犬も歯磨きを始めよう いきなり歯ブラシはNG、ポイントは大げさなくらい褒めること
病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院の院長、石村拓也獣医師が教えてくれます。連載9回目は犬の歯磨きについてです。
愛犬の口の中をチェックしてみよう
6月4日〜6月10日は歯と口の健康週間で、歯や口の中の健康を見直す1週間と言われています。愛犬のお口の中、ぜひチェックしてみましょう。
歯茎が赤くなっていたり、口臭がしたりなどはありませんか?実は、3歳以上のワンちゃんの80%が歯周病に罹患(りかん)しているといわれてます。
今回は犬の歯周病はどんな病気なのか、予防方法などについてご紹介します。
歯周病ってどんな病気?
歯周病は、歯を支えている歯周組織が破壊されていく病気です。歯肉が赤く腫れたり、歯のぐらつきが生じ抜けたりします。口臭が増し、歯茎から出血しやすくなり痛みを伴うこともあります。
歯根にうみがたまると、眼の下や顎の下が腫れてしまったり膿性鼻汁を伴うことも。重症化するとあごの骨が折れてしまうこともあるんです。細菌が血管に入って全身に悪影響を及ぼすこともあり、歯だけではなく全身の様々な臓器に影響を与える全身疾患です。
歯周病の治療は?
全身麻酔をかけたうえで、歯科用の器具を用いて歯垢(しこう)・歯石を取り除いていきます。大事なのは歯周ポケットをキレイにすること。場合によっては抜歯をしたり、外科的処置を行うこともあります。その後、新たな汚れがつきにくくするため、歯の表面を研磨して滑らかにします。
無麻酔で歯石除去を行う場合もありますが、歯の表面の歯石を減らすことくらいしかできず、歯周ポケットにはアプローチできません。また、犬が怖がったり嫌がったりして口の中を傷つけてしまう可能性もありとても危険です。その時の恐怖で口の中を触られることがトラウマになってしまっては元も子もありません。
せっかくお掃除をしても、その効果は一生涯続くわけではありませんので、ご自宅でのデンタルケアが大切になってきます。
犬にはみがきが必要なのはなぜ?
犬は人よりも歯垢が歯石に変わるスピードが早く、なんと3~5日で歯石になると言われています。(人は20日)
歯石は動物病院で麻酔をかけるなどしてクリーニングをしなければ取り除けません。歯垢の段階なら家庭で取り除くことが可能なので、歯垢が歯石になる前に1日1回の歯みがきがとても大事です。
歯みがきのやり方
いきなり歯ブラシから始めるのはNGです。歯ブラシを口に突っ込まれると嫌がるわんちゃんが大半なので、スムーズに歯みがきをするためには段階を踏んでいくことが大事です。
まずは口を触られるのを嫌がらないようにすることを目標に頑張りましょう。ポイントは大げさなくらい褒めることです。
犬をひざの上にのせるなどしてリラックスした状態で、指で口の周りを優しく触れるところから始めます。褒めながらおとなしく触らせてくれたらご褒美をあげましょう。これを数週間続け、「口に触れられると良いことがある!」と認識させることが大切です。
次に好みのデンタルジェルなどを用いて指で歯や歯肉のマッサージ、ガーゼやデンタルシートなどで簡単な歯磨き、など段階的に歯を触らせることに慣れさせていきましょう。慣れてきたら歯ブラシに移行してみましょう。歯ブラシはヘッドが小さく、毛先が柔らかいものがおすすめです。
まずは1本ずつ、焦らずやっていきましょう。
楽しみながらでないと、犬のデンタルケアは続きません。デンタルジェルやデンタルガムなどをうまく使って、犬を楽しませながらデンタルケアを行えるといいですね。
日頃から愛犬の口内環境に気を配ろう
愛犬を歯周病から守るため、日頃から口内環境に気を配って見ましょう。
歯周病は怖い感染症ということを念頭に置き、少しでも気になる点があったら動物病院に相談することをお勧めします。
(次回は5月26日に掲載予定です)
- シリウス犬猫病院
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