サビ猫「あんず」、落下に下敷き未遂で災難な一日 飼い主は心配するも「は?何か?」

 猫もキャットタワーから落ちる。

 こんなことわざはありませんが、「サルも木から落ちる」よりは、実際に起きる確率が高いのではないかと思います。

ドスン!!と音がして……

“その日”は、特別に寒い夜でした。

 私はこたつで1人パソコンを開き、珍しく仕事に集中していたか、いつものようにネットサーフィンに夢中だったか、血眼でネットショッピングしていたか、覚えていません。なぜなら、その後に起きた出来事が衝撃的だったから……。

 その時サビ猫の「あんず」は、キャットタワーの天辺、高さ160センチくらいの場所にいました。視界にぼんやり入っていただけなので、あんずは寝ていたのか、毛づくろいをしていたのかは覚えていません。いずれにせよ、くつろいだ状態でした。

 平和な時が流れているかのように思えましたが、悲劇はいきなりやってきました。

“ドスン!!”

 ものすごい音がしたかと思うと、あんずがキャットタワーの最上段から床に落ちていました。

 その音で、私の横で寝ていたキジトラの「モモ」も飛び起きていました。

“落ちた”と言っても、さすが猫なので、とっさの判断で辛うじて足から着地した様子でしたが、 “ぼんやりと視界に入っていた”だけなので、断定はできません。もしかしたら、どこか体を打っているかも……。

「あんず……大丈夫? どうしたの?」

 ふざけてもいないのに、あんずがキャットタワーから落ちるなんて初めてのこと。どこか具合が悪いから落ちたのか、落ちた時の打ちどころは悪くなかったか、とても心配になりました。モモも、(多分)心配そうに見ています。

 すると、あんずは「は? 何もありませんでしたけど?」みたいな顔をして毛づくろい。落ちたことが恥ずかしかったのかもしれません。猫って、こういうところありますよね。

 一見、平気そうだけど、あんずの体を確認してみようと近づくと……。

「ニャオ! ニャオー!」

 と鳴いて、家庭内パトロールを始めました。なんで今!?

 ひと通り歩いたらガツガツとカリカリごはんを食べ、ささっと別の寝床へ行ってしまいました。

 あんなにガツガツ食べていたなら大丈夫かな? でも……。キャットタワーから落ちた衝撃よりも、ふつうは落ちないところから落ちたということが心配なのです。

サビ猫「あんず」とキジトラ「モモ」
モモ「びっくりした……」あんず「は? 何が?」

あんず、災難の一日

 そういえば、同じ日のちょっと前も、あんずには災難がありました。座椅子に2匹で寝ていたら、2歳の娘が誤って“猫団子”状態の2匹のそばにドスン!としりもちをついたんです。

 猫は瞬時に避けたと思っていましたが、もしかすると、娘が猫のどこかに座ってしまって、痛めてしまった可能性だってあります。それで、キャットタワーから落ちたのでは……。

 娘に踏まれていなかったとしても、急に起こされるわ、キャットタワーから落ちるわ、災難続きの一日だったことは明らかです。

 もともと心配性の私の妄想は、どんどん膨らむばかり……。

 あんずよ、あんず、いつまでも赤ちゃんのような君だけど、もう9歳。若くないのだから、どうか、無理はしないで……。

 私が心配してオロオロしていると、モモはすでに、さっきのお寝床で眠りについていました。モモは“大丈夫だろう”と判断したのかもしれません。

 それを見て、あんずもこんな時に追い回されたら、かえってストレスかもしれないと、少し様子を見ることに。

 すると、ものの2~3分で寂しくなったのか、あんずは私とモモのところにやってきて、モモのそばでクルクル回り、眠りの体制に入りました。体に触れても特に変わった反応はなく、ひと安心です。

サビ猫「あんず」とキジトラ「モモ」
あたしたち、ふまれるかと思ったわ

猫もキャットタワーから落ちる

 あんずは、最近特にキャットタワーの天辺がお気に入りでした。寒くなって暖房を入れ始めたので、暖かい空気が上の方にたまっているためでしょう。

 でも、あんなことがあったら、もう登らないかもしれない……。そう思っていると、もう翌日にはタワーの天辺にあんずの姿がありました。

「え……あなた、昨日落ちたじゃないの。半日しか経ってないけど……。怖くないの?」

 するとあんずは、「何が?」という顔をしながら、さっと顔を洗い、また目を閉じて眠っていました。

キャットタワーのうえにいるサビ猫「あんず」とキジトラ「モモ」
だってここあったかいんだもの

 以前は、2匹でぎゅうぎゅうになって、尻をはみ出させながらタワーの天辺にいたこともありました。落ちそうで見ている方は怖かったのですが、猫にとっては落ちることに、さほど恐怖を抱いていないのかもしれませんね。

 猫もキャットタワーから落ちますが、猫にとっては、さほど大事ではないようです。

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安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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