「ニャオーン!」 自己主張する猫みたいに、生きてみたい!?
「あら、いたの?」といった具合の控えめな猫、子犬のように自己アピールする猫。我が家には、この両タイプの猫がいます。
キジトラ猫のモモは、ビビりで大人しく、冬場はこたつにこもりがちで、昼間は特に動かないので、存在を消しているのか? というほど、とっても静か。
水を飲みに行くときも足音を立てずに歩き、伸びをするにも物音ひとつ立てません。
「モモちゃん、起きたの?」
と私が声をかけても、無言で場所をかえてくつろぎ、声を発するのはごはんの直前と、たまに甘えるとき、まれに風呂に入れられるときくらいです。
一方、サビ猫のあんずは、ひとときも存在を消すことのない猫です。
まず、ニワトリのように鳴き声で朝を知らせることから、あんずの一日は始まります。朝、といっても日の出ではなく、あんずが起きた時間が我が家にとっての朝となります。
あんずは私を起こしてからも、えさを食べるまで、ずっと鳴き続けます。食べている最中はさすがに静かですが、食べると「ニャオ、ニャウオ~ン」と、食後の感想のような妙な鳴き方をして、“おなかいっぱいだー!”とばかりに、朝の弾丸ダッシュ。
運動後は、トイレでもりもり出して、“トイレハイ”状態になり、またダッシュ。キャットタワーをドタバタと上り下りし、最終的に天辺で「ニャァァァー!!!」とライオンキングになり、さんざん暴れた後、ようやく窓際で日向ぼっこしながら眠りにつきます。
朝っぱらから、自己主張がハンパない猫なのです。
昼寝に入ったからといって、大人しくなると思ったら大間違い。少し経つとまた起きて、「ニャーーー」と長鳴き。“私、起きたよ!ねえ、ねえ、目覚めたの。だから、かまってよー!かまうべきでしょ、ここはーー!”とでも言っているかのよう。
昼間はちょっとなでれば落ち着いて、私の腰元で“フミフミ”したあと、満足してまた寝ますが、夜は活発になるので、“もっと楽しいことして遊びたい!”とでも言いたげに、おもちゃの前にスタンバイ。こうなると、おもちゃで遊んでもらうまで、延々鳴き続けます。
人間が電話をしているときも、あんずは自己主張してきます。電話をしているそばで「ニャーニャー」鳴いて、“何してるの?私もしゃべるー!”と主張。
電話の相手が猫好きの人なら、あんずとおしゃべりも可能です。その場にいない電話の向こうの相手にも、自らの存在を主張するわけです。
しかし猫なので、主張ばかりではなく、寝る時間もたっぷり必要です。あんずは人間がリビングにいると必ず、膝に乗ったり、ぴったりと密着して寝ようとします。寝るときですら、自らの存在を主張するのです。
モモの場合は“そこにいたんだ”といった感じで、野良猫と接するような優しい関係なのですが、あんずの場合は“ここにいるよ!”とずっと言われているような密度の高い関係性です。
あんずにとって人間は、楽しいことや、自分が満足できるものを提供してくれる存在だということを、信じて疑っていないのかもしれません。
では、モモは家族ですら信じていないのか?というと、多少はそうなのかもしれませんが、それがモモにとっての自己防衛の形。
どちらが猫として生きやすいのかわかりませんが、私から見ると、あんずのような生き方がうらやましく思えます。
多少うるさがられても、自己主張して欲求を満たし、愛嬌たっぷりにふるまうことって、人間にとっても必要なことだよな……と教えられています。
モモみたいに遠慮したり、静かに控えめに暮らすことも、もちろん悪くないのですが。猫と暮らしていると、猫みたいに、シンプルにものを考えたいなと思うことがしばしばあります。
(ヤスダユキ)
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