シニアの野良猫、目をケガしたのを機に保護 甘えん坊の家猫に

 家に通ってきていた野良猫「ちゃーくん」。ある日、カラスに襲われて、目をケガしていた。それを機に家に入れて飼い始め、慣れるととても甘えん坊になった。保護主は「幸せにするつもりが、こちらが幸せにしてもらった」と感じている。

(末尾に写真特集があります)

カラスに襲われて目をけが

 関西地方に住むKさんは、家によくやってくる野良猫の「ちゃーくん」と「にゃーこさん」のお世話をしていた。

 ベランダの雨風をしのげる場所に段ボール箱を置き、毛布と使い捨てカイロを入れて暖を取らせて見守っていた。にゃーこさんはお腹がすくとニャアニャア鳴いて知らせるので、缶詰を欲しいだけ食べさせていたという。

帰宅すると、いつも飛んできてくれた
帰宅すると、いつも飛んできてくれた

「交通事故にあったらと思うと心配でした。いつ保護しようか、保護するなら、ちゃーくんもにゃーこさんも、一緒にしようと思っていました。ある日、ちゃーくんがカラスに襲われて右目を大ケガして涙を流していたのを見て、このままでは生きられない、保護しよう、と決心しました」

 2016年10月、人づてに知った“捕獲のプロ”に頼み、捕獲器を仕掛けてもらった。まもなく2匹は捕獲器に入り、保護することができた。

 Kさんは保護したちゃーくんとにゃーこさんを、かかりつけの動物病院に連れて行き入院させ、検査やシャンプーをしてもらった。獣医師によると、ちゃーくんは推定10歳くらい、にゃーこさんは推定5歳ぐらいとのことだった。その後、2匹を家に迎えた。

遊べなかった子が一番の甘えん坊に

 ちゃーくんは外での暮らしが長かったため、保護して家に入れた当初は、だいぶ長い間夜鳴きをしていた。猫じゃらしも見たことがなかったので、最初は怖がって遊べなかったという。

「ちゅーるが好きなので、片手でちゅーるをあげながら、空いている方の手でなでると、不思議そうな顔をしていました。1年近くかかりましたが、すっかり人に慣れて、家で一番の甘えん坊になりました」

猫じゃらし、怖くないよ
猫じゃらし、怖くないよ

 2018年11月23日、Kさんは家族で夕食に出かけることになった。家を出る前に、ちゃーくんにちゅーるをあげてなでながら、「すぐ帰ってくるから、待っててね」と語りかけた。

 留守にしたのは、ほんの3時間くらいだった。帰宅して玄関ドアを開けると、いつもまっさきに飛んでくるちゃーくんの姿が見えない。部屋に行ってみると横になっていて、眠るように亡くなっていた。Kさんは、ちゃーくんをひとりで旅立たせてしまったことが今もつらいという。

「慣れたらものすごい甘えん坊になり、可愛くて仕方がなかったです。幸せになってもらおうと保護したのですが、幸せにしてもらったのは私の方でした。これからも、ちゃーくんとの時間が続くと思っていたのですが……もっとお世話をしたかったし、一緒にいたかったです。かけがえのない2年間でした」

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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