猫を知って穏便に距離を置こう 知っておきたい、猫よけ対策

猫は食事が足りていても、遊び感覚で捕食行動を行うことも
猫は食事が足りていても、遊び感覚で捕食行動を行うことも

 猫を愛し、猫に癒される人がいる中で、猫に頭を悩ませている人も少なからず存在します。行政には下記のような相談が多く寄せられているそうです。

  • 猫の排泄物に迷惑している
  • 夜間や発情期の鳴き声がうるさい
  • 庭・畑・ゴミ集積場所などを荒らす
  • 車の上に乗って傷つける
  • 飼い鳥・鯉・野生動物などを捕食する

 このような問題は野良猫によることが多いものの、外出している飼い猫の場合もあります。猫は家に猫専用のトイレがあっても屋外で排泄することを好む傾向があり、また十分な食事が与えられていても遊び感覚で捕食行動を行うのです。

 被害にあっている人たちの自己防衛策としては、まず猫が問題の場所に行く理由を考え、報酬となっているものを取り除くことです。

車は猫がよく乗っかりたがる場所。傷がついたら大変
車は猫がよく乗っかりたがる場所。傷がついたら大変

 ただし簡単には取り除けない場合が多いと思いますので、その際の猫よけ対策としては以下のようなものがあります。

  1. 物理的に猫の進入経路を閉ざす。自宅周囲を塀で囲うなどがそれにあたります。ただし、猫は上下運動が得意な動物です。塀の上に飛び乗ったのち庭に侵入するため、塀の上部は猫が飛び乗りにくい形のものがよいでしょう。

  2. 猫が通る場所や排泄する場所に猫が嫌がる匂いのハーブや忌避剤を置く。個体差があり、まったく気にしない猫やすぐに慣れてしまう場合もあります。

  3. 猫が通る場所にとげマットなど嫌がる感触のものを置く。侵入経路や侵入してほしくない場所が限定されている場合には有効です。

  4. 動物よけネットなどで猫の侵入経路を閉ざす。侵入経路が限定されている場合には有効です。

  5. 猫よけの超音波装置を設置する。猫の侵入をセンサーで検知し、猫の嫌いな周波数の超音波を出すことによって猫の侵入を防ぎます。

 猫よけ製品はホームセンターの園芸コーナーにさまざまなものが販売されていますし、ウェブ検索ではかなりの種類のものがありますが、どの程度効果があるかはそれぞれの猫の感受性によると思います。

 また、猫が侵入して得られるメリットが高い場合には、多少の困難は乗り越えて侵入してくる可能性があります。侵入防止対策は侵入経路が限られている場合には効果的ですが、侵入経路が広い場合には別の場所から侵入してくるでしょう。

 忌避剤は動物福祉の観点から問題のないもの(毒性のないもの)を選ぶ必要があります。

【関連記事】「猫よけ」のノウハウ教えます 猫と円満な関係を築くには

村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「こいぬこねこの教育アドバイザー養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

sippoのおすすめ企画

sippoの投稿企画リニューアル! あなたとペットのストーリー教えてください

「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!

この連載について
ペットのこころクリニック
犬や猫の問題行動に詳しい獣医師の村田香織先生が、ペットと幸せに暮すためのしつけや飼い方のコツをていねいに解説します。
Follow Us!
編集部のイチオシ記事を、毎週金曜日に
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。


動物病院検索

全国に約9300ある動物病院の基礎データに加え、sippoの独自調査で回答があった約1400病院の診療実績、料金など詳細なデータを無料で検索・閲覧できます。