紙袋で捨てられた子猫たち 一番弱かった子を我が子のように育てる

正座してみたよ

 淡路島のカフェ前に捨てられていた子猫たち。中でも哺乳瓶を吸えず、一番弱々しかった子猫は、譲渡先で、まるで人の子どものように手をかけて大切に育てられていた。

(末尾に写真特集があります)

紙袋で捨てられた子猫たち

 2019年4月、兵庫県・淡路島のカフェの前に4匹の子猫が捨てられていた。カフェは定休日だったが、夜、店主が用事で店の外に出ると、子猫4匹が入った紙袋が置かれていたという。きょうだいと思われ、生後3週間くらいだった。

 カフェの店主は、保護団体「淡路ワンニャンクラブ」のボランティアさんに夜11時くらいに連絡してきた。子猫シーズンの真っ盛りで、すぐに引き取ることはできなかったため、店主に「ミルクをあげてください」と頼んだ。すると「翌朝、ミルクを買いに行きます」とのことだった。

夕陽に被毛がきらめく

「明日まで待っていたら、低血糖で子猫が死んでしまうかもしれない」。心配になったボランティアはショッピングセンターで店主と待ち合わせ、ミルクの飲ませ方を教え、ミルクと哺乳瓶を渡した。

 だが翌朝、ボランティアが電話すると、「哺乳瓶に全然吸い付かない、ミルクも飲んでいない」。そのため保護団体に子猫たちを連れてきてもらい、引き取ったという。

1匹だけ弱々しかった子猫

 兵庫県に住む輝葉(てるは)さんは、自宅で2匹の猫を飼っていて、3匹目を飼おうと譲渡サイトで探していた。2019年5月、譲渡サイトに紹介されていた、カフェ前で保護された子猫たちを見つけた。

 4匹のきょうだいはどの子も可愛いかったが、他の子は元気のいいサビ猫で、1匹だけおでこの上にオレンジ色のマークがあり、ふんわりとした長毛で、なんとなく弱々しい感じがしたという。その子猫の動画を見て、「この子がいい」と思ったという。当時は「アネラ」ちゃんという仮りの名がつけられていて、ハワイ語で天使という意味だった。

子猫時代、抱きしめたくなる可愛らしさ

 早速問い合わせをして、その日の夜、淡路島に車で向かった。対面すると、ミルちゃん以外の子はミルクをゴクゴク飲んでいたが、ミルちゃんは哺乳瓶にほとんど吸い付いていなかった。

 譲渡条件は、小さな子どもがいない家、一戸建ての持ち家といったペットが飼える条件の整った住まいでなければならないなど、とても厳しかった。それでも「これだけ猫のことを思ってくれる団体さんだったら」と、むしろ安心だと思ったという。

わが子同然に昼夜世話する

 ミルちゃんを自宅に連れ帰り、ミルクを飲ませようとしたが、なかなか哺乳瓶に吸い付かず、かかりつけの獣医師に相談した。点滴をしてもらい、家ではシリンジで少しずつミルクを飲ませた。一度に飲める量が少ないので2時間おきに飲ませなければならず、職場にも連れて行き、ほとんど夜通しで世話をした。突然の下痢で通院したり、夜中に発熱して救急病院に行くと肺炎で即入院したりということもあり、命の危険と隣り合わせの日々もあった。

威風堂々

「私は猫と暮らす時に子どもはあきらめ、猫を自分の子どもだと思って育てることにしたんです。子宝には恵まれませんでしたが、ミルと出会って悲喜こもごもいろんな経験することができ、赤ちゃんのいるお母さんってこんな感じなのかと、すごく幸せな気持ちになれました。ミルがわたしをママにしてくれたんです」

 輝葉さんはミルちゃんのことを本当の娘のように思っている。ミルちゃんは輝葉さんが本を読んでいると、「私を見て」というように前脚で本を叩いてくる。いつも身体の一部が輝葉さんに触れていないと嫌なようだ。ほかの猫が輝葉さんに甘えると、そっぽをむいて焼き餅をやくのだという。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この特集について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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