大きくなった子猫に、ついに去勢手術 飼い主の不安をよそに…
猫の避妊・去勢は大事な問題。メスは発情期に独特な声で鳴いて、オスは縄張りを示すマーキングをする。猫を増やさないためにも、病気を防ぐためにも必要なこと……。子猫の時に我が家で引き取った「はっぴー」も、ついにその時を迎えた。
◇ ◇
「4兄妹のうちで、(避妊・去勢)手術をしていないのは、お宅だけです。『はっぴー』さんもなるべく早くしてください!」
10月、日本動物愛護協会のスタッフからメールが届いた。魚屋の屋根裏で生まれて、天井から転がり落ちてきた「はっぴー」も、間もなく生後半年(人の11歳~12歳に相当)、少年期にさしかかる。
“避妊・去勢をして、マイクロチップを入れる”というのは、譲り受ける時の「条件」で、サインもしていた。最近は生後2~3カ月の子猫でも問題なく避妊・去勢手術ができると聞いていたが、踏み出せずにいた。今まで自分が飼った猫はメスばかりで、皆、生後半年経ってから避妊手術を受けていた。オスを飼うのは初めてだが、そんなに小さいうちに“もの”を取ってしまって、周囲の機能に影響がないだろうか……。
先住猫イヌオを診てもらっている動物病院に相談にいくと、「成長具合にもよるが、当病院では生後8か月位までふつう去勢はしません」という。先生によって、考えはまちまちのようだ。
11月になると、「はっぴー」は身体がぐーんと大きくなり、下半身もしっかりしてきた。スプレー行為が始まっては大変だと思い、再び動物病院に相談にいった。
「体重はどのくらいですか?」
「3キロくらいになりました」
「けっこうありますね。それなら来週くらいに連れてきてください。念のため、前日に血液検査をして、問題がなければ手術しましょうか」
「はい」と答えながら少しどきどきする。以前、脳に少し問題のある愛猫が避妊手術をした際、麻酔からなかなか醒めなかったので、私は少しナーバスになっていた。
血液検査と手術の予約をして、その日を待った。
「はっぴー」は、ボランティア宅で過ごした生後3カ月までの間に、ワクチンを2回打ち、駆虫も何度かしていたので、動物病院に行った経験はあるが、私と行くのは初めてだ。
新品のキャリーバッグに入れながら、家にいる時みたいに暴れないでね、と祈った。
計量器付きの診察台に載せるや否や、先生が驚いたように目を丸くした。
「3キロどころか、4キロ近いですよ。生後半年ですよね」
「はい。5月生まれですから」
「大きいな。この調子でおとなになると、10キロ近くになるかもしれない」
「本当ですか?」
そんな会話が交わされるなか、触診をして血液を採った。結果は良好で、翌日の午前中に病院に預けて、その足で仕事に向かった。メスはお腹を切るので大抵一泊するが、オスは日帰りだ。それでも、そわそわした。
夕方「無事終わりました。麻酔から覚めてお座りしています」という電話をもらい、病院に迎えにいくと、エリザベスカラーをして、きょとんとしている「はっぴー」がいた。
「これです」と先生がまじめな顔で、“取ったばかりのもの”を見せてくれた。そういえば、ペットの“タマ供養”があると知人が言っていたな……。じっと見入る私の耳に、意外な言葉が入ってきた。
「この猫は本当に静かですね。麻酔の注射の時もおとなしくて、スタッフ皆で感心しました」
眼が飛び出るほど驚いた。暴れん坊の「はっぴー」が、おとなしい? もしかしてこれを機に、家でも静かにしてくれるだろうか? ちなみに糸は吸収されるタイプで、数日はエリザベスカラーをして過ごさないとならない。
あれこれ考えながら、家に帰り、キャリーバッグから「はっぴー」を出した。その途端、バタバタとすごい勢いで首を振り、エリザベスカラーを外してしまった。そして、ウワーッと部屋中を走り回った。
「ダメーッ、待ってー! 静かにして! カラーもしていて!」
やはり、まだまだ手がかかりそうだ。とりあえず、今後の目標は太らないこと。
がんばろう、“生まれ変わった”「はっぴー」君!
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。