2匹は伝道師? 新天地で迎えた双子の子猫と、子どもたちに広がる保護猫文化の輪
縁もゆかりもないこの土地に家族4人で引っ越してきたのは、一番に、ともに小学生の長男と長女の教育環境を考えてのこと。まさかここから保護猫文化を広めることになろうとは、夫婦はこの時、まだ知りませんでした。
マンション住まいから戸建ての二世帯住宅へ。家が広くなることを理由に、田中泰吾さん(46歳)・美恵子さん(47歳)夫妻(東京都在住)は猫の多頭飼いを考えるように。田中家には先住猫の黒猫「モモ」(11歳・メス)がいました。
猫歴が25年超になる奥様の美恵子さんですが、長らく「8歳の壁」に悩まされていました。もともと、モモを含め歴代の猫たちは、外暮らしのところを保護して迎え入れた猫たちでしたが、9歳を前に虹の橋を渡っていった子が過去に3匹……。
そんな中、11歳になるモモは記録を更新するも、「もしモモがいなくなったら」と不安に。新しい猫探しはペットロスの予防でもあったわけです。
新居に落ち着いてから猫探しをする予定でしたが、保護猫との出会いは時と場所を選びません。田中さんの親戚が借り住まいに遊びに来た日のことです。
田中さんから子猫を探していると聞き、「そう言えばSNSで募集していたなぁ」と思い出した親戚は、後日、子猫の預かりボランティアをしている後輩のお宅へひとり潜入することに。そこにいたのが黒猫「楓」(オス)と白猫「紅葉」(メス)の、ともに4カ月のきょうだい猫でした。
親戚は、すぐに田中家を推薦。譲渡にあたり、保護主さんからは「2匹同時」という条件が出されましたが、夫妻はすぐに受け入れました。じつは田中家の子どもたちも双子のきょうだいで、「離れ離れにするわけにはいかないでしょう」と田中さん。こうして、また一家にツインズが誕生したわけですが、先住のモモは受け入れてくれるでしょうか?
多頭飼育は先住猫を優先に
トライアルは借り住まいから始まりました。初日は異変を感じ、まったく姿をあらわさないモモでしたが、時間が経つにつれ徐々に心を許し(諦めたともいう)、今では子猫のフードを盗み食いする恩恵に預かっているとか。
今はまだ小さくてモモに軽くあしらわれる子猫たちですが、やがて力関係が逆転することを早々に危惧する美恵子さんには、「先住猫が上」という信条があります。何かあったらモモを囲い込む、そんな精神は子どもたちにも受け継がれていました。
田中さんの長女・くるみちゃん(9歳)も、猫の数をまだ増やしたいと思う反面、「モモが許してくれるかな?」と遠慮がち。多頭飼育は先住猫を優先に、それがうまくいく秘訣なのですね。
子どもの友だちから「猫を飼いたい!」の声が
「引っ越した先ですぐにお友だちが出来るのだろうか?」そんな両親の心配も、猫のおかげで杞憂に終わりました。長男・悟くんは「家に猫いるんだけど、見にこない?」と友だちを誘っているそうで、モモは来客があると幻の猫になりますが、子猫たちは子どもを恐れはしません。
2匹は預かり先で生後1カ月から子どもと犬と暮らし、近所のお友達と触れ合う機会もたくさんあったようです。この経験から、初めて猫と触れ合う子どもが来ても恐れ知らずで、とくにおっとりした性格の紅葉は、抱っこの順番待ちが出来るほどの人気ぶり。
そんな新生活を過ごす中、子どものお友だちから「うちも猫を飼いたい」という声があがるのは、想定外のことでした。「いつでも紹介するからね」と、飼い主を待つ保護猫たちがいるということや、猫と暮らすメリット、多頭飼育が何よりオススメなど、さりげなく啓発活動をするあたり、なんとステキなことでしょう。
保護猫文化を子どもたちに伝えることが出来る今、楓と紅葉との出会いは必然だったと、美恵子さんは思うのでした。
- 撮影テクニックの説明
- テクニック1【記録写真として】
子どもたちにとって初めての子猫。その扱いはご両親いわく、「ぬいぐるみのよう」と。うれしくてたまらない子どもたちの自然な表情を追った。
テクニック2【猫は流水がお好き?】
蛇口から流れる水が好きな猫は多いように思う。頑張れ頑張れーと心の中で。またハプニングも起こりやすいので期待してしまう。
テクニック3【光と影】
階段が作り出す影でスター性を演出。
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