存証明書」については、表彰動物の年齢、体重など情報をかかりつけの動物病院で記してもらい、病院名と獣医師の名、獣医師の印鑑が必要になります。書類を印刷し、さっそく、お願いにいきました。
赤ちゃんの時に通った病院に連絡
イヌオは、家に来た日は2003年10月26日で間違いないのですが、今の病院には5年前からのカルテしかないわけです。それで、来て間もない頃に通った病院に連絡し、「記録」があるか調べてもらいました。申請書類にその情報も書こうと思ったのです。
すると、カルテが残っていました。初診は10月27日で、カルテには「2カ月、8月27日生まれ」とありました。2カ月、というのはその病院の推察ですが、確かに小さかったです。
イヌオは栃木県で保護され、東京にやってきましたが、下痢が治らず頻繁に病院に通っていました。最初にイヌオをみた獣医の先生に「この子どこから来たの?東京では見ない虫がいる」と言われたことも、ふいに思い出しました。
体調も悪かったせいか、目も釣り上がり痩せていました……あっという間にふくよかになりましたが。迎えてすぐの写真を見ると、今でも少し驚いてしまいます。
イヌオを迎えた理由は、前の子を“なくした”から。18年前の3月に先代クロが9歳の若さで病気で亡くなり、耐えきれずに半年後に同じ黒猫を迎えたのです。はじめはイヌオでなく、「クロ2号」なんて呼んでいたこともありました。イヌオはあのクロちゃんの倍も生きたんだ!そう思うと……ぐっときました。
書類の審査を経て、2週間ほどで、自宅に日本動物愛護協会から長寿表彰状が届きました。大きさは東京都獣医師会のものとだいたい同じ。でも名前のところが違って、藤村イヌオ殿、と記されていました。それを見たら、「夜鳴きくらいしてもかまわない」なんて思ってしまいました。(あんなにツライのに……)それほど、賞状にはパワーと重みがありました。
持病がありながらもイヌオが長生きしたのは、遺伝的背景など、「もともとが丈夫だったこと」が大きいと思います。先生にもいわれました。あと、はっぴーとの相性が思いのほか合い、よい刺激を受けたからかもしれません。若猫に愛され、間違いなく、イヌオは活性化しましたから。
本当に大切なのは年の「長さ」ではない?
昨今「めざせ20歳」と合言葉みたいにいわれますが、犬や猫の高齢化は顕著なよう。
日本動物愛護協会の長寿表彰の担当者が、表彰対象の年齢の変化について教えてくれました。
「当協会では、今のような表彰は2005年から行っていますが、ペットのご長寿化に伴い、2017年4月より、“猫と小型犬”の表彰年齢を17歳以上から18歳以上に変更しました。数が多いので1歳引き上げたのです。表彰は現在一緒に暮らしている動物たちに限り、生涯1回のみですが、2011年~2020年の間で、(2020年にコロナで申請受付を止めていた数カ月も含めて)表彰した動物は3500匹を超えています」
ここ数年、申請の数が増えるだけでなく、年齢も伸びてきたそうです。
「猫は20歳を超えての表彰も多く、兄弟や別腹家族で20歳越えの表彰もあります。犬と猫を合わせて年間600~700匹(犬猫それぞれ300~400匹)を表彰していますが、最高齢の猫は、女の子は2013年、男の子は2019年に表彰した、共に27歳の子でした」
えっ、27歳!思わず声をあげました。猫なら人でいう124歳くらい?
こう聞くと、18歳のイヌオは“まだヒヨッコ”という気がしますが、でも「生きる長さ」にあまりにこだわりすぎるのも、よくないのかもしれません。
最後に、担当者の方が、飼い主さんの思いや寿命についてこんな風に話してくれました。
「表彰状の申請書に書かれたご家族のメッセージやエピソードは、どれも胸を打たれます。当協会では適正飼養と終生飼養を啓発するために表彰年齢を設けていますが、でも、生まれ持った寿命がどの子にもありますからね……本来であれば、年齢ではなく、その寿命をご家族の元で全うすることが一番大切だと思います」
寿命を全うする……その言葉を胸に刻み、イヌオのこの先を穏やかに見守りたい。
年の始めに、そう心に誓った私でした。
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