年末年始に多発!誤食事故 犬・猫に食べさせてはいけないもの、注意したいこと

犬、猫 誤飲
年末年始は普段なら起こらないようなペットの誤食事故が増加

 病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院の院長、石村拓也獣医師が教えてくれます。連載23回目は「年末年始の誤食事故」についてです。

年末年始時期に注意したい誤食

 今年もあっという間に年の瀬ですね。街全体もイルミネーションなどでキラキラきらめき、多くの人がワクワクする季節です。しかし人が集まって飲食したり、パーティーが増えるこの時期は、普段なら起こらないようなペットの誤食事故が増えがちです。食べたものによっては時に命に関わることもあるんです。

 慌ただしいこの時期は、愛犬・愛猫への注意がついおろそかに。ちょっと目を離した隙に誤食してしまう可能性も。

①焼き豚やハム、ローストビーフのひも
 お歳暮などでいただくことが多いハムや焼き豚。また、クリスマス料理定番のローストビーフ。これらを巻いている「ひも」は、誤食した場合特に危険なんです!

 飲み込んだひもが腸にからまってしまうと、最悪の場合は腸を引きちぎってしまう危険性があります。ひもをちゃんとゴミ箱に捨てたとしても、荒らして食べてしまう可能性もあるので注意しましょう。ひもにはたまらないいい匂いが染み込んでからね……。ひもはもちろんですが、ハムやローストビーフもペットが届く場所に決して置かないように気をつけましょう。

②チョコレート
 こちらもクリスマス時期は、ケーキやお菓子などがいつもよりチョコレートを食べる機会も増えますね。カカオに含まれるデオブロミンと呼ばれる成分には、心臓・中枢神経を刺激し、不整脈や心拍上昇などの症状や発作を引き起こす可能性があります。カカオ含有量の多いビターチョコレートなどには、特に注意しましょう症状としては、嘔吐・下痢、興奮、多尿、痙攣などがみられます。

③フライドチキン
 クリスマスの定番、そうチキンですね!クリスマス時期に食べるチキンは骨つきのものが多いです。骨は嚙んだ時に折れやすくのどや消化器官に刺さる恐れがあり、消化もしにくいので、通過障害や便秘の原因となることも。食べ終わった骨をちゃんとゴミ箱に捨てたとしても、その後イタズラして食べてしまうこともあるので気をつけましょう。

犬、猫 誤飲
イタズラから誤飲してしまうことも!

④かに・えびなどの甲殻類
 かにやえびなど甲殻類の殻は、硬いだけでなくとがっています。誤って甲羅や殻ごと食べてしまうと口や胃腸を傷つけてしまう可能性があります。そのほか、体質によってはアレルギーを起こすことがありますので注意しましょう。食べた後の殻もいたずらしないように気を付けましょう。

⑤ケーキ
 ケーキの上の飾りやろうそくを食べてしまうなど、明らかな異物を食べなければ大きな問題にはなりにくいです。しかし、食べ過ぎや、脂肪の消化がうまくいかなかったりした場合は消化不良を起こしやすく、嘔吐(おうと)や下痢などの消化器症状を起こしやすいので気を付けましょう。

⑥ハンバーグやオニオンスープ
 ネギ類(タマネギ・ネギ・ニラ・にんにくなど)は犬猫は食べてはいけない食べ物の代表格ですね。これらに含まれる成分は、血液中の赤血球を破壊し貧血を引き起こすと言われています。症状としては、貧血、元気消失、嘔吐、下痢、血尿、黄疸(おうだん)などが見られます。子供が落としたハンバーグをぱくっと食べてしまうなんてことも多いので気を付けましょう。

⑦ポインセチアやクリスマスを飾る生花にも注意!
 クリスマスによく飾られる赤いポインセチアには有毒成分が含まれており、嘔吐や下痢や皮膚炎を引き起こす場合があります。

 また、猫にとってユリ科の植物は、非常に危険な観葉植物です。摂取が少量でも、急性尿細管壊死(えし)を特徴とする急性腎不全を引き起こし死に至ります。多くの場合致死性で、救命できたとしても慢性腎不全を患うことが多いです。

⑧おもち
 おもち自体に中毒症状を示す作用はありませんが、人間と同様のどに詰まらせて窒息してしまう可能性があります。人間と違って犬猫は嚙んで飲み込みません。あげるのは絶対にやめましょう。

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おもちは絶対あげないで

対処法 

 万一、誤飲・誤食をしてしまったら、まず何をしたらよいのでしょうか。

 食べたものにもよりますが、一刻を争うケースも。まずは、かかりつけの動物病院に連絡しましょう。ただし年末年始でかかりつけが休診の可能性もあります。あらかじめ夜間や休日診療の病院を日頃から探しておくことも大切です。

 また、誤食してしまった物を実際に持っていくと、診断や治療に役立つ場合があります。

まとめ 

 一年の中でも、ペットの誤飲・誤食事故が多くなってくる年末年始。大切な家族を中毒事故から守るためには、おうちでの「食べてはいけないもの」の管理が重要になってきます。ハッピーな年末年始を迎えるためにも、出来るだけ起こさないよう日頃から環境を整えてあげるのが大切です。

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石村拓也
獣医師。東京農工大学農学部獣医学科卒業。横浜市内の動物病院などを経て、2017年3月にシリウス犬猫病院開院。川崎市獣医師会、日本獣医皮膚科学会、耳研究会、日本獣医輸血研究会所属。

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この連載について
獣医師さんから
病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院院長の石村拓也獣医師が教えてくれます。
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