先代犬との暮らしで一番後悔していること ベッドで一緒に眠るのが夢だった

富士丸
いつまで寝てんの?そろそろ散歩行かない?の圧をかける富士丸

 先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。

(末尾に写真特集があります)

何も話さなくてもお互いに分かる関係

 これまで書いてきたように、先代犬の富士丸との暮らしの中で、破壊活動に悩んだり、どうして言うことを聞いてくれないんだと憤ったり、色々あった。けれど長く暮らす中で、それらのほとんどは彼にも言い分や主張があったのに、私が無知で気付いてやれなかったことが分かった。その点では申し訳ないことをしたと思っている。

 ある日突然すべてを理解したわけではないが、何げないしぐさや表情から「あぁ、そうだったのか」と次第に分かっていく感じだった。5歳くらいになると、彼がどう感じているのかどうしたいのか分かるようになっていたし、恐らく富士丸も私の意図することがなんとなく分かっていたのではないかと思う。

 かといって、お互いに主張するだけではなく、むしろ折れるところは折れて相手を思いやる、でもここは譲れないというラインがあったような気がする。人間同士でそんな関係を築くことは難しいし時間もかかるのだが、富士丸とはそんな感じで「犬と飼い主」という関係ではなく、一緒に過ごす時間がなんとも心地良い「同居人」のような存在だった。

 そんな関係になるまでには反省して改めたことも多いが、後になり最も後悔したことがある。それはいわゆる「しつけ」とは関係なく、ただ単に好みの問題なので何の参考にもならないと思うが、私と同じ夢を持つ人のために書いておこう。

ソファーに座る人と犬
当時の休日の午後

犬と一緒に眠る夢

 夢というほど大層なことではないが、子どもの頃は犬と一緒に眠ることに憧れていた。昔やっていたアニメ「名犬ジョリィ」という番組で犬の体にもふっと顔を埋めて眠るシーン(そんな場面があった気がする)の影響かもしれない。

 けれど、親は犬を家にあげることを許さず、いつも玄関の犬小屋にいた。昔はそんな風潮だったが、私は犬を家にあげて一緒の布団で眠りたかった。仕方なく、玄関に段ボールを敷いて一緒に寝ようとしたこともあったが、寒いわ犬はそそくさと犬小屋に入ってしまうわで、その夢は叶わなかった。

ベッドに乗る犬
ベッドには乗るようになったけど

 それから一人暮らしや同棲や結婚や離婚を歴て、30代の頃は富士丸と「ひとりと一匹」の暮らしをしていたのだが、あるときふと、子どもの頃の夢を思い出した。散歩もゴハンも親にまかせっきりだったのとは違い、大人になり犬を飼うのは責任の重さも全然違うことや、経験不足から思い悩むことも多くてすっかり忘れていたのだ。

 当時は狭い1DKで富士丸はどこでも自由にさせていたが、最初にひとつだけ駄目だと言ったことがある。ソファでもどこでも寝ていいのだが、ベッドに布団を敷いたときだけはその上に乗らずに、ベッドの脇に作った富士丸用の寝床で寝るようにというルールを作った。富士丸を迎えた頃は、「犬と暮らすには厳しくしつけなければならない」と頭でっかちになっていたからだ。

 が、次第にどんどんゆるくなり、先に述べたように最終的には何でも好きなようにすればいいスタンスになったのだが、最初に駄目だと言ったせいで、「乗っていいよ」と促しても富士丸は私のベッドで眠ることはなかった。ベッドに乗ってうたた寝くらいはするのだが、本気で眠るときは自分のベッドに行く。

犬用のベッド
富士丸用に作った寝床

 別に抱き寄せて眠りたいとか、くっついて眠りたいと願っているわけではない、オッサン同士だし。ただ、すぐ近くに犬がいて、寝息をたてていたり、気の抜けた顔でスヤスヤ眠っている顔を見たり、息遣いを感じると、なんとなくホッとするのだ。

 実際、私が読書している隣で富士丸はソファで昼寝して、ときどきフガフガ寝言をいったりしていたが、そういう時間が好きだった。でも夜、私が隣で寝ようとすると、そそくさと自分のベッドに行ってしまう。それはそれでいいのだが、子どもの頃に憧れていたことは叶わなかった。

ベッドに寝る犬
ときには突っぱりながら白目をむいて

一緒に眠って分かったこと

 その後、紆余曲折あり私はまた結婚し大吉と福助を迎えたわけだが、その教訓から、どちらも最初からベッドに乗ってもOKにしていた。おかげで大福は寝るときは私たちと同じベッドで寝るものだと思っているし、私より先に寝室に行って寝ていることもある。

ベッドに寝る犬たち
ベッドで眠るのが日常の大福

 子どもの頃に憧れていたことは今や日常になっているが、やっぱり犬が近くで眠っているとなぜかホッとする。犬と一緒に寝ると、なぜあんなに心が落ち着くのか、分からない。でも犬がすぐそばで安心しきって無防備な姿で寝息をたてていると、不思議によく眠れる。

ソファで寝る犬
リビングのソファでも常に無防備な人

 そして分かったこともある。犬も夢を見ているようだが、そういうときは急にビクビク足が動いたり、突然キャンキャン鳴いたりする。最初は驚いて起こされたりしたが、そのうち慣れて「また悪夢でも見てんのか」と気にならなくなる。

【前の記事】犬は何を望んでいる? 満足そうな顔を見て気づく、よく考えたら私も同じだった

穴澤 賢
1971年大阪生まれ。フリーランス編集ライター。ブログ「富士丸な日々」が話題となり、犬関連の書籍や連載を執筆。2015年からは長年犬と暮らした経験から「デロリアンズ」というブランドを立ち上げる。2020年2月には「犬の笑顔を見たいから(世界文化社)」を出版。株式会社デロリアンズ(http://deloreans-shop.com)、インスタグラム @anazawa_masaru ツイッター@Anazawa_Masaru

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この特集について
悩んで学んだ犬のこと
先代犬は富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らす穴澤賢さんが、犬との暮らしで実際に経験した悩みから学んできた“教訓”をお届けしていきます。
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