ズルいほどかわいい子猫加入で変わる猫勢力図 快適空間を模索中
私とキジトラ猫「棗(なつめ)」とは再会でした。昨年、出会った時はまだ3カ月の小さな臆病猫で、当時はまぁそれでも仕方がないやと思っていました。なぜなら棗はこの家にやって来たばかりでしたから。
あれから8カ月、客人にもきっと慣れた頃だろう……と思っていましたが、実際には、棗は私に会うなり、ピューっと猛ダッシュで1階へと逃亡したのでした。
想像していたのと違う!(笑)
飼い主の山本千夏さん(58歳・愛知県一宮市在住)が棗(11カ月・オス)と出会ったのは友人のSNS投稿がきっかけ。三重県のお花屋さんの敷地に住み着いた黒猫が6匹の子猫を出産し、困って譲渡募集をかけているものでした。
猫歴が半世紀という山本さんですから、その後が気になって気になって仕方がありませんでした。その時も2匹の先住猫と暮らしていて、ちょうど黒猫「小春」(16歳・オス)の病気の予後のことと、キジトラ猫「杏」(7歳・メス)が小春にちょっかいを出す問題に悩み、若い遊び相手がいた方がいいのかもと考えていた時期でもありました。
とくに子猫を希望していたわけではありませんが、保護主から投稿される、ずるいほどかわいい子猫写真に心が動き、自身の年齢を考えるとこれが最後のタイミングと思い「キジトラの男の子はいますか?」とメッセージを打ち込んだのでした。
6匹の中にキジトラの男の子がいました。それが棗です。山本さんは覚悟を決め、「子猫を最低2カ月は母親と一緒に」とお願いしたのち、お迎えに行きました(他の子猫も全頭が新しい家族の元へ。黒猫母さんは避妊手術へ)。
6年ぶりに家族が増え、新生活に胸踊る山本さんでしたが、すぐにうれしい出来事が。それは、小春への杏の攻撃性がなくなったことです。
というのも、先住の2匹が今もっとも警戒すべき相手は遊びたい盛りの棗。どう接していいのかもわからない様子だったと言います。きょうだい猫と遊び、親子で猫団子になって寝ることが日常だった棗と、親の愛情を受けられずに保護され、やって来た先住猫たちとの間に大きなギャップがあったのではと山本さんは考察します。
その後、小春は徐々に棗を受け入れ、ごはんの食べ方をレクチャーしたり、じゃれて来ても軽くいなしたりと、扱いにも慣れていきましたが、杏は「シャーシャー」(寄るな!触るな!)と一向に受け入れず……。そのまま月日は流れ、ついにお互いの体つきが対等になった頃には棗の反撃が始まり、杏はマウントを取られて形勢逆転! 山本家に新たな縄張り争いが勃発したのでした。
さらに、そのころは小春が骨肉腫の大手術を終え、奇跡的に回復して戻って来た時期とも重なり、3本足となった小春では以前のように対応することができなくなっていました(お家の中に犬用サイズのケージがあったのは、小春のエスケープゾーンだったのですね)。
棗がきて9カ月、山本家のパワーバランスが大きく変わろうとしていました。きっと山本さんもこう思ったことでしょう。「想像していたのと違う!(驚)」と。
別々の場所からやって来た年の違う猫同士でも、わりと仲良く暮らして来たし、3匹目はメスよりもオスの方が上手くいくと踏んでいたのに……。猫経験豊富な山本さんも、今回ばかりは自分の思い込みを深く反省したそうです。
しかし、猫たちは待ってはくれません。日々考え、観察し、3匹が快適に過ごせる空間作りに着手しました。梁にネットを張って遊び場空間を充実させた結果、棗はすっかり“上の住人”に。一方、杏は床でゴロゴロ、部屋の下部がお気に入りスポットに。小春はなるべくフリーにして、いつでも1匹になれる専用ケージと介護用ベッドを設置することで、安心してお休みできるようになりました。
そんなバラバラな猫たちですが、週に一度は山本さんのベッドに集まり、平穏な夜を過ごすこともあるのだとか。
「まだまだ改良の余地あり!」と、知識のアップデートに意欲満々の山本さんを見て、次回来た時には3匹そろっての集合写真が撮れるのかも……と期待がふくらみます。
その時は言ってみたいな。「想像した通りー!」って。
- 小春と杏と棗のインスタグラム @neko100kei
- 撮影テクニックの説明
- テクニック1&2【躍動感】
止まっているだけでは物足りない。猫の行動パターンや動線を予測して躍動感のある写真を撮ろう。
テクニック3【続く】
末尾のフォトギャラリーも見てくださいねー。
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