加速する猫のハイテンション 先住猫に異変、飼い主にクマ?
健康な子猫は、元気で当たり前。わかっているけど、我が家の「はっぴー」のハイテンションはとどまることがない。散らかし、飛びつき、駈けずり回る。先住猫の「イヌオ」はうなされ始め、私にも……。
◇ ◇
「くぅぅぅ、くぅぅぅぅぅぅぅ」
「イヌオ」が昼寝をしながら、いびきをかいている。以前はかかなかったが、近ごろ始まった。時々、びくっと前足で何かを払う仕草もする。悪い夢でも見ているのだろうか。まさか、「はっぴー」が思い切り飛びかかっているとか?
「はっぴー」が家にやって来て、はや3カ月。誕生からは5カ月が過ぎた。
魚屋の天井から落ちてきた兄妹の中でも、極端に小さかった体が、最近ぐんとたくましくなった。まだ大きさは体格のよい「イヌオ」の半分ほどだが、抱くとずっしり重みが伝わる。力も強くなった。
時々猫を見にくる知人も、「成長著しい」と驚きつつ、「男の子らしくていいんじゃない?」と微笑む。「でも君、顔にクマができてる。仕事疲れだけじゃないね」
確かに自分は疲れていた。というよりも、怒ることが増えた。つい、「やめてーっ」とか、「コラーッ」とか、声をあげてしまう。過去に自分が飼ったり、実家で世話したりした子猫は、はしゃいだり、じゃれたりすることはあっても、ここまで激しくはなかった。
ここ最近、仕事で保護猫を預かるボランティアの家を何軒か回り、「はっぴー」と同じくらいの年ごろの子猫に会う機会も多かった。だが“暴れ回る子”には、ほとんどお目にかかったことがないのだ。
つい「はっぴー」と比べてしまい、「おとなしいですね」「いいですね」と取材先に声をかけると、「自由だし、満たされているのかな」「行き過ぎた時は猫同士が教えますよ」というような声が戻った。
うちの猫は何が不満なのか。どうして雑な感じなのか。
そういえば以前、東洋医学を取りいれている獣医さんから、「動物も生まれながらテンションが高い子もいれば、低い子もいる」と聞いたことがある。犬の場合だと、食材で性質を調整することもある、と話していた。
「はっぴー」はまれにみる“ハイパー・ハイテンション”な体質なのだろうか。
そんなことを思いながら、仕事から帰って家のドアを開けると、廊下中に噛みちぎったティッシュペーパーが散乱していた。「ギャーッ」という声を飲み込む。
留守中の「はっぴー」はケージに入れているのだが、カギが甘かった。ティッシュをその辺に置いたのも自分が悪い。一息ついて、「こらー」のかわりに、しゃがんで「ただいま」というと、私の帰宅に気づいた「はっぴー」が向こうから顔をのぞかせた。
目を一瞬キラッとさせ、一目散に体当たりするように膝に乗ってきた。そして、自分の指をチュパーッと吸い始めた。
ああ、この“チュパチュパ”。トライアル中に私がときめいた、独特の仕草だ。
重みの増した体を抱いて、思うのだった。
他の猫と比べるのは止めて、ゆっくり、この個性とつきあおう。
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