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やんちゃな子猫がやってきた! 怖がる14歳の先住シニア猫にしてあげたいこととは?

 猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は「子猫とシニア猫の多頭飼育」について、入交先生が答えます。

シニアの先住猫と新入りの子猫

 急に全国的に寒くなりました。猫が布団の上やら中やらに集まってくるようになりました。息苦しいながらも猫に乗られる幸せな季節です。実は我が家には犬もいます。早朝、目覚ましがなると猫がいる布団を抜けて、ぬくぬくしている猫を横目で見ながら寒さなんて知らない柴犬を外に連れていく……こんな時は猫になりたいと思います。

 今回、まるで一時期の我が家のような状況のご質問をいただきました。

Q. 息子が学校の帰りに、まだ生まれて数カ月と思われる子猫を拾ってきました。お世話をしてそのまま家族にと思っているのですが、14歳メスの先住猫が元気いっぱいの子猫がいやなようで、収納の中に閉じこもってしまっています。同居は難しいのか、子猫は誰かに譲渡したほうがいいのかと、悩んでいます。だんだん慣れていくものでしょうか。

 我が家もご縁があって、先住猫が13歳くらいの時に子猫が来ました。

 先住の猫さんはいきなり来た子猫さんにびっくりしているでしょうし、猫とのコミュニケーションを苦手としている子であれば、どうしたらいいのか、どう対応したらいいのか、パニック状態かもしれません。

2匹を分けて、それぞれとの時間を設ける

 隠れてしまうということは、子猫さんと遊ぶ状態ではなく怖かったり不安だったりしていると思います。今回のご相談者様のおうちでは、先住猫さんは子猫さんを受け入れていないようですので、まずは子猫さんのいる部屋と先住の猫さんがいる部屋を分けて、人が見ていられないときは、お互いに邪魔をされない個室にいさせた方がよいかと思います。

 子猫さんは今は人とたくさん遊んであげることが重要な時期です。先住猫さんが安全な個室にいる間、子猫さんとたくさん、たくさん、遊んであげて下さい。

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 さらに、先住猫さんも14歳とはいえ、まだまだ元気なアクティブシニアさんだと思います。やはり大好きなご家族とのまったり過ごす時間や遊びがとっても大切です。子猫さんのいない安心できる環境で遊ぶなど、一緒にいる時間を設けてください。

安全な状態でお見合いを重ねていく

 子猫さんのことを先住猫さんが受け入れてくれたらとっても良いですよね。二人のお見合いをゆっくり進めていきましょう。ここはご家族の協力が重要です。

 お見合い大作戦にはまず、先住猫さんと子猫さんにそれぞれ担当者をつけてください。担当はいつも一緒の人である必要はないですが、猫と人が1対1になってほしいのです。

 子猫さん担当が子猫さんと遊んでいる間、先住猫さんが遠くからその様子を人と一緒に見て、おやつをもらったり、人にモフモフしてもらったりするなど、子猫の前で安全でよい時間を過ごせるようにしましょう。間違っても先住の子がいるほうに子猫が勝手に飛んできたりしないように、柵など何らかのバリアをつくるようにし、お互いがお互いの姿と様子を安全な場所で見られるようにします。

 このようなお見合いを何度も重ねて、少しずつ猫同士の距離を縮めてみましょう。

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 子猫さんの存在があっても先住猫さんが逃げ隠れせずにいられるようになったら、子猫におやつをなめさせている間、先住猫が子猫に自ら近くに行けるようにフリーにしてみましょう。自分であいさつに行ったら、最初の大きな関門はクリアです。子猫がうれしくなって先住にとびかからないように、子猫担当者は気を付けましょう。

 少しずつ2匹の距離を縮めていきます。人が見ていないときは2匹は個室にいるようにし、人が見ていられるときは、子猫さんが先住猫さんにひどいちょっかいを出していないかどうかだけ注意して、2匹を自由にさせてみましょう。

焦らずにゆっくり向き合って

 ちょっとずつ2匹がコミュニケーションをとれるようになったらうれしいですね。でもやはり、子猫と14歳ですから、人が見ていないときは、しばらくは別々にした方が高齢猫にはストレスがかかりすぎなくてよいと思います。

 ちなみに我が家も、2匹が落ち着いているときは2匹一緒に寝るようなこともありましたが、子猫の元気スイッチが入ったら13歳の子はキッチンで私と一緒にいるようにして、ドアを閉め、そこでご飯もゆっくり食べさせていました。その間、子猫はリビングで走り回る、ということをやっていました。ほっておくとどうしても子猫が遊びたくて、結果的に13歳の子の大きなストレスになったので、常に人間が気を使っていました。

 13歳の先住の子はもともと病気持ちだったこともあり、そのあと数年で亡くなりました。猫が1匹になったときに、なんて楽なんだろう、と感じました。2匹をコントロールするのに、知らず知らずに気持ちがずっと張っていたようです。でも日中、子猫のフラちゃんが暴れん坊ではないときに、2匹が穏やかになめ合ったり一緒に寝たりするのを見るのは、最高に幸せでした。

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 ゆっくりお見合いをさせることから始めていただきたいですが、猫同士の馬が合う・合わないはあるので、どうしてもうまくいかない場合もあります。それぞれ個性がある生き物ですし、みんな性格が違うので、馬が合わないのも仕方のないことでもあります。そんなときには、2匹をどうするか、またご家族でご相談したらよいのではないでしょうか。

 我が家も子猫を引き受けたときは、万が一「海の進」(13歳)と「フラノ助」(0歳)がうまくいかなかったら、リビングを海ちゃん、寝室はフラちゃんにして、2匹がいる限りはお互いに合わないようにして個室での生活かな、と考えていました。

 難しい場合もあるかもしれませんが、まずは丁寧なお見合いから、ゆっくりやってみてください。

 いよいよ年末が近づいてきました。猫たちとぬくぬく、寒い冬も心はぽかぽかで過ごしましょう。

(次回は12月8日公開予定です)
【前の回】猫の要求鳴きへの対応は? 「ひとり遊び」と猫がわかりやすい「ルール決め」がカギ

入交 眞巳
獣医師。東京農工大学 特任准教授。どうぶつの総合病院・行動診療科主任。旧日本獣医畜産大学卒業後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。

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この連載について
ねことの暮らし相談室
 獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が、どうやって猫と幸せに暮らすかのヒントとともに、猫たちの困った行動への疑問に答えていきます。
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