愛犬の突然死 「体は小さいが存在は大きかった」今も家族であることは変わらない
いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。
2020年に愛犬のミニチュア・ダックスフントの「クレア」ちゃん(享年14歳)を突然亡くし、悲しい経験をされた一美さん。愛犬の突然死を経験した一美さんに、当時のお気持ちや現在の心境にいてお話をお伺いしました。
ある日突然にその日はきた
――昨年、愛犬を亡くされたそうですが、なぜ亡くなり、どういう状況だったのでしょうか?
死因は肺炎との診断でしたが、本当にある日突然で、ただただぼうぜんという感じでした。前日まで普段と変わりなく過ごしていました。
クレアはいつもリビングのソファで寝ていたのですが、亡くなる前日、寝る時間になってもソファの上に座っていて横にならなかったんです。「あれ?クレア、どうしたの?」と話しかけながらも、私も寝る時間になったので、クレアの背中に毛布をかけて就寝しました。そして翌朝起きてリビングへ行ったら、夜かけた毛布もそのままの状態で座っていて……。
「クレア、もしかしてずっと座ったままだったの?」と話しかけたら、突然、呼吸が荒くなり、パタッと倒れました。
――そのまま亡くなったのですか?
すぐに動物病院に連れて行ったのですが、その5分の道中で次男の腕の中で小さくけいれんをして亡くなりました。
病院に着いた時には「クレアちゃん、もう心臓が止まっています」と言われました。介護や通院をしていたこともなく、突然のことで何も覚悟ができていませんでした。
もともと視力は悪かったけれど、病気はなかった
――それまでに病気などはありましたか?
先天的に視力が悪い子で、あまり目は見えていないようでしたが、それ以外は健康で、予防接種と定期健診以外でほとんど病院にかかったことがない子でした。
目に関しては、1歳前くらいから家の中で家具にぶつかるようになって、獣医師に診てもらったところ「ほとんど目は見えていないかもしれないけれど、犬は嗅覚(きゅうかく)や聴覚の比重が大きいから、目が悪いこと自体はそんなにストレスではないと思います」と言われていました。
実際、自宅ではリビングを自由に動き回り、トイレの失敗もなく、食事も自分で採り、定位置のソファにジャンプして上り、飛び降りていました。
――重い病気などがなかったのに突然亡くなったのは、ショックが大きかったですよね……。
それまでも「クレアが病気になったらどうしよう」「介護生活になったらどうしよう」「苦しまないように何をしてあげられるか」など、元気な時からいろいろ考えてはいたのですが、あんなに突然逝ってしまうとは考えていなかったので、相当ショックでした。
――クレアちゃんが苦しんだ時間はなかったのではないでしょうか?
クレアが亡くなった後で、犬は肺炎になると横になるのが苦しい、と知りました。亡くなる前夜、ぱっと見は普通に座っていたので、夜の変調に気づいてあげられませんでした。
時間的には苦しい時間は短かったかもしれません。長い時間、苦しんだり、痛がったりしなかったのがまだ幸いです。また、亡くなったその日は、たまたま普段は大学でいない次男が家にいて、一緒にみとることができたのも良かったです。
亡くなっても家族、関係性は変わらない
――クレアちゃんを亡くして1年以上経ちましたが、今のお気持ちを教えて下さい。
1年経ってもクレアが近くにいてくれる感覚があります。掃除機をかけるとクレアの匂いがするんです、掃除機の中のフィルターを洗っても匂いがしますしね。お骨もずっとリビングに置いています。埋葬しようと思えず、近くに。家族としては形を変えても今もいるという感じです。
クレアからは計りしれない楽しい時間と思い出をもらいました。体は小さかったけれど、存在は大きかった。ただただ寂しいです。喪失感はありますが、関係性は変わらないし家族です。何年経っても変わりません。そこに物質としているか、いないかだけ。今は、うちに来てくれて良かったと心から思っています。
飼い主次第でペットの幸せが決まるとわかっていたので、覚悟と十分にかわいがれるという自信ができたタイミングで、家族と話し合ってクレアを飼うことを決めました。
本当に14年間かわいがってあげられたなと思います。
取材の翌日、一美さんからメールが届きました。本記事に載せる写真を家族で選びながらクレアちゃんの思い出話をし、彼女の存在の大きさを改めて感じたとのことでした。そして、クレアちゃんはみんなから愛されて幸せだったなとしみじみ実感されたそうです。
一美さんご家族から14年間、たくさんの愛情をもらったクレアちゃんは、幸せに旅立ったのだと思いました。
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