若い猫はヒョウのように跳び、老猫は… 運動に新しいオモチャ

 家に迎えたばかりの子猫のうちは、オモチャを使って盛んに遊んだもの。けれど、一緒の期間が長くなると、その遊びも減ってくる。子猫だったわが家の猫「はっぴー」も青年。大きく成長しすぎて、獣医師にダイエットを指示されてしまった。運動不足解消に新しいオモチャを買ってみると……。

(末尾に写真特集があります)

「少し体を動かして、ダイエットに励みましょう」

 わが家の若い猫「はっぴー」が獣医師にいわれたのは夏。体重が家に来た時の6倍まで増え、尿に結晶が混ざっているのが見つかった。食事を見直し、やせることが必要だと教えられた。

オモチャ(くるくるピー)の羽を狙うはっぴー
オモチャ(くるくるピー)の羽を狙うはっぴー

 しかし犬と違い、野外を走らせるわけにもいかず、家の中の限られた空間で動かせなければいけない。

 そんな時、ペットイベントで、竹の棒のオモチャを見つけた。30センチ弱の竹の棒に透明の紐をつなぎ、その先に羽やヒゲのような物が付く。「物は試し」と思い、「くるくるピー」と「ひげちびボ」などいくつか買ってみた。

 家に帰って封を開けると、“えー、何、何?”というふうに「はっぴー」は興味を示した。組み立てて、振ってみると、羽を追っかけて走ったり、ジャンプしたり。獲物を狙うようにお尻をフリフリしたり。遊ぶことに飢えていたかのように、目をランランと輝かせている。

「ごめん、遊びたかったんだね、体重が増えても、跳べるじゃないか」

 思えば、子猫の頃はよく遊んでいたが、成長とともにオモチャで遊ぶことが減り、部屋の隅に置きっぱなしにしていた。新しいオモチャの登場で、「はっぴー」は“野生”を取り戻し、ヒョウのように跳びはね続け、気づけば何十分も遊んでいた。

 竹の柄は軽いので、私は座って指だけでひょいひょい動かすだけでも大丈夫。それでも額に汗が浮かんだ。「はっぴー」も肩で息をして、満足げな表情だ。

ああ取れない!壁沿いに追いかける
ああ取れない!壁沿いに追いかける

 このオモチャを作ったのは「猫の家」というお店。サイトを見てみると、多くの商品に「SOLD OUT」の文字が並んでいた。どうやら人気らしい。

 制作しているのは事業主の仲村光さんで、2007年開業。もともと人形職人で、最初は肉球グッズをオーダーで作っていたが、2008年からオモチャの製造販売を始めたという。

 長さや素材など、実際に猫が喜んで遊ぶかどうか、すべて猫を遊ばせて試行錯誤し、10年も研究を続けてきたと仲村さんはいう。

「猫さんと使う人の間をつなぐ道具、装置であってほしいと思って作っています。楽しく遊ぶことで猫と人の互いの理解も深まるはずだし、遊んでごはんがおいしく食べられたり、よく眠れたり、お水も飲みたくなるかもしれない。大事な道具だからこそ、安全で丁寧に作らないといけないと思っています」

 若い猫は段差があるところで遊んでも運動になる。保護されたての猫や、怖がりな猫と遊ぶ時は、音があまりせず、小さいサイズで怖がらせない。高齢であまり動けない猫の場合は、棒が短いものを選ぶといいそうだ。

きらきらに萌える15歳のイヌオ
きらきらに萌える15歳のイヌオ

 跳びはねる「はっぴー」の横で、15歳のイヌオは“若いもんは激しいねぇ”とでもいうように、そっぽを向いていた。イヌオも子猫の頃はどんなオモチャにも反応し、一度くわえると離さず、幾つも壊したものだ。でも近頃は歩くスピードも遅く、ベッドの上り下りも一苦労な状態。オモチャにはもう興味がない、と思い込んでいた。

 ところが、イヌオ用に買ってきた棒の短いオモチャを目の前で振ってみると、キラキラ光る物を目で追い、尻尾をぱたぱたと動かした。さらに前脚を交互に動かして、ひょいっと捕まえようとする。

 走り回らず、体の周囲30センチの遊びとはいえ、動いている。興味を失ったのではなく、適したオモチャを選んでいなかっただけなのだ。ちょこまかと遊んだ後、イヌオはごはんをたいらげ、水を飲んだ。

なんだこれ?髭のようなオモチャ(ひげちびボ)を凝視
なんだこれ?髭のようなオモチャ(ひげちびボ)を凝視

 その後、「はっぴー」は日夜オモチャを追ってジャンプを繰り返し、私も高く跳び上がらせることが楽しくなってしまった。だが、仲村さんは、猫をオモチャで思い切り跳び上がらせることには注意が必要だという。

「夢中になって猫が思わぬ方向に跳んでいくこともあるし、複数いる場合は空中でも激突する可能性もある。猫カフェなどでも、猫同士の衝突があるんです。床や壁に這わせるに動かすと、ジャンプしてもけがをしにくく、猫との衝突も防げますよ」

 そんなわけで、今では「はっぴー」は壁に張うようにして、ほどほどに跳んでいる。たくさん遊んだ後は、膝に乗って甘えタイム。まだまだ体は重たいが、ちょっぴり締まってきた。

藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は17歳の黒猫イヌオと、3歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この特集について
ねこ飼い日記
古い魚屋の天井が崩れ、落ちてきた子猫「はっぴー」。その成長と、引き取った筆者との生活ぶりを同時進行でつづっています。
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