猫砂で「防災トイレ」 高校生が作ったら、文科大臣賞
神奈川県の小田原高校3年の井上七海さん(18)が災害発生時の簡易トイレの研究で、第64回全国高校家庭クラブ研究発表大会の文部科学大臣賞を受賞した。身近な尿とりパッドや猫砂の利用で、被災者の生活を守る方法を示し、最優秀賞に輝いた。
「防災グッズにトイレがない」。この母の言葉をきっかけに井上さんは市防災対策課を訪ね、災害発生時も住民に簡易トイレを配布する計画がないと知った。
便器と便座の間にポリ袋をはさみ、市販の簡易トイレ、尿取りパッド、ペットシーツ、猫砂の4品を別々に入れ、水を流し込んだ。水の吸収量は市販トイレと尿取りパッドが多かった。パッドは尿2回用商品が、実際は4回使えると判明。尿1回分の費用は、パッドが市販品の約10分の1というデータを得た。
この結果を昨年の夏休みの課題に提出したところ、評価が高く、今年8月の全国大会の審査のために研究を続けた。まず丸く切った段ボールを入れ、実験の袋が沈む難点を改善した。
アンモニア水を入れ、臭いも調べた。猫砂は気体検知管で「アンモニア臭気が0」だった。消臭効果を高める必要がある場合、尿取りパッドに猫砂を併用する方法が有効とわかった。
井上さんは「猫砂の消臭機能が高くびっくりした。身近な物が防災グッズの代用品になる。自分で自分の身を守る自助が大切だと伝えたかった」と話した。
反町聡之校長は「井上さんは日常の中に課題を見つけ、ひたむきな探究心で解決策に取り組んできた。全校集会でも研究成果を発表し、生徒の防災意識の啓発に貢献した」と話した。
(村野英一)
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