犬や猫を「生かすための施設」全国への広がり願って 松島花さん
sippoの「特別編集長」として、犬や猫を「生かすための施設」へと転換した神奈川県動物愛護センターの取材を終えた松島花さんに、感想を話していただきました。
犬や猫の表情が柔らかかった
神奈川県動物愛護センターのお話は以前から聞いていたのですが、実際に来てみて、私がInstagarmで日々あげている全国各地の保健所のワンちゃんネコちゃんがいる世界とは別世界というか、こんなにも違うんだなと驚きました。
2020年にして、なぜ神奈川県動物愛護センターのような施設が当たり前にならないのかという疑問が強くなりました。もっと、全国にこうした場所が増えていってほしいと思います。
私がInstagramを通じて見ている保健所というのは、以前の神奈川県動物愛護センターのような場所です。薄暗くて、冷暖房もなくて、とにかく死を待つ場所というか。
写真でみる動物たちの顔も、不安でいっぱいな目をしていて、とにかく悲しい場所というイメージが強いので、Instagramにあげると、ワンちゃんネコちゃんの辛い思いが伝わってきて写真が見られないっていう方が非常に多いんです。
神奈川県動物愛護センターのワンちゃんネコちゃんたちにも、もちろんいろんな生い立ちがあって、飼い主さんと別れてしまったとか迷子になってしまったとか、悲しい思いはあると思います。でも、職員さんの愛情のおかげで、私がふだん写真を見ているような保健所の子たちよりも柔らかい表情というのか、自分の性格を出せているような印象を受けました。
ふらっと来て見ていける保護施設
実際に来てみて驚いたのは、本当に入りやすい施設だということです。ふらっと来て、見ていけますよね。あと、犬や猫の部屋や、室内飼いのモデルルームなど、部屋がガラス張りになっていて中の様子がよく見える。そこがすごくいいなあと思いました。
施設のつくりもすごく計算されている印象を受けました。見学バルコニーを進んでいくと、ワンちゃんネコちゃんたちの部屋がぐるっと見られる。施設内に、手術室や発電室など、さまざまな設備がそろっていることにも驚きました。
もちろん動物たちにとっては、こちらに来られてよかったではなくて、その先に終生飼育してもらえる家族をみつけることが大事なんですけど、まずこの段階で、これだけの場所にたどりつけるというのは、動物たちにとってはすごく安心だと思います。
今回の取材にあたり、なぜ神奈川県は「処分するための施設」から「生かすための施設」へと転換できたのか、知りたいと思っていました。今日お話を伺って、これまで処分してしまった動物たちへの無念の思い、そういったものが愛護センターをどうにかしたいという強い思いに繫がって、「生かすための施設」へと改善していったのかなと感じました。日本全国の施設が、本当の意味での「動物愛護センター」へ、動物を処分する場所でなくて、愛護して生かしていく場所に変わっていってほしいと強く思いました。
保護される犬や猫がいなくなる日を
私は猫が大好きで、いま3匹の猫と暮らしていますが、飼う前にすごく悩んだし、考えました。自分の仕事のスケジュールだったり、体調だったり、いつどういうことがあるか分からないので。当たり前ですが、命があるものを飼うということは、すごく重いことですよね。
好きだから可愛いからで飼っても、自分の生活はどんどん変わっていくし、動物を飼うと旅行や引っ越しとか、条件が出てくるものも増えるので、そういったことも含めて、動物を飼う際にはよく考えてほしいなと思います。
実は、「保護猫」「保護犬」という言葉は、あまり好きではないんです。特別な感じがしてしまって。保護猫や保護犬が当たり前になってほしいし、最終的には、こうした動物愛護センターに収容されるワンちゃんネコちゃんがいなくなることを、常に願っています。
保護猫や保護犬だから飼いづらい部分があるんじゃないか、と思われる方もいらっしゃると思います。もちろん人慣れしていない子もいますが、そういう子ほど慣れてきたときの可愛さが増しますし、自分の愛情でこれだけ慣れたとか、自分の愛情でこういう風に育ったというのも、飼っていて幸せな、うれしい出来事だと思います。1匹1匹のペースに合わせてかわいがってあげてほしいと思います。
保護猫や保護犬は、最近メディアでたくさん取り上げられていて、以前よりはだいぶ広まってきたと思っても、日々Instagramで保護猫や保護犬のことを伝える中で、まだまだ知られていないという実感もあります。私にできることは伝えていくことだと思うので、これからもInstagramを通じて、全国の保護犬や保護猫のことを伝え続けていきたいと思っています。
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