子どもと猫の信頼関係を作るには 手をとり一緒になでて猫の触り方を教えることも大切
妊娠、出産、子育て…家族の形が変わったら愛猫との関係にも変化が!
一人っ子気質の愛猫「ミア」(3歳・雌)と、暴れん坊の2歳児「ことちゃん」。ふたりの”まな娘”と暮らすライタ―原田が、猫と暮らしながらの子育てでぶつかりがちな悩みを経験者や専門家に相談し、ヒントを探す連載。
臆病なミアは、活発で好奇心旺盛な娘、ことちゃんのことが大嫌い。娘が大声を出して部屋の中を走り回っている時などは、十分に距離をとった高い棚の上から冷ややかな目で見下ろしている。同居人として仕方なく認めてはいるが、できればいない方がいいと思っているに違いない。
SNSで見かける、「子どもとペットの仲良し動画」のような光景を理想としているわけではない。だけど、これからずっと家族として暮らしていく2人の関係は、このままでいいのだろうか?できれば2人には、お互いを尊重し合いながら成長してほしい。
今回は、1歳の息子さんとご主人、愛猫と暮らすカナコさんに「猫と子供の関係づくり」について伺った。
息子を気にかける愛猫
――お子さんと愛猫について教えてください。
息子のコーちゃん10カ月と、キジトラの雌猫、ハクちゃん4歳です。息子は今まさに、ハクちゃんが気になって触りたがるお年頃。ハクちゃんは人が好きだけどべったりしない性格で、息子に触られるのは苦手だけど、わりと相手をしてあげたり、自分から寄っていきますね。
――ハクさんは、息子さんのことを気にかけているようですね。もともと面倒見のいい性格の猫さんなんですか?
そうでもないと思いますよ。息子が生まれる1年前、子猫のトライアルを行ったことがあるんです。でも、おとなしい性格のハクちゃんは、アグレッシブな子猫に追いかけ回されることにストレスを感じたようで、子猫を拒絶してハンスト。結局、2匹目は諦めました。
だから、ハクちゃんが息子を受け入れてくれたのは意外だったんです。最初に意識したのもハクちゃんの方から。息子が家に来てすぐのころ、ベビーベッドに寝ている息子を「なにこれ?」と不思議そうに見ていましたね。
そのうち、私が別室で家事をしているときに息子が起きて泣き出すと、ハクちゃんが「泣いてるよ!」と呼びに来るように。最近は、寝室で寝かしつけをしている最中に息子がぐずると、リビンクのドア越しに「ニャア!ニャア!」と鳴くようになりました。「泣いてるけど大丈夫?」と心配しているのでしょうね。その声で息子は起きてしまうんですけど(笑)
触り方を教えてあげる
――我が家のミアは娘のことが好きではないので、無理に仲良くならなくてもいいかなと思っているんです。カナコさんは、息子さんとハクさんにどんな関係になって欲しいですか?
仲良くなってくれたらうれしいけど、家族として自然に一緒にいられるような関係性がいいと思いますね。息子には、ハクちゃんが大切な家族の一員だということを伝えるために「お姉ちゃんだよ」と教えているんです。
ペットというよりも、「先に家族になったのはハクちゃんだから、尊重してあげてね」と。我が家では息子が生まれる前から、記念日の写真撮影はハクちゃんと一緒。息子が生まれてからもその習慣を続けることで、ハクちゃんも家族の一員なんだと自然に認識してほしいと思っています。
――とはいえ、赤ちゃんや小さい子が猫に優しく接するのって難しいです。我が家はどんなに口で言っても無理やり触ったり尻尾をつかんだり。カナコさんは、息子さんに伝えるときにどんな工夫をしていますか?
そうですね。我が家でも、息子が乱暴に触ったりできないよう、ベビーゲートで部屋のスペースを仕切って、ハクちゃんが過ごす場所に息子が入れないようにしています。でも、ハクちゃんは一日中そこにいるわけではないので……。
だから、触らせるのを避けるばかりでなく、触り方を教えることも大切だと感じています。我が家では、息子がハクちゃんに触りたがったときは、「こんな風に触るんだよ、こうしたら痛いからダメよ」と、手を取って一緒になでることで教えています。
そのせいか、息子はハクちゃんに触る前に、「触ってもいい?」と私の顔を見るんです。まだ難しいことは理解できないかもしれないけど、「むやみに嫌がることをしてはいけない」と彼なりに理解しているのかも。
ハクちゃんはハクちゃんで、息子に触られても逃げずにじっとしています。ただ、あんまりしつこいときは痛くない猫パンチで“しつけ”をしてますね。
ハクとの時間大切に
――私は娘の相手をしているときにミアに甘えられ、うまく返せなかったことがあるんです。猫の性格にもよると思いますが、ハクさんが息子さんを受け入れたのは、自分もきちんと愛情をもらえていると実感できているからではないでしょうか?
ハクちゃんが息子を受け入れているとはいえ、やはり以前のようには相手をしてあげることはできませんね。ただ、我慢させている分、甘えさせる時間はしっかりとっています。
具体的には、朝のグルーミングの時間と、夜息子が寝てからの時間。この時間は、ハクちゃんを優先する時間と決めています。
ハクちゃんはもともとブラッシングが好きではなかったのですが、朝のグルーミングの時間だけは特別。この時間は息子をベビーゲートの中にいれて、ハクちゃんとのスキンシップを楽しみます。夜は、夫婦でソファに座っていると、どちらかの股の間でくつろぐのがハクちゃんの日課なんですよ。
――ハクさんはお父さんとお母さんを信頼しているのですね!最後に、猫と暮らしながら子育てする魅力を教えてください。
単純なことですが、「家の中に可愛い子が2人もいる!」という幸せを毎日感じています。息子が成長してハクちゃんを大切に扱えるようになったら、ベビーゲートを撤去して、自由気ままに寝転べる環境を作ってあげたいです。そのためにも、ハクちゃんには長生きしてほしいですね。
家族として一緒に
今回の取材で特に印象深かったのが、「息子の手を取って、ハクちゃんの触り方を教えている」というカナコさんの言葉。
我が家はこれまで、娘がミアに触らないように。ミアを娘から守れるようにと気を配ってきた。でもそれは、結果的にミアと娘の距離を開くことになっていたのかもしれない。
愛する娘たちが自然に、できるだけ長く一緒にいるために、これからは家族として2人が無理なく相手を知って、受け入れる方法を探っていきたい。
(次回は5月24日に公開予定です)
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