先住猫と新入りの猫 初めは互いの匂いに慣らして

ねこず(左)と先住猫もみひろ
ねこず(左)と先住猫もみひろ

 すでに猫がいる家庭に新しく猫を新しく迎えいれる場合、慎重な導入が必要です。そもそも猫は単独縄張り性のヤマネコと共通の祖先を持つ動物です。先住猫にとって、家にくる他の猫は「縄張りへの侵入者」となり、喜んで迎えることはまず期待できません。

 先住猫が遊び盛りの子猫で、新しく家に来る猫も子猫であれば、あまり問題がないと思いますが、先住猫が成猫の場合は慣れるまでに時間がかかるでしょう。

 先住猫が成猫でも、迎え入れる猫が生後1カ月か月未満などの幼い子猫であれば激しく拒否する可能性は低いですが、週齢が進むにつれてはっきりと拒否する傾向が見られるようになります。

 また先住猫が猫との社会化ができているかどうかも大きく影響します。猫の社会化期とされる生後2週齢から9週齢までの期間に猫との適切なふれあいを持たずに成長してしまった猫は猫とうまくコミュニケーションができません。子猫が近づいて来ても威嚇したり、逃げ出してしまうでしょう。


突然、猫同士が出くわさないよう慎重に

 以下に、すでに猫がいる家庭で新しく子猫を飼い始める際の注意点を書きます。猫の気質や年齢、社会化の状況などによって必要となる期間は異なりますので、それぞれのステップは両方の猫の様子を見ながら行ってください。

① 家の中の一室(他の猫たちが自由に入れない場所)を選び、そこを一時的に新しい子猫の部屋にしましょう。この部屋に猫にとって必要なもの(「こねこ塾」①で紹介した猫のニーズ参照)をすべて用意しておきます。

② 子猫が眠る場所にはタオルを敷き、もともといる猫の寝る場所にもタオルを敷いておきます。このタオルを交換して、まずお互いの匂いに慣らします。

③ 猫の頬や尾のつけ根の部分をタオルでこすり、猫のフェロモンを含む匂いをつけます。このタオルの上に好物や食事をのせて相手に与え、互いの匂いに良い印象を与えましょう。

④ 匂いに慣れたら子猫を別の部屋に移して、もともといる猫に部屋の中を調べさせます。同様に子猫ももともといる猫のいた部屋を探索させてみましょう。この際に猫同士が突然、出くわさないように気をつけましょう。

⑤ 子猫をキャリーやケージに入れて、もともといる猫に会わせてみましょう。会わせるタイミングは空腹時、両方の猫に好物を与え、良い印象を与えてください。

⑥ ケージ越しで問題なく会わせることができたら、ケージのドアを開け、少しずつ様子を見ながら会わせる時間を延ばしていきましょう。

⑦ 子猫がもともといる猫にちょっかいをかけ過ぎるのはひとりで退屈だからです。おもちゃでしっかり遊んであげましょう。特にもともといる猫が高齢の場合は、子猫とおもちゃでしっかり遊んであげましょう。また高齢猫がゆっくり休めるように、別々の部屋で過ごす時間も作りましょう。同居猫が高齢の場合は子猫と同じ年頃の子猫を一緒に飼うと充分遊べるので、このような問題が起こりにくくなります。

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この連載について
ペットのこころクリニック
犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
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