建物の壁の間に落ちた子猫 消防にも頼んで、壁を壊して救出

おもちゃで遊べるようになった「こてつ」
おもちゃで遊べるようになった「こてつ」

 意外な場所に猫が入り込むことがある。その子猫は、ある会社の建物と建物の間に落ちているところを発見された。だが、会社の人だけでは救出できず、消防に応援を要請。ついに壁を破っての救出劇となった。

(末尾に写真特集があります)

 大阪府に住む井田さんは、猫の保護活動を行う「瓜破(うりわり)猫の会」(大阪府)を主宰しながら、カバンを製造する会社に勤めている。

 2017年6月16日、その日は井田さんの誕生日だった。会社の建物のすき間から、ミャーミャーと猫の鳴き声がした。井田さんは建物と建物の間に挟まっている子猫に気付いた。まだ小さな乳飲み子。他に母猫や子猫は見当たらず、壁の隙間から出られずにいた。

 母猫が子猫をくわえて屋根に登り、壁の隙間に子猫を落としてしまったと考えられる。猫は身体が柔らかく、まして小さな子猫ともなると、どんな隙間でもするっと入ってしまうのだ。

レスキューされた時、本当に小さかった
レスキューされた時、本当に小さかった

消防に救出を依頼

 そのまま放置しておいては、死んでしまう。社長をはじめ、みんなで思案したが、名案は浮かばず、消防署に救出を依頼した。すると、消防隊員と救急隊員が4人駆けつけてくれたという。一度目は子猫が見つからなかったので、同じ日にもう一度来てもらった。

 結局、「壁をぶち破ろう!」ということになり、まず社長が電動のこぎりで壁を破ったが、それでも猫に手が届かなかった。そのため消防隊員がさらに壁を壊した。悪戦苦闘すること2時間、ようやく子猫にたどりついたという。

「救急隊員の方から何か菌を持っているかもしれないので、素手で触らないほうがいいと言われたのですが、電動のこぎりの音が怖かっただろうと思い、抱きしめていました。幸い感染症にはかかっていませんでした」

元気に育った「こてつ」
元気に育った「こてつ」

子猫を連れて通勤

 子猫が救出された後、その話を聞きつけた友人が、「その猫を飼いたい」と言ってきたそうだ。だが、まだ夜中でも2時間おきにミルクを与えないといけない産まれたばかりの子猫。いったん友人に渡したが、2日間で「大変だから飼えない」と言ってきたという。

 子猫は生後1カ月くらいになるまでは離乳食も食べられず、2時間おきに授乳しなければならない。たとえ夜中で、猫が寝ていても、起こして授乳する必要がある。それをしないと、デリケートな子猫は命を落とす危険があるのだという。

 井田さんは夫と話し合い、その子猫を飼うことにした。大阪の下町が舞台の人気アニメに「じゃりン子チエ」に出てくる猫の名前を取って、「こてつ」と名付けた。

「2時間おきに授乳が必要なので、子猫を連れて会社に出勤しました。社長も理解してくれて、ミルクまで買ってくれたんです」

 会社の社長や消防隊員ら多くの人に助けられ、懸命に世話をしたかいもあり、こてつくんは大きくなり元気に育っている。

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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