動物の法律を知ってみませんか 社会を動かすため大切なこととは

 はじめまして、弁護士の細川敦史です。

 2015年5月から1年間、sippoで連載をしていましたが、今回久しぶりに帰ってきました。いろいろと忙しかった時期が一段落したタイミングで、思いがけず連載再開のお話をいただき、喜んでお受けいたしました。

 今後、犬や猫をはじめ、うさぎ、ハムスター、インコ、そして爬虫類や金魚など、さまざまなペットの飼い主に有益な情報を、読者のみなさまにお届けしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

ペットに関する代表的な法律「動物愛護管理法」

 さて、リニューアルしたタイトルで「ペットの弁護士さん」と掲げているからには、ペットや動物に関する代表的な法律、「動物愛護管理法」に触れないわけにはいきません。

 この法律は、1973年、今から47年前にできた法律で、もうすぐ50歳です。2000年、2005年、2012年、そして昨年2019年に4度目の大改正がされ、時代の変化にあわせて徐々に改善されてきました。

 この法律の第2条、基本原則には、動物は「命あるもの」と定められています。決して「モノ」ではありません。

「動物愛護管理法」は徐々に改善されてきた
「動物愛護管理法」は徐々に改善されてきた

 以前の連載の初回でも、「動物は法律上モノである」という言い方はそろそろやめましょう、という話を書きました(詳しくはこちら をご覧ください)。

 それでも、動物虐待事件のニュースなどを通じて、動物が適正に取り扱われていない現状を目の当たりにすると、SNSをはじめ、多くの人が「法律上モノだから日本はダメなんだ」とテンプレートのように使っています。その気持ちはわからないでもないですが、「動物はモノじゃない」と突然法律に書いたからといって、それですべての問題が解決するでしょうか。

社会を動かしていくために

 法律はとても強力で、ときに社会を一気に動かすチカラを持っていますが、とはいえ法律を変えるだけではうまくいかないこともあります。

 法律をよりよくしようとすることは大切ですが、それと同じくらい、動物を好きな人、嫌いな人、どちらでもない人も含め、日本中のほとんどすべての人が「動物は命あるもの。モノじゃないよ」と当たり前に思っている社会に近づけるためのすべての行動が、とても大切だと私は思っています。

 ペットや動物に対するひとりひとりの接し方、考え方が、今よりもさらに成熟し、そして多くの人に広まっていくことで、動物を取り巻く社会や法律が変わっていくことにつながるでしょう。

 なんだか抽象的でわかりくいかもしれませんが、連載再開にあたり、あらためて、この大事なテーマに立ち返ってスタートしたいと考え、皆さんにお伝えするとともに、自分自身にもしっかりと言い聞かせたいと思います。

(次回は5月18日に公開予定です)

細川敦史
2001年弁護士登録(兵庫県弁護士会)。民事・家事事件全般を取り扱いながら、ペットに関する事件や動物虐待事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。動物に対する虐待をなくすためのNPO法人どうぶつ弁護団理事長、動物の法と政策研究会会長、ペット法学会会員。

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この連載について
おしえて、ペットの弁護士さん
細川敦史弁護士が、ペットの飼い主のくらしにとって身近な話題を、法律の視点からひもときます。
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