「謎の猫ルール」 飼い主の知らないところで取り決めがされていた?

 長年猫を多頭飼育していても、それでもなお謎だらけ。それが猫という生き物です。猫同士で話し合いでもしているのか、自分の中に確たる価値観があるのか。不思議なマイルールや謎の「掟(おきて)」が存在するようです。

(末尾に写真特集があります)

梵天丸の場合

 長男猫の梵は一人っ子気質。弟妹たちの面倒をよく見るお兄さんですが、自分が甘えたい時、頼る相手は人間しかいません。私たちもなるべく、梵が甘えたがるときは応えてあげるよう心掛けています。

 梵天丸の甘えん坊ぶりは語りだすと収まらないので別の機会にしますが、彼には彼なりのルール(価値観?)があるようです。

・甘えている姿は誰にも見せたくない(邪魔されたくない)
 私の首に両腕を回して抱きついているとき、ほかの子が来ると怒って出て行ってしまいます。

・私に抱っこされるときは、必ず私の左肩にあごをのせる
 そもそも抱っこ中に何かをすると(今もこの原稿を書いています)不機嫌になる梵天丸ですが、抱っこのポジションにはこだわります。基本的には縦抱っこ。私の首に腕を回し、あごをのせるのは左肩。こちらが右側に抱きかえても嫌がりますし、横倒しにして抱こうとすると断固拒否!

・お父さんに抱っこされるときは横になる
 夫に抱っこされるときは縦より横。何が違うの?

オレンジの箱、梵天丸が入るとぎっしりです。

アルの場合

 甘えん坊の末息子・アル。穏やかで静かな子ですが、自分のルールには頑固です。

・朝目が覚めたら、まず母上の胸の上に座る
 おなかが空いているはずで、飼い主を起こしたいんです。でも、アルの中で、朝起きてご飯をくれるのは「父上」と決まっているようで、ほかの猫たちが「ご飯にして!」「起きて!」と騒いでいる間もじっ、と私の上で香箱を組み、夫が起きるのを待っています。

・兄者(梵天丸)にひねりこむときは左から
 兄者大好きなアル。梵がくつろいでいようが寝ていようが、甘えたい!となったら待ったなし。兄者の顔に頭突きをくらわし、その勢いて体をねじりこむように懐へ飛び込みます。その時、かならず左のおでこから突進するのがアルの流儀。ひねりこみ過ぎて、ときどき左の眉毛がなくなっていることがあります。

猫
朝目覚めたときに、目に入る光景がこれ。約4Kgのアルがどっかり、胸の上で香箱を組んでいます。視線の先はまだ寝ている夫。ここで彼が起きてくれるのを待っているのです。

ベルの場合

 甘えん坊には違いないけど、ギャル気質の末娘・ベル。ギャルらしく、お父さんには若干、冷たい傾向があります。

・おなかがすいたアピールは「よだれ」で!
 我が家の猫たちの食事は、必ずクレート(ケージ)または各自の部屋で。それぞれ決まった場所で与えるようにしています。ベルはクレートで食べるのですが、「おなかすいた!」「早くして!」のアピールは鳴き声よりも「よだれ」。サラサラで粘度のない透明なよだれがパタッ、パタッ、と床に滴ります。そして必死な目でこちらを見上げて「なーーーうーーー!」これが彼女の「ご飯ちょうだい!」のサインです。

・どこかに「怖い怖いスイッチ」がある
 キャンピングカーに乗るとき。誰かお客さんが家に来たとき。ベルの「怖い怖いスイッチ」がオンになります。こうなるともう、何をしても無駄。私が声をかけても、夫がなだめても収まりません。ビクビクと逃げ回り、隠れるところを探します。キャンピングカーで走り出して、少しすると怖い怖いモードは解除に。お客さんが帰った後も、しばらくはビクついていますが、いつのまにか解除して、ごろん、とおなかを見せたりします。

 分からないのが、ときおり、意味もなくスイッチが入ること。それも、主に夫に対して入るようで、「ベル、おいで。おやつあげる」って言ってるのに「やだ!怖い!来ないで!」。かと思えば突然「平気~♪」「なでて~」。ときどき誤作動するようです。

箱に入る猫
みんなの共有財産「オレンジの箱」でくつろぐベルさん。

みんなに共通のルールもある

 それは段ボール箱についてのルール。通販が届いた時の空き箱など、床に置いておくと必ず猫が入り、やがては爪とぎのえじきに。数日放置すると、あちこちに段ボール片がちらばり、破壊の限りが尽くされます。

 が。なぜか我が家にはひとつだけ、誰も爪を立てない箱があるんです。それはコストコで買ってきたオレンジの箱。

 あまり分厚くなくて、フタと本体を重ねて二重にしてあるのですが、これが猫にはジャストサイズ。入れ替わり立ち代わり、誰かが入っては昼寝をしています。

 そして「この箱は壊しちゃだめ」「爪とぎ禁止!」、つまり猫みんなで「大事に使うこととする」と決めたらしいのです。彼らが大事にしているからこちらも捨てづらく、かれこれ3年はリビングの隅っこにあるでしょうか。

 先日、オレンジの箱でうたたねしていたベルがふと目を覚ましました。うーん、と伸びをしてあくびをひとつ。その伸ばした手で、段ボールの角をパリパリパリッ。

「あれ?もう古いから爪研いでいいことにしたんだ?」
「にゃうっ!」

 通りすがりのサビが声をかけるとベルはハッとしたように爪を引っ込めました。寝ぼけてルールを忘れていたようです。

「やば。これ、大事なやつだった!」

 そろそろ4年目にさしかかるオレンジの箱には、いろんな色の毛がたまっています。

猫
「そこ!爪立てちゃだめっ!」サビ姉さんのチェックが入ります。

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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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猫と暮らし始めて、気が付けば40年! 保護猫ばかり6匹と暮らすライターの、まさに「カオス」な日々。猫たちとの思い出などをご紹介します!
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