足を引きずる、後ろ足のかかとをつける 猫の歩き方がおかしい原因と対処法を獣医が解説
おもちゃで遊んだり、追いかけっこをしたり、トイレへ行ったり……。飼い主さんには、家の中を歩き回る猫の姿は「ごく当たり前の風景」になっていることでしょう。しかし、歩く姿が、「いつもと少し違うかも?」と感じたときは、猫の様子をよく観察してください。もしかしたら、病気やケガが原因で、歩き方がおかしくなっているのかもしれません。「歩く」というのは、すべての行動の基本です。不調を見落とすことがないようにしましょう。
ここでは猫の歩行について、異常があったときに考えられる原因についてご紹介します。
ふらふらしている
皆さんは、道端をふらふらと歩いている人がいたら、具合が悪いのかと心配になることでしょう。それは猫も同様で、歩きながらふらつくような様子が見られたときは、体調が悪いと考えてください。
そもそも、猫は自分の不調を隠したがる傾向があるため、目に見えて様子がおかしいときは、かなり調子が悪いと思われます。特に、歩いている途中でよろめいたり、立ち上がれなくなったりしたときは、すぐに動物病院に連れていくようにしてください。
考えられる原因
猫がふらつく原因として、小脳疾患や脊髄などの病気、または骨折などのケガが考えられます。また、稀ではありますが、「血栓塞栓症」も原因として考えられます。この病気は、動脈を血栓がふさいで血行不良を起こしてしまう病気です。発症していた場合は、血行不良による足先の冷えや、後肢や前肢が動かなくなるといった症状が起こります。命にかかわる可能性もありますので、早急な治療が必要です。
対応
程度が軽いふらつきの場合、家の外に出ると猫が症状を隠してしまうことがあります。動物病院に行くときには、ふらつきながら歩く様子を動画に撮影して持っていくといいでしょう。
それと同時に、「いつごろから症状が出始めたのか」「症状は悪化していないか」「普段と具体的にどこが違うか」など、詳しい症状についての説明も必要です。猫のことを一番よくわかっているのは飼い主さんですから、十分に観察して、なるべく多くの情報を獣医師に伝えられるようにしておいてください。
猫は言葉が話せませんから、正確な診断をするためには、飼い主さんの手助けが必要不可欠なのです。
跳ねたり、足を引きずったりしている
歩きながら跳ねたり、足をかばって引きずっていたりしていた場合も要注意です。
考えられる原因
骨折や打撲などのケガをしている可能性があります。特に子猫の場合は、元気よく遊んでいるあいだに打撲やねん挫、骨折をしていることがあります。
対応
このような様子が見られたら、まずは、足の様子をよく観察してください。チェックポイントは、「外傷や腫れなどはないか」「指のあいだにトゲが刺さってないか」「爪が伸びすぎていないか」といったことです。
その後、状況に応じて動物病院に連れていきます。このとき、「どのようなタイミングで異常に気が付いたのか」「腫れの有無」「熱を持っているか」など、詳しい状況を獣医師に伝えた上で診察してもらうと、診断しやすくなります。
ただし、外傷ではなく、椎間板ヘルニアや、前述の血栓塞栓症などを発症していた場合は、目で見ただけでは異常がわからないこともあります。猫の様子が明らかにおかしいと思ったら、外傷がなくても動物病院に連れていくことをおすすめします。
かかとをつけるようにして歩いている
高齢の猫がかかとをつけるようにして歩いているときは、動物病院へ連れていくことをおすすめします。
考えられる原因
糖尿病が疑われます。糖尿病になれば、歩行のほかに、食欲があるのに体重が減少する、飲水量が極端に増えるなどの症状が起きます。治療としては、インスリン投与や食事療法を受けることになります。
対応
できるだけ早く動物病院に連れていきましょう。よく見られるのが、飼い主さんの勝手な判断で動物病院に連れていかず、病状を悪くしてしまうことです。動物病院に連れていって何もなければ、それに越したことはありません。異変を感じて動物病院に連れていくことは、猫の苦しみを減らすことになるかもしれないのです。
もしも、「動物病院に行くほどのことかわからない」という場合は、かかりつけの動物病院に電話をして、まずは相談してください。緊急性の有無や、動物病院へ行ったほうがいいかどうか助言をもらえるはずです。
監修:服部幸
発行:洋泉社
価格:1500円+税
A5、160ページ
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