全国からインターン希望が続々、将来を考える貴重な機会に

犬舎内で保護犬の世話をするインターンの押川昌弘さん
犬舎内で保護犬の世話をするインターンの押川昌弘さん

 広島県神石高原町にあるピースワンコ・ジャパンの施設には、動物に関係した仕事に将来就くことを目指す専門学校生や大学生などがインターン(研修)に訪れる。期間は1週間程度が普通だが、なかには1カ月ほど滞在し、保護施設と譲渡センターの双方で実習を重ねる学生もいる。

 秋は特に希望者が多く、インターン生は9月だけで15人。そのうち数少ない男性である押川昌弘さんに話を聞いてみた。

 押川さんは、北九州市立大学の外国語学部中国学科3年生の21歳。学校は犬とは何の関係もない。動物関係の専門学校や学部の在籍者が大半を占めるなかでは異色だ。高校2年のころ動物の殺処分問題に関心を持ち、保護団体が開く勉強会に参加するなどして学んできた。この春からは、週末に北九州市内で開かれる保護犬などの譲渡会を手伝っているという。

 ピースワンコの活動をニュースで知った母親から話を聞いて興味を持ち、10月に開校する「PRODOGスクール」の学校説明会に参加。「どんな取り組みによって広島で犬の殺処分ゼロが実現したのかを自分の目で確かめたい」とインターンに応募した。

 実習は20日に始まったばかりで、まだ犬舎を一通り見学し、保護犬の散歩を体験した程度。犬がすぐにはなついてくれず、戸惑いもある様子だ。それでも「病気の子に特別なケアをする、譲渡する際の条件をきちんと定めるなど、動物が幸せに暮らすための環境づくりをしっかり考えているのを実感する」と語ってくれた。

 地元の広島、岡山県内はもとより、最近は北海道から沖縄まで全国の学校からインターン生が集まるようになった。何年も続けて学生を送ってくれる専門学校も多い。こちらも実習中の宿舎を提供するなど、できるだけ便宜を図っている。

 インターン生の中には、卒業後にピースワンコでの就職を希望する人も多い。もちろん全員を採用するわけにはいかないが、インターン期間は互いに相性を見極める貴重な機会でもある。

 押川さんは、来年2月から1年近く中国に留学予定。その後は動物保護に直接携わる仕事に就くか、別の仕事をしながらボランティアとしてかかわるか、迷っているという。「日本は動物の殺処分問題について認知度が低いので、情報発信をする記者のような仕事も考えている」。どの道を選ぶにせよ、ピースワンコでの経験が糧になることを願う。

大西健丞
1967年生まれ。NPO法人「ピースウインズ・ジャパン」代表理事。広島県神石高原町にシェルターを設け、捨て犬の保護・譲渡活動に取り組むプロジェクトを運営している。

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この連載について
大西健丞のピースワンコ日記
NPO「ピースウインズ・ジャパン」代表の大西健丞さんが、殺処分ゼロをめざして犬の保護活動に取り組む日々を語ります。
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