誰だって初めての時がある 高齢猫の介護「強制給餌」は難しくない

 今回はいつもの預かりボランティアの話ではなく、飼い猫の介護の話を書きたいと思います。現在、愛猫の介護まっただ中。20歳の高齢ということもあり、穏やかに終わりを迎えられるようできる限りのことをしています。

 猫の看病や預かってきた老犬たちの介護、さらに獣医師から教わったコツや道具のおかげで、以前より介護がずいぶん楽になったので、そのポイントを紹介していきます。

(末尾に写真特集があります)

記録は大切

 もともと飼い猫も預かり犬もそれぞれ健康記録をつけていました。というのも、私は出張が多く、猫や犬たちを預かってもらうことが多かったからです。1、2日の出張に、以前は2週間ほどの海外出張もよくありました。

 そのため、猫や犬がいつから食べなくなったのか、いつからうんちをしていないのかを把握するために、動物愛護センターのシェルターで採用していたチェックシートを改良して使っていたのです。

 彼らが元気な時はいいのですが、必要なのは具合が悪くなった日からの記録。病院でも当然聞かれます。

 体重、うんち、おしっこ、ごはん、水、元気、食欲、薬、その他に食べたものなどをとっさに答えられますか?

 そんな日に備えて、できれば簡単にマルかバツかを付けるのだけでもいいので記録してみてください。チェックシートがあれば、クリニックでもしどろもどろしなくて済みますよね。

お世話シート
お世話シート

いつだって誰だって初めての時がある

 当然私も、初めての介護という時期がありました。

 今では慣れた猫への点滴も、初めての頃は正解がよくわからなくて、ぎゅっと力の入った指で行っていた気がします。

 そんな時に、先生のやっていることをよく見たり、質問したりして得た知識を、今、まさに介護中の方たちへ送ります。

「肩の力を抜いて、大きく深呼吸してくださいね。だいぶ肩が凝っているようです。そんな気持ちも動物たちには感じ取れます。楽しい気持ちで接してくださいね」

ハチワレ猫
食べられるようになったり食べられなくなったり

強制給餌の道具とコツ

 獣医師からも教えてもらい、猫缶や強制給餌用のシリンジなどをクリニックで購入しています。さらにちょっとしたコツも教えてもらい1日4回の給餌が楽になりました。

 まず、強制給餌のフードは、柔らかければ柔らかいほど飲み込みやすくなっていきます。猫の症状に合わせて柔らかさを決めます。また、あまり硬すぎるとシリンジが詰まってしまって出にくくなります。

 1.猫缶を食品用ビニール袋に入れて手で揉み、水を少しずつ入れて希望の柔らかさにします(この時の猫缶は、ほぐし身など入っていないタイプがおすすめ)。カリカリの場合は、フードプロセッサーで粉砕したフードをビニール袋に入れて、お湯を入れてふやかして、希望の柔らかさになるまで冷ましながら手で揉みます。

 2.強制給餌用の250mlタイプのシリンジ(注射器)にフードを入れるときは、ホイップクリームを抽出するようにビニール袋のはしに穴を開けて、シリンジに押し流します。

 3.猫の耳下のあたりを持ち、口が微かに開いたところにシリンジを入れて、舌の付け根あたりに5mlくらい押し出し、お腹を撫でる、を繰り返す。

 4.残りはビニールごとチャック付きビニール袋に入れて、冷蔵庫で保管します。再度使う場合は、電子レンジで10秒温めて与えると冷たすぎずちょうどいいです。

 シリンジは使い捨てなのですが、水と洗剤で洗って、ゴム部分の動きが悪くなったら、サラダオイルなどを付けて動きをよくします。そうするとだいたい2~3回使うことができます。お湯で洗うとゴムの劣化早まります。

シリンジ
給餌用シリンジとしてクリニックで購入

 高齢の犬や猫が増える中、介護は当たり前のものになっている気がします。介護は、ちょっとしたコツを知ることでとても楽になるものです。

 人も動物も穏やかに介護ができる環境を整えることはとても大切だと思います。

【前の回】預かり中の老犬ココもびっくり!? すっかりトレーニングにはまってしまいました

小林マナ
設計事務所イマ/インテリアデザイナー。内装設計やインテリアデザインをメインに活動。東日本大震災をきっかけに保護犬や老犬の預かりボランティアを始める。2019年に<SLOW>のイベントを開催。猫2匹、預かり中の保護犬2匹と暮らす。犬や猫たちのために自宅と事務所を併設、家族と事務所のスタッフたちと保護犬の預かりボランティアをしている。インスタグラム @imanimaltokyo

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この連載について
預かりマナの老犬日記
保護犬の預かりボランティアをしているインテリアデザイナーの小林マナさんが、預かり犬の魅力や老犬との快適な暮らし方をお伝えします。
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