彼らにも言い分はある? トイレシート、ソファ…犬の破壊活動

 先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。

(末尾に写真特集があります)

かつて思い悩んだ日々

 初めて犬と暮らすと、色々と悩む。言うことを聞いてくれない、トイレを覚えてくれない、悪さばかりするなどと頭を抱える。私もそうだった。子どもの頃から家には犬がいたが世話は親にまかせっきりで、大人になって「富士丸(先代犬)」と暮らしてみて、はじめて犬と正面から向き合うことになる。

 そんな中で、さんざん悩みながら自分なりに学んだことがある。その経験が今わが家にいる大吉と福助との関係にも役立っている。この連載では、そのあたりの「教訓」みたいなものを書いていこうかと思う。ちなみに私はトレーナーでもないし、何の資格もないただの普通の飼い主だ。でもほとんどの人は普通の飼い主だから、少しでも参考になればいいなと思う。

いかなるときも犬は悪くない

現在、わが家にいる大吉(左)と福助(右)

 まず、犬と暮らすうえでの大前提から話したい。根底にこの考えがあると、細かいことにいらだつこともないし、必要以上に厳しくなることもないと思う。それは基本的に「犬は悪くない」ということである。そもそも、犬にトイレで用を足す習慣はないし、人間の生活様式に沿う必要もない。野原を駆け回って、そこら辺でオシッコするものなのだ。

 でも、一緒に暮らすうえでそれでは困るから、人間社会のルールを覚えてもらうようお願いしているのであって、もともと彼らにそんな決まりはない。もっといえば、家に招いたのは自分なのだ。ある日、犬がひょっこり家の前に来て「ここで飼ってもらえませんか?」と頼まれたわけではないはずだ。

 だから、トイレをなかなか覚えてくれなかったり、何度言っても分かってくれなかったりするのは当たり前で、それを理解したり、壊していいものといけないものの判別がつくまでにはそれなりに時間がかかる。

 それに犬はそれが悪いこと(飼い主から見て)だと分かっていても、やることがある。そんなときは、ほぼ必ず彼らにも言い分がある。それはこんな経験から学んだ。

この頃は落ち着いて何の手もかからなった

食いちぎられるトイレシート

 かつて暮らしていた富士丸は、ハスキーとコリーの雑種で、体重30キロある大型犬だった。そんな彼は幼い頃、少し家を空けた間にクッションをズタボロにするのは日常茶飯事で、ひどいときはソファを食いちぎって中のウレタンを引っ張り出したりと、破壊活動がすさまじかった。帰宅してドアを開ける前に、いつも「今日は何をやらかしているんだろう」と不安になったのを覚えている。

 いくら叱っても駄目で、次の日には何かやらかしてくれる。けれど私が家にいるときはとてもいいやつで、無邪気に遊んだりしていた。次第に破壊活動は収まっていったが、最後まで留守の間にトイレシートをビリビリに破るのだけは直らなかった。トイレシートそのものを取り除こうかと思ったが、留守の間に我慢させるのも悪いと思い(トイレシートでおしっこをする癖がついていたから)、そのままにしていた。

 けれど、帰宅する度にトイレシートが食いちぎられ、散乱していた。その横で、富士丸は反省顔になっていたが、また翌日も同じことをする。朝夕の散歩は必ず行っているし、私にも仕事があるから留守番は仕方ない。それがどうして分かってくれないのか。思い悩み、あれこれ調べている中で、どこで読んだか忘れてしまったが「犬は悪くない」という言葉があった。当時は「そうなのか?」と思ったが、実際その通りだった。

富士丸とはよく旅行した

 後になって分かったことなのだが、富士丸はきっと力が有り余っていたのだ。大型犬の1、2歳なら、もっと体を動かしたかったのだろう。もっとたくさん走りたかったのだろう。けれど、仕事に疲れた私にそんな余裕はなく、朝と夜の散歩は近所を30分ほど歩いて終わりだった。

 休日、一緒に遊びに行くこともあったが、夜は留守番させて飲みに行くことも多かった。悪いのは私の方だったのだ。トイレシートをビリビリに破りたくなる気持ちも、今なら分かる。若い頃に気付いてやれなかったことを申し訳なく思った。

やんちゃ坊主もそのうち落ち着く

 そして、もうひとつ分かったことがある。それは「どんな犬も必ず落ち着く日が来る」ということ。富士丸も2歳くらいまでは、犬ぞりのごとくリードをぐいぐい引っ張ったが、3歳頃には落ち着き、5歳になる頃には逆にこちらを気遣うようにペースを合わせて歩くようになった。あれほど悩んだ破壊活動も、3歳くらいで自然に収まった。

わが家に来た当初、福助は人間不信でおびえた顔をしていた

 だから今、犬の破壊活動に悩んでいる人は、どんなやんちゃ坊主でもそのうち収まるからそんなに気にしなくていいと思う。私はそれを知っていたから、新たに迎えた福助が破壊魔(大吉は優等生だった)になったときも「おー、またやってくれたねぇ」と笑っていられた。ソファを破壊されたときは「あぁ、またやられた」とちょっとへこんだが。

その後、破壊魔へと変貌(へんぼう)していく

 ちなみに福助については、散歩も運動量も十分だったと思うから、彼が何を言いたかったのかは分からない。たぶん、ただ何かをぶち壊したかったんだろう、若さゆえのパンキッシュな気持ちで。それもまぁ、なんとなく分かる。

優しい大吉のおかげで今はのんきな丸いやつ

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穴澤 賢
1971年大阪生まれ。フリーランス編集ライター。ブログ「富士丸な日々」が話題となり、犬関連の書籍や連載を執筆。2015年からは長年犬と暮らした経験から「デロリアンズ」というブランドを立ち上げる。2020年2月には「犬の笑顔を見たいから(世界文化社)」を出版。株式会社デロリアンズ(http://deloreans-shop.com)、インスタグラム @anazawa_masaru ツイッター@Anazawa_Masaru

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