猫は赤ちゃんの“アウトオブ眼中” 顔として認識していない?

やさぐれ顔のあんず(左)とモモ
やさぐれ顔のあんず(左)とモモ

 赤ちゃんの頃から猫と暮らしているのって、どんな感じだろう? 猫と赤ちゃんを見ながら、ふとそう思いました。

 私自身は、たまに金魚が登場する以外は生き物のいない家に生まれ育ち、小学生になってから姉が拾ってきた犬と暮らすまでは生き物が苦手で、特に猫は最も苦手としていました。(猫嫌いの理由はこちら

 夫はというと、夫の母の実家に三毛猫がいて、赤ちゃんの頃は猫と暮らしていたと聞いています。

 義母が言うには、実家の三毛猫は、赤ちゃんだった夫が石油ストーブに近づいたりなど、危ないことをしないか見守っていたそうなのです。三毛ちゃんは子猫を産んだ経験があるので、母性があったのかもしれません。

 当然、夫はその頃の記憶はなくなってしまったけれど、小さい頃から生き物大好き人間になりました。

 赤ちゃんの頃から生き物と暮らせば、生き物好きになりやすいのでしょうか? では、赤ちゃんは猫をどう見ているのか、産まれたときから生き物と一緒に生活しているのって、どんな感じなのか、非常に興味がありました。

 しかし、私のそんな強い関心も空しく、赤ちゃんは猫を見もしないし、全く意識もしていません。まるで、赤ちゃんの前では、猫は透明になってしまっているかのようです。

 それもそのはず。新生児の視力は、10センチほどの距離がぼんやりと見える程度だと聞きました。間近で見ている両親の顔もぼんやりしているのに、猫のことは認識できるはずもありません。

赤ちゃんにシカトされ、寄り添い合って慰め合う(?)猫ら
赤ちゃんにシカトされ、寄り添い合って慰め合う(?)猫ら

 それにしても、赤ちゃんの傍で猫たちがドタドタ走り回ったり、おもちゃにつられて大ジャンプしたり、ニャーニャーと鳴いていても、全く気にする様子がないのは不思議なくらいでした。

 生後3か月を過ぎて、周りをキョロキョロ見る様子がみられるようになっても、猫のことは一切見ることはありません。まさに“アウトオブ眼中”……。90年代後半の流行語がぴったりな状態でした。

 これについては、私は仮説を立てました。

 何かの本に、「赤ちゃんは、人の顔になっているものに興味を示す」とありました。例えば、しゃもじに人のように目と鼻と口を書いて見せると興味を示すが、目鼻口のバランスが人の顔とは違うものを見せると、関心を示さないというのです。

 つまり、猫の顔は人の顔のバランスとは違うので、興味を示さないのではないかと…。

 7年くらい前に買った私のカメラには“顔認証機能”がありますが、猫の顔は“顔”として認識しません。

 カメラみたいに、赤ちゃんにも顔認証機能のようなものが備わっており、猫のことは認識しないようになっているのではないでしょうか。

 すなわち、自分の面倒を見てくれる大人、主に母親の顔は早めに認識する必要があるけれど、猫は赤ちゃんの面倒が見られないので、認識する必要がなく、見ようとしないというわけです。(あくまでも個人の見解です。そんな風に考える人もいるんだな、アホか、くらいに思っていただけると助かります)

 猫らは、最初こそ赤ちゃんを意識してチラチラ見ていましたが、赤ちゃんが一切自分たち猫のことを意識していないことが分かると、徐々に「そっちが私たちを見ないなら、こっちだって気にしないんだから!」とばかりに、赤ちゃんのことを“気にしないふり”をするようになりました。本心では気になっているようなので、あくまで“ふり”なのですが。

 特にサビ猫のあんずはそれが顕著で、あからさまに“フン”と無視するようなそぶりを見せました。無視されたら、人間だって寂しいですから、赤ちゃんから無視されたあんずも傷ついたのかもしれません。

 一方、モモはあまり傷ついていないのか、どうしても気になるのか、私が赤ちゃんのお世話をしているときは気にしていないふりをするのに、赤ちゃんがリビングでスヤスヤ寝ているときは、離れた場所から見ているようでした。

 赤ちゃんがモモとあんずのことを気にするようになるのは、もう少し先になりそうです。

(ヤスダユキ)

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この連載について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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