ボランティアのきっかけをくれた飼い猫の旅立ち みんなといられてよかった

 インテリアデザイナーとして活動する傍ら、保護犬の預かりボランティアをする小林マナさん。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫2匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。2匹目の預かり犬の家族が決まり、第13回では「飼い猫のギルについて」のお話をお伝えしていきます。

(末尾に写真特集があります)

飼い猫の死 ギルとジョーがくれたこと

 先日20歳の飼い猫がお空へ旅立っていきました。急きょ、予定を変更してギルたちがいたことで始まった預かりボランティアのことをお伝えしたいと思います。

 結婚して5年、夫婦で仕事を始めたころに彼らはやってきました。生後3カ月の保護猫の「ギル」と「ジョー」はやんちゃ盛り。忙しくしている私たちを癒やしてくれる存在でした。

 ご飯を奪い合うこともなく、仲良く同じお皿からご飯を食べるようなおっとりした性格の2匹で、怖がりだったけれど、私たちにはすっかり慣れてくれました。

 おっとりしているけれども野性味もあふれる活発な猫で、毎晩2時間みっちり遊んでいました。2年経っても、3年経っても、結局は大人になってもいつまでも戯れて遊んでいるような、子ども心が抜けない少年のような猫たちでした。

 私は、彼らのアイドルでいつも追いかけられていました。座ればひざに乗ってきて、歩けばついてくる、それが当たり前になっていました。お風呂場の扉も開けて入ってきていました。

シンクロする猫「預かりマナの老犬日記」
いつもなんだかシンクロする3匹

ギルとジョー そしてマロンがいたことで

 私は深い愛情を毎日受けて生活するようになりました。猫たちはどんなに忙しくても文句を言わず毎日同じように接してくれました。こんなに無心の愛を送ってくれる動物たちに、いつしか恩返しがしたいと思うようになっていました。

 ギルとジョーが10歳になったころ、友人が猫を拾い飼いきれないからと、生後2カ月ほどの猫の飼い主を募集していました。そのとき、「ギルとジョーが飼いやすいから2匹も3匹も一緒だ」と私は手を挙げたのです。この頃から可能なことはしていこうと思うようになっていました。

 ところが、新しく来た白猫の「マロン」は、物おじしないし人を怖がらないけれど、人が好きじゃなく、抱っこすれば嚙み付く、ギルとジョーとは真逆の性格だったのです。

 特に困ったのは、3匹一緒にご飯をあげると、目の前にあるものを全部食べてしまうことでした。だらだら食べる猫食いのギルとジョーに対して、一気食いのマロン。ギルとジョーが残したものは全て食べ尽くしてしまったのです。

 その時からご飯の時は人が見ていなければならなくなってしまいました。一気食いができないギルとジョーは戸惑ったことでしょう。ある日から、ご飯が夜までないことになってしまったのですから。しかしそれにも慣れるもので、お昼に食べられなかったせいで、一気とまではいかなくとも合わせて食べられるようになっていったのです。

 出張中のお世話は、同じマンションに住む友人が引き受けてくれました。それ以来、短い出張だとしても毎日のお世話をお願いすることになりました。彼ができない時は、別の友人に頼むこともありました。

 仕事も旅行も安心して出かけられ、長期間でも引き受けてくれる友人たちがいるという経験があったことで、預かりボランティアができるかもしれないと、勇気をもらったのです。

ご飯を食べる猫「預かりマナの老犬日記」
マロンに取られちゃう!

飼い猫たちとボランティアのこと

 はじめこそ仲が悪かったギル&ジョーとマロンですが、ある寒い日に団子状になって3匹一緒になって寝ているのを見た時から、猫たちの心配はなくなりました。

 ギルとジョーが13歳の時に、預かりボランティアの1匹目の「タケ」がやってきたのですが、ゆったり動かない大型犬だったので、猫たちはあっという間に慣れてくれました。その後、さまざまな犬の預かったことで、猫たちは犬がいる状況に慣れて、人が来ても少し出てくるようにもなりました。

 かわいそうだったことは、次々やってくる犬達の性格がタケのようにゆったりしているわけではなかったこと。

 3匹目の預かり犬が来たころ、ジョーが15歳で亡くなり、ギルも同じころに具合が悪くなってしまったので、犬のせいかどうかはわかりませんでしたが、自宅の1階を犬、2階を猫と、住み分けるようにしました。

 引っ越ししてからは具合がよくなり、猫たちは2階で元気にしていましたが、甘えん坊のギルにとっては、1階の私のデスクで仕事の邪魔をしたかったに違いありません。

 ギルはちょうどコロナ禍になってから具合が悪くなったため、たっぷり時間をかけて介護ができました。4時間おきの強制給餌(きゅうじ)や朝晩の点滴など、2階に上がってすぐにしてあげることができました。ギルが私を独り占めできる大切な時間でした。

 最後の2日間は、1階へ連れて降りて、私のデスク下にある預かり犬の「イチゴ」のベッドで寝て、満足そうにしていました。最後にみんなと一緒にいられたことが本当によかったです。

 ギルくん、ジョーくん、君たちがいたことで私は毎日とても楽しかったし、癒やされたよ。ありがとう。

猫「預かりマナの老犬日記」
ねえねえ!ねえねえ!

今回は、予定を変更して飼い猫のことをお話ししました。次回は、私のトレーニング再開についてお話します。

【前の回】3匹目の預かり犬も柴あちゃん! 目も耳も悪いのになでられまいとスルッと逃げる

愛する猫を愛でるための家具「medel」(メデル)をデザインしました。受注販売は11月15日(月)からスタート。写真のモデルたちは元保護猫で、ギルとジョーに似た白黒のハチワレ猫を選びました。マロンも大活躍です。ぜひ「medel」で猫を愛でてください。売上金の一部は、動物愛護団体に寄付されます。詳細はインスタグラムの@neko_medel_storeをご覧ください。

小林マナ
設計事務所イマ/インテリアデザイナー。内装設計やインテリアデザインをメインに活動。東日本大震災をきっかけに保護犬や老犬の預かりボランティアを始める。2019年に<SLOW>のイベントを開催。猫2匹、預かり中の保護犬2匹と暮らす。犬や猫たちのために自宅と事務所を併設、家族と事務所のスタッフたちと保護犬の預かりボランティアをしている。インスタグラム @imanimaltokyo

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この連載について
預かりマナの老犬日記
保護犬の預かりボランティアをしているインテリアデザイナーの小林マナさんが、預かり犬の魅力や老犬との快適な暮らし方をお伝えします。
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